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序章編ーレエスの回ー

翌日の朝、偶然にも3人は同じ時間に登校し、学校の門の前までやって来た。

そんな3人の前に生徒指導の女性の先生が現れると、その横にいた男性教師2人に真と空が腕を組まれ、強制的に連行されてしまう。


真「な、なんだ!?なんだ!?」


空「な、何か言えってば!」


南「やれやれ。やはり私もですよね」


大方察しの付いている南は、引きずられる2人の後を追いかけ、生徒指導室へとやって来た。男性教師2人が席を外すと、生徒指導代表の女教師が腕を組みながらに問い詰める。


教師「ついこの間……同じことを聞いたようなきがするのだが、もう一度問う。どうして呼ばれたのか分かっているよな?」



生徒指導の先生が、額に脈々とした血管を浮かべて、眉間には以前よりもくっきりと深く皺を刻み、鬼面のような形相で、それは素敵な素敵な微笑み(?)で3人を見つめる。


横一列に正座させられて並ぶのは、南と真と空。痺れた足に耐えかねて、身をよじるたびに教師からの叱責が飛ぶ。


教師「自分達が何をしたのか……分かっているよな? 空《 そら》」


名指しされた空は場の空気も読まずにわざとらしく敬礼して答える。


空「はっ!教官先生殿!私め空は、反省の意味を込めてパンツを履かずに直ズボンで登校してきた折、謝って女子生徒の面前でズボンを下ろしかけてしまった所を教官先生殿に囚われた次第であります!」


その瞬間、空は体を抑え込まれ観衆を沸かすほどの鮮やかさで美しいDDTを決められた。


空中に投げ出され弧を描く空の体は、ゆっくりとした動作で教室の地面へと叩きつけられた。白目を向いて倒れ込んだ彼の様子を見る限り再起は不可能のようだ。



教師「確かに、女生徒へのセクハラ行為を働く直前だったな。次ィ!真ォ《 まこと》!!」


真「お前の死は無駄にしないぞ……空よ……」


先生に名指しされた真は、ふてぶてしい気をつけの体勢で教師の前に立った。


真「はい。今日の放課後、用務員さんがオカズにしていたSM本を更に際どいレベルのものへとバージョンアップさせ、【自主規制】を【自主規制】するよう促したせいなのかと自覚しております!」


教師「用務員さんが、謎の嬌声を上げて歓喜していたのはお前の責任かっ!!!!」



教師「南ィ《 みなみ》!!!言ってみろ!!」


次に名指しされた南は、あくまでも冷静沈着に、尚且つ、しでかしてしまった事の反省を露わにして俯きながら答える。


南「先生は昨日の女子高での事件に関してもうとっくに犯人が分かっているようですね。大変申し訳ありませんでした、昨日の事件の犯人は私達で間違いありません。」


空・真「「言っちゃうのかよっ!!」」


南「私は顔を見られていたし、君達は学校の制服のままだったからね。私と一緒に行動する2人を思い浮かべれば誰が犯人なのかは容易に想像できることだ。誤魔化すだけ時間の無駄だよ。」


教師「うむ、南の言う通りだ。こんな事をしでかしそうな奴らは貴様ら以外には居ないしな。」


南「本当に申し訳ありませんでした!!」


南は丁寧に頭を下げて、謝罪の意を表する。

しかし、その後ろでは小さな抗議の声を上げた2人がいた。


空「別にあれくらいなんだって話じゃんかさー。たかが、女子校に忍び込んで楽器の先を舌先でペロペロする事の何が悪いんだか……」


真「そうだよなぁ。あれでも抑えて抑えて自己を抑制して、パンツ盗んだ程度で済ませてるんだよなぁー。ホントならもっと面白いことやりたいくらいだし」


教師「お前らなぁ……」


先生は怒りが一回りしてしまい、呆れ切った様子で大きく嘆息を吐いた。


教師「残念ながら、お前達のしてしまった事を最早学校側は庇いきることができない。つまり、だ。お前達は明日から無期限の停学処分という事だ。その間にでもしっかりと反省をして自己を見つめ直してくれ……まぁお前らに《 反省》のふた文字は縁のない言葉なのかもしれないがな……」


───その時である!彼ら3人組に庇護の天使が現れた瞬間は───


源「私がその子達を改心させてあげるわよぉぉぉぉん!」


豪快に開け放たれた、光の差し込む扉の先から現れたのは何を隠そう学校一の問題教師である源《 みなもと》先生だった。


教師「あ、あんたが改心させるだって?何をふざけた事を言っているんだ!問題要因が問題児の面倒など見れる訳がないだろうが」


源「うふふふふ……貴方は何も分かっていないようですわね……」


教師「それはどういう意味だ」


源「問題要因を1箇所に集めておけば監視がしやすいでしょうがっ!!!!」


教師・空・真 「「「そこかーい!!!」」」



源「まあまあ、冗談は横に置いておいてぇ……私が彼らの面倒を見ましょう。私が設立する《 ボランティア部》の部員として活動してもらい、この学校への貢献をしていってもらうつもりでいます。(彼らに奉仕活動をさせれば私のポイントもうなぎ登りに……うふ、うふふふふふ)」


源は、ほの暗い微笑みを浮かべながら、1人独自の世界に入り込んだように両手を天に掲げる。彼の思惑に、隠された意図があるとは露とも知らない他の3人は源の言葉を素直に受け取り、そこに利点がある事に気づく。


教師「(こいつと一緒に居させておいて、また問題を起こさせたら間違いなくこの学校の問題児含めて源先生、全てを抹殺する事が出来るな……)」


空「(源先生の傍に居れば、どんなけ悪ふざけしてもこの人が責任を取って肩代わりしてくれるかもしれないな……)」


真「(源先生の奴が担任の部活なら、上手いことあの発明力を活かしてあんな下着もこんな下着も盗める超超超有能なアイテムを作ってくれるかもしれないぜえええええ!!!!)」


南「(源先生のお膝元で色々と献身的な奉仕活動をすれば、彼らも多少は改心をして多少なりともまともな人間に成長して行ってくれるかもしませんね……)」


3人は互いに視線を交わし合い、意気投合したように大きく頷いた。


誰が初めに手を差し出したのかは分からない。無意識に差し出されたひとつの手に3人の手が重なった。


源「我々問題児組でも、やる時はやるという所を見せつけてやりましょうねぇ!」


「「「オォー!!!」」」


こうして、後世に名を馳せた伝説の部活動《 駄楽部》は発足するに至ったのである。

これから始まる様々な物語は、彼らが歩んできた限りある大切な物語である───

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