序章編ーボーダーの回ー
夜の11時。3人は市内の女子校の前に立っていた。チーズフォンデュパーティーはスプリンクラーによって綺麗に「流されて」しまった。
チーズの恩恵は先生のありがたいお叱りに。
パーティーのワクワクは反省文というブルーな代物に。
3人からすれば
やってられない
南「……で?またなにかやると?」
空「そうだ!」
南「バカげてる!今度こそ退学にっーー!」
真「今更なこと言うなって。反省文だけな人生なんて割に合わないだろ?」
そう。反省文のラッシュでブルーな心をどうにか奮い立たせるべく。
というよりヤケクソで。
3人は、いや2人はワクワクした少年のような眼で反省文を半端に夜中、学校の外へと出て行くのだった。
南「私としては皆さんの暴走を止めたいのですが……」
真「迎え酒ってあるだろ?」
空「JKの触った物品で一杯」
南「そしたら反省文やりますか?」
真「……」
空「……」
苦々しく顔をしかめる南を無視し、2人は「リコーダー舐め放題、舐め放題イヨレイヒ~♪」と声を揃えながら肩を組んで進んで行く。
着いた先は、隣にある女子高校だった。
南としてはこのまま仲間を行かせるのは不安である。
南「やはり女子高か……私も同行する」
真「南。来てくれるか」
空「へへっ、流石心の友よ」
南「これ以上何かあったら……はぁ、胃が痛い……」
☆
灯りひとつない校内を忍び足で進み、3人はJKの物品を探す。
空「見ろよ! サックスがあるぜ」
楽器を見つけた空。
真「サックスと【自主規制】って、何か似てるよね」
空「アヒャヒャヒャ!! 違いねぇ!! 舐める? 舐めちゃう? レロレロレロレロ……やっちゃう?! やるか!!」
南「まったく……」
廊下と教室の狭間に立ち、見張りをする南。
彼のゴミを見るような目を他所に、3人の物色は加熱してゆく。
真「これはバスケ部か?」
空「バスケのユニフォームだよな。はぁ……柔軟剤の良い香り……」
真「いつでも部活出来るよう着替えを置いてるんだね。下着を見つけたよ」
空「ナニぃ?! 真ォでかしたっ!!」
空・真「ウンババ、ウババ、めらっさめらっさ!!」
着替えの入った袋を引っ張りだし、中に入ってる下着を出しては、何処かの民族の儀式よろしくパ●ツやブ●ジャーを掲げ、円になって踊る2人。
コイツらに与えてはならない物が渡ってしまった。南は頭の痛みを堪えながら、2人の歓喜の舞を見守る。
すると、離れた場所から、カタンと小さな物音が聞こえたような気がした。
南「? 今、音が……」
しかし2人は南の声に気付かない。伝説の宝石《&パンツ》を手にした海賊達の宴に夢中になっている。
南「皆さん。今、何か音が……」
ようやく3人が顔を向けた。
真「音?」
空「それマ?」
真「ウンババ?」
南「ウンババから離れなさい」
もう一度辺りを警戒する。今は聞こえないが、念には念を。
南「そろそろ引き上げませんか?」
空「そうだな……皆、下着は持ったか!」
真「ウリイイィィィィィ!!」
見つけ出したお宝を懐に仕舞い込み、教室を抜け出す。
校内には窓の鍵を開けて侵入した。帰りもそのルートで行く予定だ。
廊下の曲がり角に差し掛かる時……
南「?!!」
空「げっ!!」
真・空「ウリイイィィィィィ?!!」
暗闇の中から、ノートを抱き締めるようにして持っている少女が出てきた。3人と目が合い、一気に顔をひきつらせる。
この学校の生徒だろうか。だが、なぜこんな時間に?!
そこで南は先の物音を思い出す。
次に、ノートを見る。
もしかしてあの音は……この少女が、ノートを探していたのか?!!
少女「ひっ……!!」
南「やばっ……!」
空「しまった!! 皆! パンツは被ったかぁ!!」
真「イィィィィィッッッ!!」
最早ショ●カーの返事である。見ると南以外の2人は既にパンツを頭に被っていた。
変態●面、大量発生である。
南「あっ!! な、汚い!!!」
空「こうしてる場合じゃない!! 逃げるしかないだろ!!」
真「顔を見られてない今のうちに!!」
南「もう私だけ見られてますよ?!」
真「問答無用!! 南無三!!」
女子から見れば、暗がりからパンツを被った男子×2。それを率いるような人物×1。
なぜ女子校にこんな奴らが? なんて疑問より恐怖が先行する。
女子「あ、や…………」
空「来い、南!!」
真「止まるな! 止まったら死ぬぞ!!」
空「早く!!」
見ると、いつの間に移動したのか。3人は侵入した窓から飛び出し、必死に呼び掛けてきた。
真っ先に仲間を見捨てておいて来いなんて、酷い奴らだ。
女子「や………」
南「す、すいませぇんっ!!」
謝罪だけ述べて南は窓へと走る。
窓から飛び出し、パンツを被った仲間達と共に走り出す刹那……
「きゃああああああああああああっっ!!」
女子の悲鳴が背中を叩いたような気がした。