バレンタインと料理教室ー後編ー
書類の届けは簡潔に済まされた。
女子校……孔留会私立手満女学校の校舎という、最初に下着ドロを働いた思い出の場所で真は声を張り上げる。
真「そこの君ぃ! ギブミーチョコレート!!」
たまたま目の前を歩いていた女子生徒に真が 迫る。タカり方が戦後のソレな事にツッコミは入れない。
だがワナワナと動かす指に荒い呼吸。その迫り方は見るからに変質者そのもの。
女子生徒は真を見て辟易しつつ、丁重に断っていた。
生徒「ご、ごめんなさい……チョコ……持ってなくて……」
真「なにぃっ!!」
生徒「で、でも料理研究部で今日、体験入部した人にチョコをプレゼントするらしいので……」
真&南「なん……だと……!」
まさかのチョコをもらえるチャンス。
おなごの(チョコの)お恵みに飢えている2人は真っ先に話に食いつくのであった。
─────そして……
部長「はい。今日は音藍から体験入部に来てくれた2人と一緒に料理します」
眼鏡をかけた料理研究部の部長・シユウが部員達に2人を紹介しつつ、キーボードに今日の料理内容について書いていた。
シユウ「今日はハンバーグとスープを作ってみましょう。体験参加の2人は料理の経験は……
真「はいっ! 料理好きです!!」
南「おい」
真「任せろよ相棒」
真はニンマリと不敵な笑みを浮かべた。
真「これでも結構料理は得意なんだ。料理できる姿を見せて『キャー素敵!』ってチョコを沢山もらおうぜ」
南「やっぱそれが狙いでしたか……」
そうして料理作りが始まった……のだが
2人はまだ知らなかった。
この後、破滅が待ち構えていることに……
[数十分後……]
シユウ「皆さん、良くできていますね」
ハンバーグと言っても煮込み、焼き、様々な種類がテーブルの上に並べられる。
それをシユウは微笑みながら見ていたのだが、一皿を見て動きを止めた。
その皿に載っているのは、紛れもなく挽き肉から作られた肉団子……もといハンバーグ。
しかしその形が……
シユウ「……あの……これを作ったのは……」
真「はい! 自分であります!!」
真は敬礼。隣の南は頭を抱えている。
シユウ「えっと……ハンバーグ……?……ですよね」
真「ハンバーーーーグッッ!!」
シユウ「懐かしいネタですね……ですがこれは……」
その態度を言い表すなら「ドン引き」。彼女だけではない。他の部員らも同じように困った顔でその皿を見つめていた。
なぜならそのハンバーグは……
シユウ「どう見てもこれ……誰かに食べさせる気が感じられないのですが……」
真「キャラクター弁当があるでしょう! そんなモンです!!」
シユウ「いや、キャラクターじゃなくてこれはウンk……」
真「ハンバーーーグッッ!!!」
シユウ「いや、うんk……」
真「ハンバーーーーグッッ!!!」
南「だまらっしゃい!」
そう。真の作ったハンバーグは明らかに排泄物の見た目をしていたのだった。
器用と言えば器用だが、才能の無駄遣い。
はっきり言って彼女がこんなのを作ったら彼氏の食指が失せるレベル。逆もまた然り。
シユウ「……はいっ! じゃあ後で皆で試食しましょう!……これは除いて」
そう言ってウンkの皿をそっと下げるシユウ。
真「あっ! 下げないでくださいよ俺の力作!!」
シユウ「確かにこれは力作ですが、食べるとなると……」
真「大事なのは見た目ではなく愛情でしょう?!」
南「まともな事を言ってるように見えて、ただのウ●コ強要では……」
真「南はおだまり!! お母さんが話してるのよ!!」
南「誰がお母さんじゃ!!」
真は制止を振り切ってシユウの肩を掴み、ガクンガクンと揺さぶる。
真「見た目はあれかもですが味はハンバーグなんだから良いでしょうがぁ!!」
シユウ「ぁぁあーー……それとこれとは……」ガクンガクン
真「うるせぇ!! 料理研究部のくせにバカにしやがってよぉ!! 食べてみないとわかんないだろォ、ウ●コ食えオラァ!!」
南「あなたがウ●コ認めたらアウトですからね?!!」
もはや最初のチョコの目的も忘れてのセクハラである。
ガクンガクンと揺らされ、シユウの眼鏡が床に落とされてしまった。
それを見た南が慌てて止めようとする。
南「ま、真……! それ以上は……ぐはっ!」
真「ひでぶっ!!」
声を出せなくなったのは2人まとめて顔面にアイアンクローを喰らったから。
眼鏡を落としたシユウは某ネ●フの暴走したエヴ●を彷彿とさせるように目をギラつかせながら、2人をそれぞれ片手で持ち上げる。
シユウ「……黙ってれば調子に乗りやがって……」
南「あれ?……なんで私まで……」
シユウ「うるせぇっ!!」
ビキッ!! 2人の顔面の骨が悲鳴をあげた。
部員達がヒソヒソと話しているのが聞こえる。
生徒「部長の眼鏡が外れた……いけない……皆、眼鏡をかけ直して!」
生徒「ダメです!! 制御が効きません!」
生徒「まさか……暴走……?!」
真(あるぇ~? もしかして眼鏡でキャラ変わるタイプ~?)
南(バカ……下手に噛みつくからですよ!!)
以心伝心。無言のまま2人は心で語り合うが、反省したところで時すでに遅し。
シユウ「てめぇら……わかってんだよな……?」
エヴ●もといシユウは殺気で目をギラつかせ……
顔面の骨が断末魔をあげた。
バレンタインデーキル♪
バレンタインデーキル♪
この世は不公平だ。チョコをもらえない者はとことんもらえないのだから。
この場合、自業自得な気もするが……
シャララ♪
素敵にki~ll♪♪
ベキィッ!!!!
真&南「……ハッピーバレンタイン……」
最期の言葉は聖なるチョコレートのイベントを讃えるものだった、、、




