めんどくさいのは誰?
今日は疲れたわ。
友人たちの都合上、午前しか時間がとれないと言うことで、朝から自宅の会議室の準備をしていたら、そこに婚約者様がいらっしゃるんだもの。アポなしって、重役につかれているのにどうなのかしら?と思いながらも、きっと、こちらの動向を調べた上でのアポなしなのでしょうね。一緒にいた新しい秘書がちらちらこちらをうかがっていたこら、友人たちの集まりを知っていたと思うわ。どちらから漏れたのかしら。すこし、調べないと行けないわね。あの秘書、野心家だ。うまく成長すればいいけど、動きに出てしまうなら、そろそろクビ、いえ、解任されるかもしれない。私の友人たちのことを知ってしまったのなら、取り扱いに気を付けてもらうよう、婚約者のお父上にも伝えておかなければならないわ。友人は友人。お互い合意の上ならいいけど、利用するだけなら許さない。いくら婚約者様でも。
丁度、お義兄様がいたから、友人たちの相手を頼んだけど、お部屋に迎えに来てくれたときには、少しやつれてたのよね?どうしてかしら?
そして、友人と、担当者を会わせて話し合い。大体の予算通りに事は進んだし、友人のことだから、しっかり期限は守ってくれるはず。担当者は、彼が帰ったあと泣いてたなぁ。いつもの事だけど。分野の人にとっては、神様ですしね。話し合い中に泣かないのはプロと思いましょう。
その事をお姉様に報告しに電話を掛けたら、上機嫌だった。お義兄様から婚約者様が来たのは聞いてるはずなのに。最後に「仲間はずれにするなと伝えてくれ。」っていっていたから、なにかゲームでもするのかしら?たまに私抜きで盛り上がるときがあるから、少し寂しいのよね。
そのあとは、レセプションに向けての会場および、警備、移動、宿泊などの確認および、訂正でほとんど終わってしまった。
無事に終わった。
なにもなく終わったのだ。
美味しくショコラを食べられた。笑顔で話を聞けた。涙も流さなかった。叫ばなかった。仕事もできた。吐いてもいない、お腹も痛くない。痙攣もない。
1日が終わったのだ。
私にとって「運命」は呪いの言葉。
努力しても、否定しても、愛を告げても、こちらを見てくれなくなった。
段々心で泣くようになって、心も一杯になったら、笑えるようになった。
わざわざ、「運命」を報告しに来てくれる婚約者様。
ほんとうにめんどくさい人。
なのに、まだ、婚約者様にすがっているの私の方がめんどくさいのかしら。
「運命なんて言葉聞きたくもない。」
声に出したとき、この日初めての涙が流れた。