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姫が望むならば

〈日時はさっき行った通りよ。申し訳ないけど変更できないわ。もし、その日が無理なら別な日でもいいし、レセプションの映像渡すから、批評頂けないかしら。〉

〔急用がない限りあけとく〕

〔ありがとう!〕

[…同じく]

〔うれしいわ!〕

『ブライダルなら、妻の方が得意だからふたりで行くよー』

『奥さまに会えるのね!楽しみだわ!』

《ごめんなさい。その日はもう招待されてるわ。断れないのよね。》

《無理はしないで。》

《そのブライダル、日本式のものもやる?社交界で東洋のブライダルに興味ある方がいらして、よろしければ紹介できるわよ?》

《ありがとう!組み入れてるはずだから、大丈夫!今度個別でお話しさせていただくわ。》

【で、俺は仕事なんだろ?】

【わかる?お願いできますでしょうか?】

【話終わったら、打合せできるか?スケジュールと報酬について詰めたい。】

【もちろんよ!ありがとう!】


姫からの頼みを断れるやつなんてここにはいない。断る時は、なんとか代案を出す。姫の笑顔が見たいから。

だからといって、姫は調子に乗るわけではない。何でも頼むわけでもない。友人としてしっかり扱う。だから、みんな慕うのだ。


ここに集まっているメンバーは、確かに世界に名が知れている。ネットで調べれば、幼少期の写真からスクール時代のエピソードまででてくるだろう。それでも、出会った当初は少し非凡な人間程度だったはずだ。姫との出会いでみんな変わった。慢心がなくなった。高みをめざすようになった。興味を持つようになった。人の心をよむようになった。信頼されることを知った。

姫だけが要因ではないかもしれない。でも、俺らは姫を大切にする。


姫はお国柄の挨拶と流しているが、既婚者ながら口説いてるあいつは、結婚前まで本気で口説いていた。今では、夫婦で姫信者になった。

無口のあいつも、婚約者がいるものの、姫が求めばいつでも婚約者を切り捨てるだろう。

とか言う俺も、姫が望むならば、世界を敵にまわしてでも、望みを叶えてやるだろう。

だが、姫は求めない。望まない。友達でいてくれることだけで嬉しいのだから。


だから、友人でいる。だが、いつでも狙っている。

姫が手を伸ばしたとき、一番に手をとるのは俺だ。

奴が「運命」を見つけたいなら、好きにすればいい。むしろ、姫を手に入れられるなら、協力してやりたいくらいだ。


今さら「運命が見つからないから」などと言うなよ?


姫が振り返る。いつの間にか話は終わって、担当者を紹介するため場所を移すらしい。

【今いく。】

【ええ、早くいきましょ?】


今はその笑顔でいい。今まで待った。まだ待てる。

早く手を伸ばしてくれ。姫が望むのであれば、姫が望んで隣にいてくれるなら、俺はなんだってしてみせる。



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