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私の義妹は姫 。

「今日は姫来ないの?」


「今対応中だね。」


「またかよ。」

「今度はどなたでしたの?」

「…しめる」

「本格的に作戦立てよう。今のプランじゃ、足つく可能性が捨てきないわ」

「姫早く来ないかなぁー」


彼ら、彼女らは、私の義妹の友人だ。そして、わが社の取引先でもある。それぞれプログラミング、社交界、交通機関、商社、食物分野などでトップクラスの地位にいる。会社経営者ならもちろん一部の政治家も、話せるならば喜んで頭を下げるだろう。


そんな彼らは、義妹のことを【姫】と称え、過密スケジュールの中、時間が押していても、義妹には一切怒りを向けない。まぁ、義妹の婚約者には殺意を向けているが。


「みんなが集まったことは伝えてるから、すぐ来るよ」

「じゃそれまでに、近況報告でもしとくか?」

「いいですわね。社交界の噂もありましてよ?」

「…こっちは、石油関連で一悶着ありそうだな。」

「新技術じゃないの?下手に動かれると今困るのだけど」

「あー、ごめん聞いてなかった。もう一回いい?」


ここで繰り広げられる会話は、人には聞かせられない。すべて金になる話だ。ここに居てもいいとなっているのは、妻と私くらいであろう。給仕でさえも断る。それだけ、私も認められているということだ。ただ、その理由が「姫様が信じている姉様の信じてる旦那だからね」だが。


「ねぇ、ところでさー、まじで奴やっちまわない?」

「本気になればすぐできますが」

「…姫様が許さん」

「隠れてさー、サクッと。ウチの国こないかなー」

「さすがに国際問題になったら面倒よ?そこそこの会社の御曹司でしょ?」

「ほらほら、本気になる前にやめとこうぜ。」


話がヤバイ方向に流れてきた。これ以上は聞くと、妻がヤバイ。張り切って、取り仕切る。無表情で厳しいと言われているが、義妹には家族の愛情以上に尊敬の念をもっている。


「そろそろ、来る頃だと思うが迎えにいってこよう。それまでに言葉を戻しておいてくれよ?」


「「「「「当たり前」」」」」


そう、彼らは、義妹が幼い頃からの友人。義妹の語学向上のための友人だ。その頃はそこまでの地位に親も含めいなかったはずが、義妹と付き合う内に今の地位まで上りつめた。そして、【姫様】と称えながらも、昔の風習は変わらない。それぞれの母国語で義妹と話す。何故ならば、義妹に自分の話を、声をしっかり聞いてほしいから。目を向けてほしいから。でも、義妹がふと溢した日本語を聞き漏らさないように、各々日本語を勉強し、聞き話せるまでにと努力した。


どんな地位にいようが、彼、彼女らにとっては、義妹はお姫様なのだ。


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