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孫はかわいいものだ。

〔誠に申し訳ない。〕

〔何の何の、向こうも快諾しておる。もともと、近々提携する予定だったのだ。それに、この縁を結んだのはお前さんの娘だ。ちょっと時期がずれる位なんとでもなるわい。〕

〔しかし!!〕

〔しつこい、しつこい。何より、孫が甘えてきたんじゃ。まわりには孫の尻に敷かれてるってなっておる。お前さんが気にすることじゃない。〕

〔では、お礼を…。〕

〔そうじゃな、今度孫と日本にでもいくかの。その時の宿泊ホテルをたのむかの。ん?これはもともと組み入れられていた予定じゃったか。そうじゃの、旨い寿司を部屋まで頼む。職人つきで。あぁ、姫にも会いたいのぅ。孫が喜ぶ。〕

〔勿論でございます。〕

〔おおそうじゃ、お前さんとも酒を交わしたいのぅ。よく我慢したな。わしでは無理じゃ。〕

そう言って電話を切る。


本当に電話の男を尊敬する。もし、わしが、いや、わしの孫が同じような目に遭ったら、確実に潰す。一族もろとも潰す。バカにされるのは性にあわん。徹底的に潰す。

それを娘の意向を尊重した。うむ。考えただけで無理じゃ。

なのに、それをやり遂げようとしてる。婿養子だとは聞いとるが、男の妻がなくなってからの活躍で、かなりのやり手だとわかる。気質も穏やかというわけではないだろうに。うむ、やはりわしにはできん。


男は、企業提携を早めたことを気にしておる。これだけの大企業同士の乗っ取りなどではない、純粋な提携だ。本来では、孫が言ったから期日を決めたなど、あり得ない。電話で伝えた通り、もともと姫がきっかけで提携関係を検討するに至った。そして、水面下ではあるがゆっくりとそれぞれの意向を擦り合わせていた。あとは、会社関連に通知、情勢を見て決行するだけだった。だから、まぁ、そこまで騒がなくてもなんとかなる。というか、孫が解決するはずじゃ。

わしの孫は、何人かいる。バカもいれば使えるものもいる。そのなかで、突然頭角を表したのが、今や、わしの目となり足となっている常務じゃ。常務につく前から、年齢や女ということで風当たり強かったが、一切泣き言を言わず、自分で回りを納得させてきた。その手腕は、昔のわしよりえげつないものだったのう。まぁ、わしにはより可愛くみえたがの。

孫の変わる切っ掛けになった姫とやらは、何度か会った。なんせ、孫が崇拝しとるからな。日本に二人でいけば必ずあわせられる。

わしから見れば、ちょっと小綺麗な小娘。様々な教育やアレルギー克服など、まぁ、頑張ったなとは思うが、それだけだ。もっと頑張ったやつを幾人も知っている。

しかし、わしの知ってる奴等ではなく、姫にうちの孫は惚れたのだ。

なら、仕方ない。応援するしかない。

この企業提携は、マーケットに多大な混乱をもたらす。日本の食べ物メーカーの経営方針が変わろうが、会長と社長が退こうが、マスコミは構ってられないだろう。


〔おじいさま、いつ日本にいきます?〕

〔おぅ!旨い寿司が食えるらしいぞ!〕

〔食べ過ぎないで下さいよ?〕


かわいい孫が側に来る。さぁ、日本でのデートはどこにいこうかのぅ。



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