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総合魔法学苑購買部  作者: 安藤きつね
4/8

という訳で(1)

まずはじめにお詫びという名の言い訳をひとつ。

ワイ、お盆前にスマホ破壊。

お盆明けにスマホ修理から戻るも、書き溜めてたデータ全部ぶっ飛び1からプロット立て直し。

そして、今日やっと投稿の目処ができ今に至る。


大変お待たせしました。投稿再開です!

 一之瀬に他校への調査を頼んで待つ間俺は、店舗の掃除をしていた。

 初めは埃まみれで骨が折れるのかと思ったが、まだ放置して日が浅いのか埃を取り除くだけで終わってしまった。1日使っての清掃だと思ったのに拍子抜けである。

 でも考えてみれば店を任せるって押付けていったんだから、これくらいはやっておいて当然といえば当然だけどあの爺さんは変なとこで困らせたりするから気は抜けないのは確かなんだけど。

 やる事が無くなり適当に店の中を物色してると懐かしい物が見つかり俺の頬が自然と緩んだ。

 

「うおっ!懐かしいな仕事で使ってたTPDじゃん」

 

 TPDを手に取り眺める、こんなに綺麗な状態を保ってるってことは、爺さんの奴、ずっと手入れしててくれたのかね?

 俺は電源入れると懐かしい駆動音に耳を傾ける。楽しいことより辛いことの方が多かったけど、後悔とかは微塵も無い。大半の経験が人生に役立っているからかも知れない。

 俺はOSが立ち上がるのを待つ。当然だが年代物の型落ち品だから処理は遅い。普段ならこの起動の遅さに苛立つけど、懐かしい思い出が甦るから気にはならなかった。

 電源を入れて5分OSが立ち上がり無事にスクリーンフレイムが浮き上がると魔法プログラムのファイルをタッチする。

 

「我ながら、発想はいいけど作りが雑だな」

 

 在学時に組んだ魔法プログラムに目を通し当時の雑な作りに思わず苦笑いをしてしまう。1つ1つ確認していくうちに、ある魔法で俺の顔はまたニヤけてしまった。

 「下級生訓練プログラム」という名前だけまじめな魔法プログラムだ。このプログラムは、俺の思いつくイタズラを全て組み込んだ傑作だったりする。

 ちなみにこのプログラムは男子には好評だったが、何故か女子には不人気だった。足元から間欠泉っぽく噴き上がる水を躱すだけの簡単な訓練なのに。

 そういや、これのプログラムで一之瀬が濡れ鼠になって笑ってたら1週間口聞いてくれなかったんだっけ。

 あとは、女子のパンチラ見たさに作った魔法とかもあったけど、先生に見つかってプログラムを削除されたのを覚えている。

 

「でも、こうして見ると録な魔法作ってないな」

 

 当時の俺が作った魔法は、悪戯目的の物と手持ちの魔法の下位互換ばかりだったりする。爺さんの元を離れてから魔法制作を辞めていたから当然だったりする。もう少ししっかりやってれば良かったかもしれないが、途中で情熱が燃え尽きてしまった。病気みたいなものである。

 過去の産物を漁ってると気づけば昼飯時になっていた。腹も程よく空いた事だし夕食でも取ろうと思った時、携帯端末の呼出音が鳴る。着信BGMはクラシックだったりする。曲名は何だったかな?忘れた。

 そして、呼び出しの相手は一之瀬…仕事が早いな。有能な後輩を持つと楽出来て最高だなっ!端末を手に取り一呼吸置いて小型のスクリーンフレイムの通話アイコンをタッチする。

 おや、音声通話のみとか珍しいな。

 

「もしもし、珍しいな音声通話のみとか」

「そうだね。先輩に湯上りの私を見せるとか屈辱でしかないからね」

 

 相変わらず酷い扱いである。学生の時に悪戯しまくったから信用なんて0に等しいもんな!自分で思って悲しくなった。

 

「それは良いとして」

「先輩がスケベじゃないとか明日は雨が降るね」

「魔法で降らしてやろうか?」

「先輩の場合雨じゃなくて私を濡れ鼠して衣服が透けるのを楽しむ畜生だからやらなくていいよ」

 

 おう、解ってるじゃねぇか。でも、あとが怖いからできませぬ。こいつのマジギレで俺のTPDを何台破壊されたかわからない。

 それにしてもだ。今通話端末の前にバスタオル1枚の一之瀬がいると思うと何か滾るものがあるよな。何か色々と捗りそうだ。

 

「んで、湯上りでバスタオル1枚とかいうエロい格好で俺に連絡してきた理由は?」

「本当先輩は歩く猥褻行為だね。」

 

この紳士を捕まえて猥褻とは心外である。

 

「要件だけ言うよ。頼まれてたモノが纏まったから明日渡したいんだけど予定空いてるよね?」

「おお、仕事が早いな。もう少しかかると思ってたぞ」

「先輩は待たせると忘れたりするから仕方なく早く終わらせただけだよ」

 

うーん。俺ってそんな忘れっぽい頭してたか?意外と記憶力は良いと思うんだけどな。あー。でも都合の悪いことは覚えてないわ。


「で…待ち合わせは何処にする?」

「そうだな。リバーサイドとか」

「却下!」

「なんでや!一之瀬」


 待ち合わせ場所にリバーサイドを提案したら即時却下された。解せぬ。俺がぐぬぬと唸っているとメールが来た。どうやら学苑周辺の地図みたいだ。赤いバツ印が付けてある。

 

「この場所に素敵なカフェがあるから待ち合わせはここで。異論は認めないから」

「リバーサイドだって素敵な喫茶店じゃん」

「先輩、私が指定した場所では不満かい?」

 

あ、ずりぃ!そんな泣きそうな声で聞くとか女の武器フル活用じゃねぇかっ!不満って言ったら嘘のマジ泣きする気満々かよ。俺はわざとらしく大きいため息を吐き出し、仕方ないなと思いながら承諾するしかなかった。

 

「ふふーん。先輩は女の涙に本当に弱いね?そんなんじゃ、ハニトラに簡単にかかるよ?」

「うるせぇ、余計な心配はいらん」

「というわけで、明日は私が指定した場所に集合ってことで」

「へいへい」

 

 もうどうでもいいかな気分になった俺は、適当に返事して通信を切った。にしても、お洒落なカフェとか俺は場違いな気がしてならないし、絶対に浮くと思うんだよな。根拠はないけど。明日は出来る限り大人しくしてよう。俺はそう心に決めて店内の物漁りに没頭するのだった。


 

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