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冒険者組合憲章


第一条 総則

 冒険者組合(以下、本組合)は、冒険者の冒険者による冒険者のための組織たるものとして、農業組合、経済連合、政治結社、宗教団体並びにその他社会的組織に対して、同等に取引することを目的として設立された団体である。

二.本組合が遠方と認めた地域にて、その地域を拠点とする冒険者の合意による組合の設立を認める。その拠点は地域主都に限り認められるものとし、その設立を本組合に届出ることで地方支部(以下、支部)として取り扱う。その運営は、本組合憲章に従い、支部近隣を拠点に活動する冒険者に一任する。


第二条 定義

 本組合に登録された冒険者を冒険者組合員(以下、本組合員)と呼称する。ただし、本組合への登録の基準は別途定める。

二.非特定の社会的組織或いは地方自治体が、その存続を阻害する自然事象、生物、精霊、神或いは存在の特定ができていない未確認の事象を『脅威』と呼称する。

三.『脅威』への対抗措置として本組合員を派遣する場合、本組合が査定し、その目的と報酬を確定させたものを依頼と呼ぶ。

四.『脅威』への対抗措置として本組合が特定の本組合員を指名し、派遣する場合、これを仕事と呼ぶ。


第三条 禁止事項

 本組合員の己の利益を目的とした行為を禁ずる。

ニ.宗教戦争或いは国家間戦争に類する、特定の人類或いは亜人類の間に発生する利権や思想に起因する争いに係わることを禁ずる。

三.上記に係わらず、本組合員が同意した場合は本組合の意志としてその依頼を受託し、遂行するものとする。但し、緊急措置に於いてはその限りではない。


第四条 依頼の受託と報酬

 冒険者は本組合が受付けた依頼を自らの判断と責任に応じて遂行し、定められた報酬を得ることができる。

ニ.依頼は本組合が本組合員に対して受託者を公募、若しくは指名するものとする。但し、その依頼に対する協力者の要請は受託者に一任する。

三.緊急性が高いと冒険者が判断した場合は、依頼を受託し遂行した後にその届出を行うことができる。

四.依頼と報酬については、第二条第三項に相当すると冒険者が判断した場合は、自らの責務として『脅威』への対抗措置を認める。但し、不当な取引と本組合が判断した場合はその限りではない。


第五条 仕事の特記事項

 本組合が特定の本組合員に命ずる仕事に於いては、その拒否権を認めないものとする。

ニ.仕事に限り、本組合の査定する報酬に係る交渉の権利を認める。

三.仕事に限り、報酬の三割を支度金として事前に支給する。支給された支度金は、仕事の成果を問わず、その返還の義務を負わない。


第六条 称号

 本組合員は、それぞれが得意とする技術を職業として名乗ることができる。

ニ.特に貢献度の高い成果と本組合が認めた場合、以下の名誉称号を名乗ることができる。

 一 勇者

   冒険者の盾となり、鼓舞し、自ら『脅威』に立ち向かう者を勇者と呼ぶ

 ニ 狩人

   冒険者の刃となり『脅威』を討払った功労者を狩人と呼ぶ

 三 賢者

   冒険者に力を分け与え、『脅威』への排除に尽力した者を賢者と呼ぶ

 四 魔導師

   冒険者の言葉で『脅威』を封じた者を魔導師と呼ぶ

三.名誉称号を得た者がその道を閉ざされた場合に、その長子を称号継承者と認める。但し、二十歳までに本組合が定める試練に合格しない場合或いは本組合員としての資格に見合わないとみなされた場合には、その継承者たる地位は失効する。

・・・

・・


 くだらないと思う。

 こんな決まりごとに縛られるのが嫌だと、腹を立てている自分もくだらないのだと思う。

 それでもそこから抜けられないのが悔しくてどうしたらいいのかわからなくなる。

 僕の名前は支部の冒険者台帳に載っているから、登録のための試練を受ければなれるのだろう。でもそれは僕の本意ではない。僕は自由でありたい。


 僕はまだ正式な冒険者組合員ではない。それでも、僕の意思とは関係なく、くだらない規則とくだらないご先祖のお陰で、産まれた時から勇者だった。

 くだらないご先祖。そう、敢えてくだらないと言う。

 冒険者は総じて短命だ。何かに憑りつかれたように、死ぬまで冒険を続ける。大怪我して死に損ねない限りは、老人になる前に命を落とす。

 僕の両親は冒険者だった。そして、大怪我することなく死んだ。『脅威』に殺された。僕を残して、だ。残される僕のことを考えて死なずに戻ってきてほしかった。

 よく言えば、冒険者は自由なのだろう。

 でも残された側として言う。あいつら勝手に死ねばいい。


 少年は自分の想いに矛盾があることに気付かずにいた。多分、これからも気が付かないだろう。気が付いても、決して認めないだろう。

落選作品ですがのんびりとリメイクしていきます。

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