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ゲームがお仕事  作者: ぶぶさん
『迷いの森』
28/36

迷いはない

ラストです。

「待たせたな!」

「タ、タ、タスク⁉︎ どうしてここにいるですか⁉︎」


 慌て過ぎて切り株から転げ落ちるモウカ。


「『迷いの森』を抜けたはずですぞ。一度抜けたら二度とは入れないはず、どうしてここにいるですか⁉︎」

「ちょっと心残りがあってな。また、迷っちゃったらしいぞ」

「心残り? わたしにトドメを刺しに来たんですか?」


 モウカが細い目をさらに補足する。その途端、頭に大きなキツネの耳が生えた。


「違うぞモウカ、お前を誘拐(さら)いに来た!」


 モウカが素早い動きでオレの脇を通り抜けようとする。予想通り!


 『敏捷強化(アクセル)』」


 全力でモウカに駆け寄る。コントロールはバッチリ、むしろ遅く感じるぐらいだ。


「なんですとー」

「すまんな。ちょっと乱暴するぞ」


 モウカに組みつく、絶対に最後の部屋までは行かせない。オレに気付かれたからフラグが立った。そして、最後の部屋にモウカが辿り着くと殺さなくてはいけない。


「──我が眷属よ我が声に集え『眷属召喚(コールファミア」


 モウカの横に巨大なキツネが現れてオレに突撃を仕掛けてくる。


「モウカ、自動車って乗り物を知ってるか?」

「何の話ですか⁉︎」

「あれって飛ぶんだぜ」


 キツネの突撃を避け、その勢いに任せてモウカを上空に『投擲(スローイング)』する。


「きゃああぁぁぁ!」


 その間に『ロングソード』を装備! 目の前のキツネを『迎撃(カウンターアタック)』で切り刻む! あんなに苦戦したキツネはアッと言う間に光に変わる。


 モウカは身体をくるりと回転させ、綺麗に着地。そして魔法を使おうとしてる。それはさせない!


「──怒り狂う精霊に全てを委ねよ、さすればモガ……」


 詠唱をしているモウカの口を『攻撃妨害(インターセプト)でふさぐ。


「『敏捷強化』」


 効果時間は確認済み、魔法をかけ直して時間をリセットする。


「『鎧強奪(アーマースナッチ)』ちっ、失敗か。これで上手くいけば良かったのに。モウカ、すまんな」


 ヘビに使用して『鎧強奪』にはクールタイムがある事がわかっている。


「だから何の話ですかー」

「フクの話だ。モウカ、お前は火属性だけどさ。服は何属性だ?」

「は?」


 左手に『ロングソード』を移動させる。そして右手に火属性の『大ナタ』を装備。オレはここでは『両利き』なんだよ。


「大人しくしてろよ。怪我するぞ!」


 右と左で交互に切る切る切る切る切る。モウカの命(赤)は回復減少回復減少回復。そして、モウカの着ているシャツをさっき返してもらった『ヘビの毒液』で覚えた『鑑定』で見ると、みるみるうちに耐久値が減っているのがわかる。

 あと少しでパージしそうなところで攻撃を止め武器をしまう。モウカに組み付きシャツを脱がしにかかる。


「だから婦女暴行は極刑って言ったですよ!」

「大人しく脱がせろ! 怪我するぞ!」

「なんか既視感(デジャヴュ)があるですぞー!」

「オレに任せろ! おっりゃぁぁ!」

「ぎゃー、パージしちゃうですぞ!」


 存在を知られたら終わり。わざと大声を出して、近づく足音を消す。そしてついに、シャツの耐久値は(ゼロ)になり光に変わる。


「『捕獲(テイム)』やでー、モウカちゃん」


 間延びした声。そう、モウカに気づかれなければ『捕獲(テイム)』が出来るんだ。モウカの後ろには、お下げ髪のいつも眠たそうな顔をしている、蛍がモウカの尻尾をつかんでいた。

 モウカの身体と蛍の身体。両方が光包まれる。光が消えると蛍がつかんだ、右手の甲に炎の刺青が浮かびあがる。モウカの『捕獲(テイム)』成功だ!


【『迷いの森』ボスが消滅しました。後五分で脱出します】


「うぉおおお、しゃぁぁ‼︎」

「やったで、オニさん。おお? なんや新しい職になったで」


 モウカが、地面にへたり込んで放心している。まあ、そうだろうな。本当の本当、偶然の偶然が重なった結果がこれだからな。オレはモウカにジャケットかけてやる。あれ? 刺繍(ししゅう)が消えてる。……今は良いか。


「……なんで、蛍ちゃんもここにいるのですか?」

「あんなー、運動機能を通信する装置がイカれててな。影響が大きいと判断されて、強制ログオフされてたんよ。修理に三日かかったわ」


 本当に偶然、オレが強制ログオフしてから、すぐに蛍も強制ログオフされていた。結果二人とも『迷いの森』からの脱出はされなかったという訳だ。どこか歯車が一つでも狂っていれば、この結果には辿りつかなかった。


「どうやら、オレたちは縁があるみたいだぞ。ほれ、お前に返すよ」


 オレがモウカに渡したのは、改造された『黒いローブ』、『上位火精霊の毛皮』二つ、『火精霊の毛皮』だ。


「もう、形見じゃ無いからな。自分で持っとけぇ!」


 声が上ずる。ダメだ、もう泣いちゃいそうだ。


「モウカちゃん、オニさんから全部聞いたで。あたしどタマにきてるで、なんか言う事あるやろ⁉︎」

「いえす、まむ! 二人とも酷い事させてゴメンなさいなのです。……タスク、泣いてるですか?」

「泣いてないぞ! 太陽が目にしみただけだぁ!」

「……これが『鬼の目にも涙』ってヤツなんやね」


 誰が鬼だ! 泣くぞ⁉︎


 ──もうここに迷いは無い。さあ、次に行こう。

矛盾がないといいなー。

そして、次の章を考え中。小説的な書き方は無理かもしれませんが、頑張って書いてみます。

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