モウカ
この先少し書きためたいです。
そんなこんなでヘビを狩っていると『強奪』の効果がわかった。攻撃と同時に『盗む』を発動してるらしい。こりゃ便利、手数も増えたから盗むチャンスも増えてラッキー……なはずだ。
スピードに慣れてきたな、もう少し早く動いてみるか。そう思った矢先にスピードが遅くなる。また魔法が切れたか。周りに敵がいる時に切れたら危なそうだな。よし、次は時間を調べながらやるか。
「『敏捷強化』」
あれ? スピードが上がらない。魔法が使えなくなった?
「オニーさん、モウカちゃんがそろそろ進むもう言うてるよー」
蛍が腕を横に振り走ってくる。走りにくそうな走り方だな。
案の定スピードは出ていない。『敏捷強化』かけたらどうなるんだろう? そんな悪戯も魔法が使えない今は解決出来ない。残念だ。
「って精神がほとんどないやん」
「何だ精神が無いって? 幽体離脱はしてないぞ」
蛍は突然意味不明な事を言い始めた。
「『鑑定』覚えたら赤と青のバーが見えるようになったんよ。モウカちゃんの話だと赤が命で青が精神やって。オニさん、魔法使いすぎたんとちゃうか?」
「『鑑定』覚えたのか、おめでとさん。つーか、その命と精神って、HPとMPの事だろ? 『鑑定』は必須スキルじゃないか」
「オニさん『鑑定』の修行は甘くないでー」
「そんなに大変なのか?」
蛍は何か悟ったように遠くを見つめている。
「睡魔は最強の敵やったわ」
「オレが戦ってる間に居眠りしてたのかよ!」
「へへ、許してな……あたし、ちょうどここら辺で死んだんよ。でも今はここで居眠り出来るぐらい余裕になったん思うと感慨深いなぁ。これもオニさんが頑張ってくれたおかげやで、ほんまおおきにな」
「こんなヘビだらけのところまでよく一人で進もうと思ったな。そんなにキツネが大事だったのか?」
「一人じゃ進まれへんわ、途中まではモウカちゃんと一緒やったで」
「モウカちゃんと一緒だった?」
「そうやよ、ヘビに囲まれてわーきゃーしてる間にはぐれてしもうて、その後が大変やったわ」
「……それっていつの事だ?」
「オニさんが小屋で女装してる頃かな。あたしもクローゼット見たけどあないな服どこにあったん?」
「ちょっちょっとちょっと待て! 蛍が森に入った時の事を最初から教えてくれないか?」
「最初から? うーん。森に入ったら出口がのうてなー、どうしよか思てたらケツネさんがおってな。これは『捕獲』せな、と思うて追いかけたんよ」
キツネ……オレと一緒の事が蛍にもあったのか。
「したら先にモウカちゃんがおってな。初対面やったけどモウカちゃん凄く楽しい子でな、すぐに仲ようなってケツネ捜索隊ってパーティを結成したんよ。そんで次に小屋に着いたん。オニさんと初めて会うたとこやね、そやそや、ちょうどその時にモウカちゃんとオニさんとお姫様の話してたわ。あん時はまさか会えるとは思うてなかったわ、偶然やね」
おかしいモウカと蛍は先に行ったのに、どうしてモウカは切り株のところに戻ったんだ?
「小屋のカギ開けて、中に入ってモウカちゃんに白いローブを着せられたらな、聖職者になったんよ。ほんまは調教師になろう思てたんやけどね。でも、ケツネさん追いかけてる内にサブが調教師になったからええか。その後はさっき言った通り、死に戻って変態オニさんの発見や」
モウカは戻ってない。蛍といたモウカ、オレといたモウカ。モウカが二人いないと不可能だ。
「蛍ちゃん、それはタスクには内緒って約束したじゃないですか」
「あ、そやったモウカちゃんごめんな」
「モウカ、どういう事だ?」
「どしたんオニさん顔がごっつ怖いで」
モウカは今にも涙がこぼれそうなほど悲しそうな表情をしている。何が悲しい?
「縁が無かったんですね、残念なのです」
「……ちゃんと説明しろ」
モウカは首を左右に振って説明を拒否した。
「出口で待ってるですぞ。ゆっくり来てくれると嬉しいのです。乙女の準備は時間がかかるですよ。そうだ、一度小屋に戻って装備を整えてくると良いですぞ」
「モウカ、まて!」
モウカは信じられないような素早い動きで森の奥に走っていく。オレたちはモウカを追いかける。モウカの頭にリボンのような物が見える。あんなのつけてたか? ヘビに行く手をさえぎられ、モウカを見失ってしまった。
どんどん奥に進むと一匹のキツネがいた。そいつは誘うように森の奥に向かう、少し進むと森の入り口と同じ原生林の壁で覆われた道になった。そこを抜けると開けた空間に出る。その真ん中には切り株に座ったモウカ……頭に大きな動物の耳を生やしたモウカがいた。
この先を書くにあたって。自分の文章能力の低さがもどかしい。上手く書けるといいなぁ。