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ゲームがお仕事  作者: ぶぶさん
『迷いの森』
20/36

ゲームの不思議

ただ進むだけだったはずなのに苦戦。

 大ナタを一閃。毒ヘビはあっさりと光の粒に変化した。


「流石、モウカちゃん特製武器ですぞ」

「確かに凄いな」


 自慢気に言うモウカちゃんだが、やはり言葉に覇気(はき)がない。少しゆっくり行ってやった方が良いかな。

 飛びついてきたヘビをつかみ『盗む』を使う。あれ? 何も起こらない。もう一度、うーんダメだ。何か間違ってるのかな。


「オニさん、ヘビさんとにらめっこの練習かー?」

「ヘビが笑ってたまるか! 違うぞ、『盗む』をやってるんだ。でも何も起こらないんだよ」

「ほーん、ようわからんけどスキルレベルが足らんとちゃうかー?」

「なるほど、蛍は天才だな。ちょっとスキルをいじってみるか。ヘビを持っててくれ」

「ほい、え?」


 ふむふむ、主職業はMJP(メインジョブポイント)を使用するみたいだな。


「あかん、これどないすれば! あー動いとるうねうねしとぅ!」


『盗む』のスキルを一気に五まで強化するしてみると新しいスキルが現れた。

 ──『強奪(ロブ)』か、どんな効果があるんだろう。やっぱり『盗む』の上位互換になるんだろうか?


「モウカちゃん⁉︎ モウカちゃん、助けてー!」

「蛍ちゃんりりーす、りりーすして潰すのです!」

「せやかてオニさんが持ってろって! あー、ヘビさんあばれんといて!」


 ためしに『強奪』に振ってみるか。おぉ、流石に上位になるとポイント消費も上がるのか。


「うぇ巻きついてきたぁわーわー!」

「ぎゃー振り回すと危ないですぞ!」


 よし、取ってみるか。決定押してっと。


「……お前ら、何を遊んでるんだ?」


 スキルを振り終わると腕にヘビを巻きつけてはしゃぎまわる蛍と、両腕を上下に動かして踊るモウカがいた。


「タスク、早く蛍ちゃんのヘビを取るですぞ!」

「オニさぁー!」

「おう、蛍ありがとな。はしゃいでると取りづらいから一旦止まってもらって良いか?」

「んー!」


 蛍は顔をそっぽ向かせて目をぎゅっとつぶり、手を思いっきりこちらに差し出してくる。腕に巻きついたヘビを外してやると、んにぃーと変な声を上げる。


「タスク! 女の子にヘビを持たすなんて酷いですぞ!」

「何言ってんだ? さっきまでバシバシ倒してたじゃないか。持つぐらい平気だろ?」

「持つのと倒すのは別ですぞ!」

「……すまんわからん」

「ダメですぞ。頭のネジが二桁は抜けてるのです」


 こめかみに手をやり顔を左右に振っている。オレがおかしいのか?


「オニさん……あたしやりとおしたで」

「お。おぅありがとな、助かったよ」

「それは何よりや。これでもう思い残すことなく成仏できるで……」

「蛍ちゃん早まっちゃダメですぞー!」


 オレを見上げる蛍はまるで幽霊のようだった。髪は乱れ汗で張り付き、目には力がなく半笑いだ。猫背で腕は力なく垂れて白い振り袖がゆらゆらと揺れている。


「えっと、ゴメンな」

「ええんよぉ、オニさんはあたしのためにやってくれたぁんよぅね? うふふぇ、何に使おうかなぁ」

「まったく、タスクのせいで無駄な体力を使ったのです。とっとと盗むですよ」


 本当は休ませるつもりだったんだけどなぁ。とりあえず『盗む』を試すか。


【『ヘビの皮』を手に入れた】


 成功したみたいだな。えっと盗んだアイテムは、っとアイテム欄に直接入るのか。しかし、不思議だな。


「なぁ蛍、今『盗む』に成功したんだが、コイツの皮を()ったのにまだ皮があるぞ?」

「ふひぃ? あー、それはゲーム七不思議の一つやね。敵さんによっては頭とか心臓なんかも盗すめるけど、相手は死なないんやで」


 たしかに盗む、成功、相手は死ぬ、じゃ強すぎるか。よし、皮があるならもう一度。


【この相手からはもう盗めません】


 ダメだったか、一回盗ったらおしまいって事かな? うまい具合にはいかないもんだ、よし次いくか。ヘビを光の粒に変えると、手にはガラス製の透明なビンが握られていた。


【『ヘビの毒液』を手に入れた】


「何で、ヘビからビン詰めの液体取れんだよ⁉︎」


 御丁寧にヘビとドクロのラベルまでしてある。


「おー、レアアイテムゲットやね。頑張ったかいがあったわー」

「ヘビからビンが出るのは普通なのか?」

「気にしたらあかんで、これもゲーム七不思議の一つや。しかも、それみたまんま毒やろ? ビンに入ってないと手についてもうて危ないやん」


 また七不思議か。こればっかりは慣れるしかないんだろうな。


「タスク、それは蛍ちゃんに渡すですぞ」

「渡すのは構わないけどなんか理由があるのか?」

「『鑑定』の練習に使うですよ。『鑑定』がないと装備の耐久値がわからないですぞ」


 耐久値と聞いて思わず蛍を見てしまう。蛍は恥ずかしそうに身をよじっていた。なるほど、大事な事だな。というかオレにも必要じゃないか?


「オレにもどう覚えるのか教えてくれよ」

「今教えると狩りに影響が出るです。タスクはランク上げに集中するですよ。蛍ちゃん、こっちに来るです」


 少し離れたところで、耳打ちしてる。『鑑定』について話してるんだろう、疎外感あるなぁ。しょうがない、ランク上げるか。


「『敏捷増加(アクセル)』」


 動きにも慣れないとだし、今は諦めるか。恐る恐るヘビを倒していく。さっきは一撃だったのに、今は手数が増えている。力の込め方とかダメージに影響してるのだろうか。これじゃ魔法使わない方が良いんじゃないか? なんて思うとなんだか少し悲しくなってきた。

スキルの数値的な物は見直すかもしれません。もう少し考えないとー

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