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ゲームがお仕事  作者: ぶぶさん
『迷いの森』
13/36

就職:副職業

お盆休み終了

「しかし、淫獣(いんじゅう)タスクは凄いですぞ。このモウカちゃんからあっさりと杖を奪うとは、正に盗賊(シーフ)が天職ですな」


 ごそごそと物音のする小屋から、モウカが声をかけてくる。


「オレは盗賊(シーフ)なんてならないぞ、モウカちゃんと同じ魔術師(メイジ)になるんだ。せっかく魔法が使える世界なんだ、そりゃ使わないと損だろう」

「え? 違うの? うーん、盗賊(シーフ)の方が向いてるとモウカちゃんは思ったのですが。どうしようかなー? あ、ヤバそめ」


「どうした? なんか問題か?」

「え、いやぁ。ローブの修理をどうしようかなーっと。うーん……良し。これで行こう、おお!」


 着替えるにしては長いと思ったら修理もするつもりだったのか。


「どうした?」

「凄いですぞ。ローブを修理してたら、副業が裁縫師になったです」


「副って、主の方はどうした?」

「何言ってるですか、主職業は魔術師(メイジ)ですぞ」


「おいおい、いつの間に魔術師(メイジ)になったんだ?」

「えーっと、ローブを着て杖を持った時になったですぞ」


「なんだって⁉︎ 修理が終わったらオレにも着させてくれ!」

「ちょうど修理終わったですよ。おーけーです、入ってきても良いですぞ」


 小屋に入るとモウカは畳まれたローブを持っていた。ゆっくりとローブに手を伸ばす。よし、これで念願の魔法使いだ。


「後悔しないですか?」

「……あん?」

「着れば魔術師(メイジ)になれます。でも、一度なったら戻れない可能性がありますよ」


 初めて見るモウカの真剣な表情。重大な選択をせまっているように感じる。


「ああ、後悔しない」

「いえ、絶対にします」

「クドイな、しないって言ったらしない!」

「……そうですか、では差し上げます、どうぞ」


 杖とローブを差し出してくる。オレはそれを受け取り、アイテム欄から装備する。


【副職業が『魔術師(メイジ)』になりました】


「あん? なんだ副って、おかしいだろ」

「そうですね、フクはおかしいですぞ」


 モウカの声が震えている。どうした? 彼女を見ると口に手をやり笑いを堪えてる。


「何がおかしい?」

「ブフゥ! ……フク、フクがおかしいのです、ぞ」


「あん?」

「あー、変態さんがおるわー」


 のんびりと間延びした独特のイントネーションの声がする。見れば小屋の入り口に白いローブを着た一人の女が立っていた。いつに間に小屋に入った? その女は小首を傾けて眠そうなタレ目でこっちをジッと見ている。ぼーっとしていて何を考えてるのか読み取れない。


「あー、お姫様とこのオニさんや。うーん、コレは聖職者(クレリック)として正しい道に導かんとアカンのかなー? モウカちゃんどない思う?」


 何となく締まらない口元からお姫様発言が飛び出した。モウカの事を知ってるって事は知り合いなのか?


「蛍ちゃん、自分が思う事が正しいとは限りませんぞ。タスク少年は本人の強い意志でこんな格好をしてるのです」

「オニさん、そうなん?」

「だから何の話をしてるんだ?」


「着てる服の話ですぞ。だから後悔するって、忠告したじゃないですか」

「服? って、なんだこれスカートじゃねぇか!」

「背中もごっつ開いてリボンも付いとるでー」


 腰のあたりにフリル付きの大きなリボンが付いている。いやいやいや背中が開いてるってどんなローブだよ⁉︎


「修理ついでに改造してみたですぞ」

「改造し過ぎだろ! ローブのロの字もねーぞ!」


「まぁまぁ、落ち着くです。そんな格好でいきり立っても面白いだけですぞ」

「ああ、クソ! ジャケットどこだ」


 床を探しても、ジャケットがどこにも見当たらない。一刻も早く脱がなくては!


「多分、アイテムボックスに入ってると思うですよ」

「ジャケット、ジャケットこれだ! ふぅ」


「オニさんは虎のパンツや無いんやねー」

「タスク少年、猥褻物陳列罪(わいせつぶつちんれつざい)ギリギリですぞ。一歩間違えば犯罪になるのです。早くシャツを着てズボンもはくですぞ」


 上半身は素肌にレザージャケット、下は短パンタイプの下着姿だった。慌ててシャツとズボンも装備して小屋の椅子に座り込む。もう嫌……踏んだり蹴ったりだ。


「だから後悔するって、言ったのですぞ。まあ、面白かったのでさっきの事は水に流してあげるのです。ローブを返すですぞ」

「そりゃどーも。……で、ローブはどうやって出すんだ?」


「アイテムボックスからつまみ出せば良いですぞ」

「……ホラよ」


 手に現れた黒い服をモウカに投げ渡す。


「モウカちゃん、それ着るん? オニさん着てたやつやん。気にならへんの?」

「服に罪は無いのです。それよりも蛍ちゃん、わたし裁縫師になったのです。蛍ちゃんのローブも改造してあげるですよ?」


 なんか凄く酷い事言われてる気がする。


「ほんま? でもなー。体の線が隠れるから、このままでもええ気もするんよ」

「蛍ちゃん、隠すのはもったい無いですぞ。だいじだいじ、万事わたしに任せるですよ。とらすとみー」

「うーん、お手柔らかに頼むで。ワヤにせんといてな」

「予備は無いから慎重にやるですよ。任せるです、わ今は脱いじゃダメですぞ! タスク少年げっとあうと!」


 再び小屋から追い出された。何とか持ち出した椅子に腰掛け、背もたれに体重を預ける。良い機会だ色々整理しよう、ログを確認するか。

魔法職を魔術師に変えました。

キャラの練習を兼ねて訛りキャラに挑戦してます。生温かい目で見てください

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