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ゲームがお仕事  作者: ぶぶさん
『迷いの森』
12/36

就職:主職業

毎日コツコツ

「ねぇ、急いでるじゃないのですか?」


 後ろから付いてきている、モウカが不満そうだ。


「急いでる。でも、落ち葉にヘビとか隠れてたらマズイだろ? 毒ヘビに噛まれたら治す方法が無いぞ。それよりも、モウカちゃんも周りの警戒よろしく」


「はーい、タスク王子様は顔に似合わず慎重なのですな。お、前方に建築物発見ですぞ! 小屋っぽいのです」

「でかした、誰かいるかもしれないな。後、王子様は止めろ。虫酸(むしず)が走る」


 誰かいないかーと、先ほどと同じように声をかけながら、小屋に近付くが反応はない。小屋は原木を積み上げて作られている丸太小屋。木の皮ははがれボロボロ。蜘蛛の巣だらけで、周りは落ち葉が散らかっている。どう見ても管理されてるとは思えなかった。


「よし、開けてみるか。失礼しますっと。ダメか」


 小屋のドアノブを回すがガチャガチャを音を立てるだけで開く様子はない。カギがかかっているか、壊れているのかどちらかだろう。カギがあるかわからないし、ドアも劣化してボロボロだ。これならいけるだろう。


「カギが閉まってるのですか? どこかに隠してないですかね」

「カギは必要なさそうだっ!」


 左足をしっかりと地面につけ、ドアノブの横を右足で思いっきり蹴り押す。するといとも簡単にドアは開いた。カギが引っかかっていた部分が見事に壊れてる。


「何してるのですか! 器物破損は犯罪ですぞー!」

「緊急措置だ。笑って許してくれるさ」


「タスク少年は慎重なんだか大胆なんだか分からないですぞ」

「ボーッとしてないでさっさと物色するぞ。時間がないんだ、ヘビには気をつけろよ」

「うう、犯罪に巻き込まれる哀れなモウカちゃん」


「おお、中は綺麗じゃないか。これは期待出来そうだ」

「完璧に犯罪者のセリフなのです……」


 命には変えられんだろうに。先ずはモウカの靴だな。ロングブーツがあれば良いけど、サイズは合うかな。


「お、あったあった。モウカちゃん、これ履けるか試してみな。大きいなら布でも挟めばいけるか」

「何トンチキな事を言ってるんですか、サイズは物が人に合わせるもんですぞ。はぁ、一番の問題は可愛くないって事ですよ。これは由々しき問題ですぞ!」


 ああ、サイズはそういうもんなんだな。便利な世の中だ。オレはこのままで良いか。お次はクローゼットと、……何だこれ。真っ黒いフード付きの服とか、ここの持ち主は森の中をこんなの着て徘徊してるのか。呪われそうだから触れるのは止めとこう。


「うう、こんなの屈辱ですぞ。靴だけに」


 なんかブツブツ言ってるけど放っておこう。オレは長袖のジャケットを頂こうかな。あれ? 何もかかってないハンガーが一つあるな、元々無いのか?


「どくですよ!」

「ぬぉ⁉︎ って、モウカどうした?」

「こんな屈辱耐えられないのです。それならいっそ隠してしまうのですよー!」


 そう言うと、クローゼットから黒いローブを引っ張りだし着替え始めるって。


「おい、着替えはちょっと待て! 落ち着けオレは外行ってくるから!」


 するとモウカはニヤリと笑う。


「ほっほーん。意外と初心(うぶ)なんですのね。刮目(かつもく)するですぞ。奥義、早着替え!」


 その言葉と共にモウカは一瞬で黒いローブをまとっていた。


「ふっふーん。期待したですか? 残念ですねぇー。わたしの肢体を見れなくて」


「え? ああ、何だ装備ってそうなってるのか。ちょっとゴメンな」


【『レザージャケット』を手に入れた】


「アイテムパネルから選んで、装備しますか? イエスっと」


 すると手に持っていたジャケット消えて、羽織った状態で現れる。おー、便利便利。これなら、どうやって履いたのか分からない靴も問題ないな。


「あれ? モウカちゃん、その杖どこにあったんだ? うーん、杖持ってるとまんま魔女だな。でも、それで森歩きは危ないと思うぞ」


 モウカはいつの間にか、身の丈程の杖を持っていた。木製で先が渦巻き状になっているいかにも魔法使いの杖といった感じだ、モウカの無表情さが、更に不気味さを増している。彼女は杖の半分下辺りを持って身体を捻り。


「ふん!」


 オレの顔面目掛けて杖をスイングしてきた。うお! 身を屈ませてなんとか避ける。杖はそのままの勢いでクローゼットを叩いたのだろう、激しい打撃音が聞こえる。ヤバい、モウカがご乱心だ。まさか思った通り黒いローブは呪われた装備だったのか?


 これは元凶を取り除くしかないか。再び杖が振るわれる。上から下へと振り下ろされる杖を半身でかわし、杖を両手で押さえ込む。慌てたモウカはこれを取り戻そうと杖を引く。チャンス! オレは杖を彼女の方に押しだす。バランスを取ろうと前に重心が動いたところで、捻りながら一気に杖を引く!


【スキル『盗む』の獲得条件を満たしました。『盗む』の派生スキル『武器強奪(ウェポンスナッチ)』の獲得条件を満たしました】


【主職業が『盗賊(シーフ)』になりました】


 やかましい! オレは杖を投げ捨てると彼女をつかむ。そして、黒いローブを無理やり脱がしにかかる。


「いやー婦女暴行は極刑ですぞ!」

「大人しく脱がされろ! 怪我するぞ!」

「おちょくった事謝るですよ! 助けーてー!」

「任せろ、今すぐ助けてやる!」

「やめて!」


 クソ、抵抗が激しくて、どうやっても脱がせない。破くしかないか?


「おっりゃぁぁ!」

「ぎゃー何やってるですか!」

「なにぃって、呪われたロー、ブを、破るんだよ!」

「ダメですって、そういうのはそういう関係になってからじゃないと! って、違うですよ、呪われてないのです。わたしは呪われてないですよ!」

「ウソつけ! いきなり攻撃、仕掛けて、きたろうぅが」

「それはわたしを無視するからですぅ! わたしの意志でやった事ですぅ!」


 え、呪われてないの? ローブを手放すと彼女は崩れ落ちて膝をつく。胸元を抑えて呼吸も荒く涙目だ。

 あー、えーっとこれは。どうしよう。


「ふー、ふー。魔術師(メイジ)を敵に回すとはいい度胸ですぞ。背後からの攻撃に怯えると良いですよ」

「いや、ホントにスマン。緊急事態だと思ってだな」


「言い訳は男らしくないですぞ。あーあ、ローブの耐久値が下がってるのです。修理しないと道中装備がパージしそちゃいそうです。そしたら、また淫獣(いんじゅう)タスクに襲われるですぞ」


 襲うか! と言いたいがグッと我慢だ。モウカは立ち上がりこちらを睨みつけてきた。


「ローブを脱ぐから外に行くのです! モウカちゃんが良しと言うまで、誰も入って来ないようにドアの前で見張るのですぞ!」


 さっきは目の前で着替えてたじゃないかとは、やはり言えないんだろうな。素直に応じて小屋から退散する事にしよう。

タスクさんは女性にAEDを使えるタイプの人間です。

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