よにんではじまる
人間はこちらに近づいてきた。
「どうしたの?何か依頼しにきたのかな?」
人間は微笑みかけてきた。目に映るのは黒く長い髪が腰のあたりまで伸び、すらりとした容姿で巫女服をまとった女だった。
何か答えようとすると、自分は問いに答える手段を持っていない。どうしようもなく、人間が手に持っていたものを見つめていると、
「もしかして迷子?いや、こんなところにあり得ないか...。ん?この鳥の足が食べたいのかな。いいわよ、はい。」
女の差し出してきた足を食べていると、
「おーい、鈴花〜。何やってんだ〜?」
声をたどって見上げると、二人の人間が降りてきた。うち一人は白く長い髪を束ねた髪を揺らし、大人しそうな美貌をもった女で紫のドレスをみにまとっている。
もう一人は短い金髪で、背の割には筋肉のついた細身の男で、半袖に半パン。動きやすそうだ。こちらは手に山菜の入ったカゴを持っている。
「おお、ちょうどいいところに...って桜、パンツ丸見えよ。」
桜と呼ばれた女は顔を赤らめながら、
「誰もいないからいいではありませんか!というより、その子は誰ですか?あなたの隠し子?」
「うーん、それがさっぱり、何も答えてくれないし、あなた達の子供なのかと思っていたところよ。」
「「んなっ!?」」
二人の声が重なった。やり返そうとした桜はさらに辱めを受け、沸騰寸前だ。
「年齢的にあり得ねぇよ!俺たち全員18だろうが!おいお前、迷子か?なら親探してやっから早く言え。」
「こら彰人。そんな乱暴はダメでしょ。」
鈴花が自分と彰人の間に入ってきた。別にどう聞かれようと応えようがないのだが。とにかく何かを伝えようと手を動かしていると鈴花がきいてきた。
「もしかして、喋れないの?」
頭を縦にふる。
「うーん、まあ、夕方に師匠がこられるからその時に聞きましょうよ。」
桜そう提案すると二人とも同意した。すると鈴花が
「よし!ならそれまでみんなで遊ぶわよ!」
指を高くあげ叫んだ。
「鈴花はいっつもそれよね。少しは落ち着きを持ってはいかが?」
「まあ、いきなりなのはもう慣れたけどな。子守くらいしてやろうぜ。」
「きっまりぃ!それじゃあ鬼ごっこ行くわよぉ〜!!」
「「「おー!!」」」
三人の声が高らかに響いた。
「で、その結果がこの有様と」
白く肩まで髪を伸ばし、桜よりも落ち着いた雰囲気を醸し出した黒のドレスの女は床に倒れこんだ三人を見ながらため息をもらした。
「いやー、違うんだよ師匠。こいつおもったよりもやりやがんのよ。」
彰人はこちらを指差した。
あーそういえばと言いながら鈴花が顔だけ女に向けて
「梅はこの子が何者か知らない?」
梅と呼ばれた女が近寄ってきて、
「この子はおそらく餓鬼ね。」
そう言いながら頭を撫でてきた。
「ガキって急に口悪くなったわね。」
鈴花が少し笑う。その様子をみて梅が微妙な顔をしていると、
「ガキってあの『餓鬼』ですか?」
ようやく復活したーといってもこちらもくびだけだがー桜が梅に尋ねると、
「そうよ。種族としての『餓鬼』。あなた達が『人』であるのと同意義でね。まあ、餓鬼なんてこの島でも『人』より下の位の最下位の一種、そこらの虫とかと同値だし、鈴花が知らないのも無理ないかもね。」
「やっぱり口悪い。当人がいるのにねぇ。」
鈴花も頭を撫でてきた。流行っているのだろうか?
「事実だからよ。でもおかしいわねぇ。」
「何がです?」
桜が尋ねると、梅は深々とため息をつきながら、
「あなた達はまだまだ勉強が足りないわね。いいわ、ちょうど全員へたってるし、今日の修行はどうしようかと思ってたけれど、ここはこの島について復習しましょう。」
三人は露骨に嫌な顔を梅に向けたが、自分たちの状態を見て、承諾せざるをえなかったのだろう。しぶしぶ体を起こす。鈴花だけはまだまだ余裕なのにとぶつぶつ言っているが。自分もなんとなく聞くことにした。
とりあえず最初の主要メンバーはこの4人と一体の予定です。はい、予定です。
あと服とか適当に決めたので変更するかもしれません。
初投稿なのでこちらの使い方やルールなんかも微妙なところがありますので、ご指摘がございましたら、何卒おっしゃっていただけると幸いです。