珊瑚/裏山おもて『オチるセカイのファンタジア』
最近、小説家になろうっていうサイトにハマってるんだ。オススメの小説とかある?
誰かにこう問われた時、必ず私が一番最初に推す作品がこれだ。
ジャンルはファンタジー。初めての人向けには少し長めの話数だが、ほぼ一人称の文体で軽く読みやすいので、始まってしまえばまるで関係なくあっという間に読み進めてしまえる。
ホラーや文学的作品を得意とする作者からすると些か不本意なチョイスかもしれない。もちろんこの作者が書くホラーもちょっと不思議な学園モノや短編も大好きだけれども、どれか選べと言われてしまうとやっぱりこれなのだ。許してください。
主人公の飛羽トビラ。彼はバイト先で都市伝説レベルのゲーム機をもらう。
『好きなジャンルの夢を見ることができて、夢の中で世界中のひとびとと交流することができる画期的なゲーム機』であるそれを装着し、いざ夢の世界へ……という時に突然バグが発生! 彼は一部の記憶を失った状態で異世界へと飛ばされてしまう。
そこは「MAC」と呼ばれるカード型の魔法練成端末が使えないと生きていけない世界。使える魔法がほとんどない「没落貴族」属性の彼が唯一手に入れた魔法、それは『縦軸座標を支配する転移魔法』だった。
今までの人生、なんとなく流されることで時間を費やしてきた彼は友と出会い、師と出会い、背中をあずけ合える仲間と出会うことによって、自らの道を選び取り進んでいく強さを手に入れていく――
と、ここまで読んで「えーただの王道展開じゃんツマンネー」と思ったそこのキミ。いやいやちょっと待て、侮ってはいけない。
主人公はなぜ最弱属性なのか?
師匠である天才少年の言葉のウラにはなにが潜んでいるのか?
先輩弟子の彼女は、どうして千八十五年という償いきれない刑期を科せられたのか?
全ての伏線がぴたりと一つに重なった時、物語はようやくその全貌を明らかにし、終局という名の始まりへ向かう。
最終章では文字通りページをめくる手が止まらなくなっているはず。
エンディングにたどり着く頃、読者は思わず「ああああああ……!!」と声を上げることになるだろう。
……うわあ。レビュー書いてたらまた読み返したくなってきた。
すみません、ちょっと席外してオチファン読んできます。
『オチるセカイのファンタジア』
作者名:裏山おもて
作品URL:http://ncode.syosetu.com/n5568bv/




