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マッチ箱殺人事件  作者: 松永 幸治
2章 奇解
8/16

確信

残留組にはただならぬ雰囲気が漂っていた。

最も、下山組も気持ちは同じだろう。

私、桜井は落ち着きを取り戻し冷静に状況を判断する事に専念した。


「涸沢副部長、昼食が終わったらちょっと書斎をもう一度一緒に見よう。」

「もちろんいいとも、桜井部長。」


私達は書斎にむかい、現場調査を行う事にした。

途中女将とすれ違い、夕食の案内をしてくれた。こんな時に、気丈な方だ。


遺体発見から4日たつが、浅香は別段、腐ったりはしていなかった。

硫黄の香りは、まだ残っていた。


「…桜井部長、女将をよんできてくれないか?」


私は頷くと、女将のもとへ走った。女将はすでに夕食の準備を手がけていた。

女将を連れて行くと、涸沢は藪から棒に質問した。


「女将村上氏、この家に酒はあるか?たとえばーウイスキーなんか…。」


「ああ、それなら浅香様のお気に入りが仕入れてありますよ。

確か…おくともあ?」


「オクトモアだな?」


「はい、ご用意しましょうか?」


「食後にいただこう。」


言うなり女将は、すたすたと去って行った。


「今の質問はなんだったんだ?」


「ウイスキー、特にスコッチの中には、強烈な香りを持つものがあるんだ。中でもオクトモアは、その香りを示す「フェノール」値が抜群に高いんだよ。」


「どんな香りなんだ」


「食後のお楽しみだ。のんびりやろうじゃないか。もう犯人はわかったようなものだよ。」


私は衝撃が走った事をここに告白しておこう。私には、全く犯人の検討がつかんのだ。


「重大ヒントをやろう。

薬の中に、酒との相性が悪いものがある。ジスルフィラムアルコール反応といって、強烈な頭痛や嘔吐をひきおこすんだよ。体調は最悪になる。」


そして食後に頂いたウイスキーからは、確かに強烈な香りがした。

そうー正露丸のようなー焦げた香りであったりーこれは…硫黄……?



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