表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
マッチ箱殺人事件  作者: 松永 幸治
一章 侵食
7/16

第三の犠牲者

殺人者を含む作戦の決行は翌日早朝となった。下山組が野宿する事無く任務を遂行するためだった。

みな与えられた部屋に収まり、朝を待った。僕は緊張のあまり、よく眠れなかった。


恐ろしいほどに静かな、夜だった。


開け放した窓から森の香りがする。涸沢はカビの一種の香りだ、と教えてくれたが、それだけではないだろう。

落ち着きと衝動の狭間が夜の闇に染み込み、僕の意識と共に消えた。


西島の死は翌朝、訪れた。発見したのは桜井だった。物音を聞いて突入してみたらしい。


「馬鹿な!どういうことだ!いったいどうしたっていうんだ。誰だ!誰が殺したんだ!出てこい!!」


驚いたのは、桜井が取り乱していたことだ。彼の精神状態はいち早く、限界を迎えていた。


「落ち着きたまえ、桜井部長。現場を検証しよう。

梶、煙草が吸いたい。ライターを…、いや、いい。死体(こいつ)がもってたよ。」


涸沢は死体の脇に例の如く落ちていたマッチをすり、煙草に火をつけた。

その死体はまさに異形であった。首から上が、プラケースに包まれていたのだ。

襟元はサイズの調整できる輪っかとなっており、さらにケース上部には開閉式の穴があった。


「死因は恐らく一酸化中毒だな。眠らされるかして、この箱に顔を突っ込まれたんだろう。

上の穴からマッチを掘り込み、酸素を奪ったんだな。

なんだってこんな回りくどい事をするんだろうね」


涸沢はこの事態に、どこか楽しそうな節を見せた。彼は事件をどう捉えているのだろうか。


「グループ変更をしようよ…」


進藤は飽くまで弱気だ。


「いや、犯人がここに来て殺人を犯すということは、恐らくグループ変更が目的だ。

このままでもよかろう。どうせ西島氏がいてもダメなときはダメだ。」


結局、下山組は荷物を整え、山を下ることになった。段取りはこうだ。


残留組が現場検証をし、状況をなるべく守る。

下山組は携帯の繋がるところまで出たら即座に電話で警察を呼ぶ。


僕は涸沢との別行動に、多大な不安を覚えた。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ