最悪の黒-012
実験記録 0001
被験体
・氏名:不明
・種族:エルフ
・性別:男
・年齢:外見30代 ←エルフは外見で年齢が判別できないため後ほど照合予定
・実験直前の状態:恐慌
・刺傷箇所:胸部左部
・特記事項:
この世界に渡って初めての実験。
あの日と同様に、いつも通りに【無銘】を生成し、「太刀打ち」を行った。
結果、標準世界ガイアの妖魔の類と同様に刃に被験体の魂と魔力が封印される。
この世界でも魂はガイアと同様であり、「太刀打ち」そのものは問題ないようだ。
その後、「魂抜き」をせずに手に所持したまま経過観察。
約1時間後、柄が弾け飛び、刃が魔力となって霧散した。
「魂抜き」せずに封印状態を維持しようとするとこうなるらしい。この世界にも魔物の類は存在するようなのでそちらでも要検証。柄がはじけ飛んだ状況を見るに、不安定な封印状態のまま「蔵」に放り込むにはなかなか勇気がいる。
何にせよ、「ヒト」も妖怪と同様に魂を刃に封印し続けるのは困難なようだ。要試行。
では何故、あいつは太刀の形を保ったまま俺の中に存在し続けることができる?
俺と血の繋がりがあるからか?
あいつの意識が健在で、自分の意思で封印され続けている?





