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カレーの具は思い出と努力の中に有り2

カランコロン────



「「「「ありがとうございました」」」」


最後のお客様をお見送りして、本日の営業は終了した。

ひまわりは、店の外にある看板をCLOSEに変えて戻ると、スイの怒りのオーラが店内に充満していた事に気付いてしまった。


(き……気まずい空気……かも)


「エンジ、どういうつもりですか?」


「何がだよ」


「料理対決の事です。ましてや、レディに挑んだあの方は……マナ王国の一流シェフ・アニス様を父上に持つ令嬢ですよ?」


「アニス様……って?」


「マナ王国の国王と貴族専門の食頭領(しょくとうりょう)と呼ばれる人だよ。料理人の鑑とも呼ばれている、シェフを代表するリーダーってところかなっ」


「そんな凄い方の娘さんだったんだ……(めちゃくちゃ性格悪そうだったけど……そこはどうにもできなかったのかな……)」


「あんな事言われて黙ってられる方が可笑しいだろ……────」


「なんですって……」


「まあまあ、そんな空気重くなんないでよ~!。料理はカレーでしょ?なんとかなるって」


「レディ……貴女、本気で仰てますか?」


「え?」


「ひまわりの世界のカレーはどのような過程で作るんだい?」


「具材を切って、炒めて……そこであたしはアレンジでニンニクとか生姜を入れたりするけど……、通常は水を入れて中火で煮込んだら一旦火を止めて、"ルウ"を入れてとろみが出るまで弱火で煮込む。」


「"ルウ"…と、言うのは?」


「え、カレールウだよ?」


「カレールウ?」


「えっと……固形物の……見た目がチョコーレートの分厚いバージョンみたいな……───って、知らないの?」


「……成程、レディの世界では手軽にカレーが作れるのですね」


「時短が出来て最高だねっ。そんな素晴らしい物が君の世界では存在しているのか……」


「???」


頷くスイとソウに困惑するひまわり。


「ま、まさか……この世界に……カレールウは無いの!?」


「そんな物はねぇーぞ。オレ達の世界では、一からカレースパイスを作るんだ。」


「えええええええええ!?」


「ひまわりはカレーを作る時はその……ルウを使っていたんだね」


「勿論!〇〇〇〇ド・カレーとか、〇〇〇み先生のカレー粉とか……」


「聞き慣れないですね……───何かの音と合わさって聴こえるのですが……」


「ふふっ、あまり深くは突っ込まないでおこうよ」


「ってゆーか……エンジ!!なんでカレーをお題にしたのよ!!」


「しょ、食戦争と……──お前の為に決まってんだろ!!」


「あ、あたしの為!!?。……とか言っておきながら…何かあるんじゃ……?」


「……カレーは、エンジの苦い思い出の料理でもあるんですよ」


「苦い思い出?」


「スイ!!、余計な事言うな!!」


「人を巻き込んでおいて余計もありませんよ。」


「ふふっ、でもこれはチャンスだと思うよ」


「チャンス?」


食頭領(しょくとうりょう)のアニスさんの娘さんに勝てれば、王国に食戦争の事を広められるかもしれない。そ・れ・に……ひまわりがカレーを作る事に成功すれば、スパイスを生み出すヒントにもなるかもしれないよ?」


成程……確かに一理ある。

結局スパイスの女神と言われても、あたしはまだそれらしいスパイスとやらは生み出せていない。でも、この世界で本格カレーを作る事ができたら……


「早速カレーの作る練習がしたい!!」


「そうこなくっちゃ」


「ちょっとエンジ、責任取って練習付き合ってよね?」


「い、言われなくてもそうするつもりだ!!」


料理対決まであと7日─────


「女の意地を見せたる!!打倒!アニス娘!!」


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