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三銃士登場

「ちょっとあんた何なの!?」


「ソウ様から離れて!!」


「ソウ様!!どうして!?」


ギャーギャー騒ぎを立てる女性軍団に、ひまわりは圧倒されていた。

辺りを見渡すと、木製で出来たテーブルに椅子……


「あれ!?此処って……」


「ようこそ、レストラン・エルピスへ」


「エルピスって……」


「キミは、僕の妖精・アモネによって導かれた女神なんだよ?」


少し不思議な雰囲気を漂わせた、草花が似合いそうな青年はそう言った。

"アモネ"────それはきっと、あの妖精の事だろう……


(一体どうなってるの…?。それに此処に居る人達……、少し変わった格好をしてる……──何処かの国の民族衣装っぽいような……)


「どうかしたのかい?」


「いや……アモネは何処に行ったのかなって……───後…、そろそろ離れて頂けると!!」


先程から、抱きかかえられている体勢で居るせいか、女性民族軍団からの集中的な鋭い視線が身体に突き刺さって痛い。

青年は「ああ」っと、ニコニコと微笑みながら

ひまわりをそっと優しく降ろした。

すると厨房から、ドカドカと乱暴な足音が響く。


「ったく!!おめェらうるせぇんだよ!!!。料理に集中出来ねェだろうが!!!怒」


なんとも『短気』という言葉がピッタリな、炎のように顔を真っ赤にした青年が出てきた。


「凄い…、頭から湯気が出てる……」


「ははっ、"エンジ"は怒るとゆでだこになるんだよねぇ笑」


「んだとぉーーーーーーッ!!?」


ばしゃんっ!!!!────────


「……煩いですよ、エンジ。レディ達の前でみっともない……」


更に厨房からクールな青年が腕を組みながら呆れ顔で登場。クールな青年の周りに、空中に浮いた小さな水の塊達が、次々とエンジに向かって突進をする。


ばしゃん!!ばしゃん!!


ポタポタと、エンジと呼ばれた青年から雫が垂れ落ちた。


(えええ!?どうなってるの!?)


「……所で、ソウ───……この、私の周りでグルグルとしている可愛らしいレディは?」


「ふふっ、彼女が《《僕らの女神》》だよ」


「ん!?女神って……」


「つー事は……、スパイスが今度こそ出来るんだな!?」


「……成程……、アモネは成功したのですね……」


「あのぉ~……全くもって話が見えないんですけど……───ってゆーか!!あなた達は誰!?それに此処は何処!?」


「女神様、此処は「マナ」という国でございます。」


「マナ?」


聞いた事の無い国の名前だった。


「改めて自己紹介させて頂くね。僕は、ソウカンパニュラ・フォークン」


「オレは、エンジュ・スープン。エンジでいいぞ!。」


「私は、スイレン・ナイフーンです。以後お見知りおきを……レディ」


「は、はあ……、あたしは…日下部ひまわりです」


「ひまわりか……可愛らしい名前だねっ」


「あ、ありがとうございます」


何だかこの……ソウという人は慣れない……。なんてゆーか……こう、全身がむずむずするというか……────道端で毛虫を発見してしまったかのような感覚に襲われる……


「レディ、貴女がこの世界に呼ばれた意味……───それは、我々の国が滅びる寸前という事なのです」


「はい?」


「もうすぐ、この国は戦争の炎に包まれる……」


「はあ?」


「意味の無い争いのせいで、この国の人々は命を落としていくんだ……」


「へぇ?!」


「それで、オレ達は考えた!──戦争でなくても、戦える方法があるんじゃないかって」


「それは……────食戦争!」


「食……戦争?」


「そう、人間同士で戦うのではなく───料理で戦うんだ」


「料理で戦う……」


なんとも斬新というか…


「然し……食戦争は世界では広く浸透されていないのが現実であり……」


「僕達は戦争までに間に合わせる為に、色々な方法を試した結果……───キミを召喚させる事に成功したんだ」


「え……その食戦争とあたしがどういった関係で……」


「料理にはなんてたって、スパイスが必要だろ?」


「まあ、そうですね……」


「この食戦争に欠かせないのが、スパイス……───それが、レディなのです。」


「はああああ!?」


「まあ簡潔に言うと、僕らの料理にスパイスを添える女神様って事だよ。因みにそのスパイスは、人の心を動かすって伝説となっていたけど……ホントなの?───そうだとしたら、是非とも試させて欲しいなぁ!」


「ちょ、ちょ、ちょっと待ってよ!!。あたし…スパイスなんて持ってないし!!」


「……では、レディ───貴女が得意とする料理はなんでしょうか?」


「え!?……あたしの得意料理は────TKG(たまごかけごはん)よッ!!!!!」


ピキ────


その時───周りの空気が凍り付く音がひまわりには聞こえた。


「……え?」


「い、いえ……、卵かけご飯も立派な料理……───」


「料理音痴なあたしが、唯一できる料理よっ!」


「威張って言うな!」


「でも、料理は料理だ───ひまわり、卵かけご飯を作ってみてくれないかな?」


「ええ!?卵かけご飯を!?」


「キミが本当に女神ならば、真心の愛情スパイスが出せるはずだよ」



「真心の…愛情スパイス?」



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