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ミントの花言葉、かけがえのない時間

『ソウはどうしてたたかいたくないの?』


『人を傷付けてしまうからだよ』


『でも、自分たちの国を、悪いひとたちからまもるためなんでしょ?』


『うーん……そうだねぇ…────でも、その悪い人達にも、理由はちゃんとあって、僕達の国と敵同士になってしまったんだ…。』


『あたし、むずかしいお話し分かんないけど……、ソウがたたかいたくない!って気持ちをみんなに伝えなきゃだめだよ!』


『ふふ、そうだね……。話し合って、素直になって…お互いにごめんなさいが出来たら良いのにね』


軍服を着た青年は寂しそうに微笑んだ。

なんだか胸が締め付けられる。その時のあたしは幼いながらも、自分の無力差に腹が立った。


ずっと記憶の奥底に眠っていた、初恋の思い出


美しい草原の様に優しい雰囲気を持った人

彼は『ソウ』と名乗って、お腹が空いたあたしに料理を振舞ってくれた。


『あたしお野菜嫌いだけど、このスープはだいすき!!』


そのスープには新鮮な野菜とソーセージとハーブが入っていて、優しい味にホッとする。


『ちびのクセによく食べるな~』


『冷たいお水もありますよ』


顔はボヤけてあまり覚えてはないけど、下手くそだけど美味しいおにぎりを握ってくれて、冷たくて美味しい水を注いでくれた。


『3人のレストランつくろうよ!』


『はあ?、無理に決まってんだろ!』


『やる前からあきらめてどーすんの!?。……それとも、びびってるとかぁ~?』


『はーーーー!?ぜってぇ作ってやるし!!!』



『じゃあ、お客さん第1号はあたしだからね!!』


『ふふ、じゃあ…約束だ───僕達のレストランが出来たら……』




”君を迎えに行くから待っていて”




そこであたしの夢は途切れた─────



「!!……っ」


ガバッと起き上がると、自室は真っ暗だった。

いつの間にか眠ってしまっていたしい。


「……もしかして……、ソウって……」


なんで今まで忘れていたんだろう。

一番大好きで、大切な思い出─────

あの夢は夢じゃなくて、現実だった。

だって、ソウの温かさが"あの時"も”今”も同じだから。


「……お水飲んでこようっと……」


制服のまま寝てしまったから、身体がガチガチに痛い。肩を回しながら1階に降りると、スーッと爽やかな香りと甘い香りが広がった。


「この香り……チョコミント?」


ガシャンッ!!!────────


床に、ボウルの中に入った溶けたチョコレートが撒き散らされ、ミントの葉っぱが厨房を埋め尽くす程に生い茂っていた。

その生い茂ったミントの中に─────


「ソ……ソウッ!!!!!」


ぐったりと、ソウが横たわっていた。

急いでひまわりはソウに駆け寄るが───

「ウソ……息してない!?────」



その様子を、ひまわりの背後で見守る者がいた。

黒いローブを身に纏い、表情は見えない。


《ミントの花言葉は…"かけがえのない時間"──君達の思い出を利用させて貰うよ……───僕が"僕"に勝てるのか……》


寂しそうに笑みを浮かべるその人物は、そっとひまわりを後ろから抱き締めた。


《……僕を、思い出して────忘れないで……》


しかし、その言葉は少女に届く事も無ければ気付かれることもなかった。


「ソウッ!!起きて!!……嫌ッ!!!ソウーーーーーッ!!!」

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