チョコミントを唇に添えて1
モヤモヤ
(うーん……なんだろうか)
モヤモヤ
偶然見てしまったのは、スイがひまわりの頬に唇を添えていた場面だ。
彼女は可愛らしくプチトマトの如く頬を紅潮させて、当てられた頬を抑えて部屋に颯爽と戻っていった……。
「なんで、こんなにモヤモヤするのだろう……」
売上表を記入せねばならないが、その手がいちいち止まるのは……この"モヤモヤ"のせいだろう。こんな時こそ……僕は「チョコミント」のクランチを食べる。
「チョコとミントか……」
爽やかなミントに濃厚なほろ苦いチョコの甘さが合わさって
「ふふ…、美味しいや……」
「何1人で笑ってるの?」
「わあ!?、ひ…ひまわりか……脅かさないでよ~」
「人を化物みたいに……───まったく、失礼しちゃうわっ」
彼女はとても魅力的だ。
純粋でひたむきで……、僕の心にいつの間にか……────
いや、前から存在していた気がする…?
「ねぇ、ひまわり……──1つ聞いていいかな?」
「ん?」
「君は……、僕の事を前から愛していた?」
「はーーーーーーーーー!?」
何故だか………
彼女が愛おしくて仕方が無い。
ひまわりの両頬に手を添えて、顔をグッと近づける。
「不思議だな……、君の事が……何故だか分からないけど愛おしく思うんだ。」
「そ……そんな急に言われても……────さ、寒気するんですけど……」
「君は……エンジが好き?───それとも、スイが好きかい?」
「な、な、何言ってんの!!?」
本当に、何を言っているのかが分からない。
……でも───────
《彼女が………僕達を必ず止めてくれる》
もう1人の僕が………
過去に過ちを犯した僕が……そう言うんだ
(過ち?……)
《何人……犠牲にしたんだ……?───まだ、続ける気か?》
分からない──────
どうしてそんな声が聞こえるのか……分からない。だけど……今は、目の前にいる彼女を愛していると思うだけ。
「大好きだよ」
そのまま優しく、チョコミントの風味がする唇を、彼女の唇に添えた。




