表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/20

お互い苦労人

「……え、ヴァイスくんだよね? 私のことをサヤって呼ぶってことは?」

「あ、あぁ。 お前はサヤだよな?」


 僕の問いかけにサヤはこくりと頷いた。

 ……驚きだ。 

 まさかこんなところでサヤと再会するだなんて。


「いや〜。 メイドさんになったってのはこの間聞いてたけど、まさかこんなに可愛くなっちゃうだなんて」

「まぁ色々あったからな。 この身体にもある程度慣れた」

「ふ〜ん。私としてはキュートなヴァイスくんも全然いいと思うけどね!」


 昔と何一つ変わらず、ハイテンションのサヤにどこか懐かしさを感じながら、僕は一つ質問を投げかけた。


「ところで、どうしてこんなところにいるんだ?」

「……え」

「どうして天界に戻ってないんだ?」

「…………」


 以前魔法通話をしたときから問い詰めようと思っていたことだ。

 案の定サヤは「え〜っと」と目を泳がせて言い訳を探していた。

 しめしめ、いい気味だ。


「どうしたんだ? この間あんだけ僕をバカにしておいて、まさか天界から追放されたまま、なんてことはないよな?」

「う……うぐ!」


 サヤは悔しそうな顔を浮かべた後、観念した表情で肩を落とした。


「そうだよ。 追放されたまま……ずっと帰れなかったんだよ! どうだ! まいったか!」


 とうとう観念したサヤはなぜか胸を張って得意げな表情で高らかに宣言した。


「……そうか。 まぁ、生きていたらいいこともあるさ」

「あ〜! ちょっと! 憐れみの視線向けるのやめてくれない!? 言っとくけどヴァイスくんだって対して変わらないんだからね!?」

「うぐ、それを言われると耳が痛い」


 なんだかんだ言って僕もサヤも境遇は似たようなものだ。

 かつての威厳はどこへやら、誰かの下でヘコヘコ働く日々……。


「……それで、どうしてここに?」

「ん? いやぁ……まぁヴァイスくんと違って私は封印はされなかったから、追放されて……でもその時は女神の力を失くしちゃっててね。 色んな人と出会って生活してきたんだ」

「……へぇ」


 先程までの明るさから一転して、どこか憂いげな雰囲気を漂わせるサヤを見て、僕はそれ以上の追及を控えた。


「レイラさまに拾ってもらったのも成り行きだね。 色々あってお世話になってるんだ〜」

「ふふっ。 お前が誰かに『さま』だなんて付けるのはなんだか新鮮味があるな」

「あ〜! そんなこと言ったらヴァイスくんだって、最初私に敬語使ってたじゃん! お互い様だよ!」

「あぁ。 そうかもな」


 なんだかこんなやり取りをするのも懐かしいように思える。


「そうだ。 レイラに紅茶を淹れてくれと伝言だ。 あまり長居すると不思議に思われてしまうだろ?」

「りょ〜かい! ヴァイスくんも手伝ってくれるよね?」

「仕方ないな。 僕の淹れる紅茶は不味いぞ? それと、今はセリカだ」

「あははっ! なにそれ。 分かったよ、セリカちゃん!」


 かくして僕たちは遅れを取り戻すべく、急いで紅茶を用意するのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ