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手荒な歓迎

 魔法陣から放たれる光が消え、綺麗になった視界に映っていたのは鮮やかな自然であった。


「ここは……」

「森の中だ。 王都からは割と離れたところにあるな」

「へぇ……」


 サーチェが言うように周囲には木々が生い茂り、どこからか鳥の囀りが聞こえてくる。

 サーチェが指差す方向には、森の中にしては異様なほどにポツリと洋館が佇んでいた。


「ここが俺の師匠の住処だ。 ちゃんと土産は持ったな。 ……じゃ、入るぞ」

「はい」


 なぜか意を決したような表情をしたサーチェに続いて、洋館へと入室する。


「……! っぶねぇ! おい、セリカ大丈夫か?」

「………………えぇ。 なんとか」


 僕が入室したその時、目の前から数本のナイフが飛んできた。

 咄嗟のことに反応ができなかった僕であったが、サーチェが全てをいなしてくれたおかげで大丈夫だった。

 一体誰が……。 僕がその犯人を見つけるまでもなく、どこからか声が響いてきた。


「いやぁサーチェ。 久しぶりに会ったが腕は落ちていないようだね、師匠として誇らしいよ」

「……たっく。 何が誇らしい、だよ馬鹿が。 本気で殺しに来てんじゃねぇよ」

「ふむ……まぁいい。 まずはよく来てくれたね」


 パチン、と指を鳴らす音が響いたかと思ったのもつかの間、いつの間にか大広間へと僕達は移動していた。


「転移魔法の……応用?」

「ふむ、君はどうやら中々魔法の造形に詳しいようだね」


 思わず漏れ出た言葉に、声の主は反応した。

 眼前にて豪華な椅子に腰掛け、こちらを値踏みするように見つめていたのは、流れるような銀髪を持った美女であった。


「はじめましてお嬢さん。 私はレイラ。 君の主人のサーチェ=マグノリアの師匠さ」

「どうもはじめまして。 私はセリカ、ご主人様のメイドです、以後お見知りおきを」


 その美女、もといサーチェの師匠であるレイラは私の挨拶ににっこりと笑顔を浮かべると「まぁ立ち話もなんだ、座ってくれ」と指を鳴らして2つの椅子を用意した。


「おいおい。 話は終わってねぇぞレイラ。 俺はともかく、セリカに当たってたらどうしてくれたんだよ」

「ん? まぁ当たらなかったんだからいいじゃないか。 なに、私なりのコミュニケーションってやつさ」

「コミュニケーションで人が死んでたまるかっての」


 流石は師匠と言うべきだろうか、口論においてサーチェを呆れさせるレイラの手腕は素晴らしかった。

 レイラは「そんなことより……」と僕の方を向いて


「セリカ、と言ったかな? 君はかなり魔法に詳しいようだね。 どうだい? メイドなんかやめて私のもとで魔法を鍛えないかい?」


 と話しかけてきた。


「え? 私ですか?」

「あぁそうさ。 このサーチェは魔法の才がまったくと言っていいほど無くてね。 私の本職は魔法なのだが……なぜか格闘術を叩き込むハメになったのさ」

「うるせえ。 だからってセリカを持ってっていい理由にはならねぇだろ」


 サーチェは面倒臭そうに返答するが、正直僕としては少し魅力的な提案である。

 このままサーチェの場所にいても暗殺できる可能性は薄いし……何かしら鍛える必要があるのではなかろうか?


「少し考えさせてもらっていいですか?」

「あぁ。 もちろんさ」

「……え、嘘だろセリカ」


 不敵な笑みを浮かべるレイラと、予想外と言いたげな表情のサーチェ。

 師弟で真反対の反応をして見せる二人なのであった。

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