表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
42/42

ハイタッチ

「・・・・・・・はぁ。」

自室の椅子に座り俯く。


「昼休みも、だめでしたわ。

放課後の新人戦の練習でも。

・・・・・・うぅ。」


滴が手に落ちる。

悔しさ、不甲斐なさ、

そして、恐怖が胸の中で溢れ出す。


「このままでは・・・・・お兄様に。」

滴の落ちる量が増える。

1つ、2つ、3つ、と落ちていく。



「・・・私は、ダメな子ですの。」

言葉に出すと余計に虚しくなり、机に伏せる。



コンコン


扉からノックの音が聞こえる。


「・・・・こんな時間に、誰ですの?」

涙を拭い、扉に向かう。


「はい、どちらさまですの。」

扉を開けると、赤髪のいかにも

元気そうな女子がいた。

アリーだ。


「やぁ!!入っていい?お邪魔しまーす!」

と返事を返す前に自室に、入ってきた。


「ちょっと!!返事をする前に

入らないでください!!」

大峠で、アリーに注意する。


「え〜だって、入れてくれなさそうだし〜。」

と悪びれずに、ベッドの端に座る。


「・・・はぁっ。それで用件はなんですの?」

用件を聞く。

早く帰って欲しいが、用件を

終わらないと帰ってくれなさそうなので

話を進める。


「いや〜。今日の授業や放課後の

新人戦の練習で様子がおかしかったから

見に来たんだ〜。」

頭の後ろを掻きながら、用件を話す。


「あなたに、心配される必要はありませんの!

早く出ていってくださいません?」

と追い出すように言う。


「え〜。友達の様子がおかしかったから

心配して来たのに冷たいな〜。」

と口を尖らせる。


「いらないお世話です!!早く出て・・・・

・・・・友達?」

出ていくように叫ぼうとした瞬間、

思ってもいなかった言葉で勢いを失う。


「そう、友達が辛そうなら、心配するでしょ?」

にぱっと元気な笑顔を向けられる。



「・・・えっと、あなたはお兄様と友達なだけで

私は・・・・あなたの友達ですの?」

頭が混乱する。友達という言葉で

頭がいっぱいになる。


「え〜!!何その質問!

一緒のクラスで授業を受けて、

一緒に、食堂で夜ご飯を食べて、

クラスから移動する時も一緒に行くのに!」

と少し怒った顔をして頬を膨らませている。


「わ・・・・・私その、

友達というものがわからなくて

私の近くには、お兄様しかいなくて。」

両手をもじもじと動かしながら俯く。


「え??友達と思ったら友達で

いいんじゃないの?」

アリーの言葉に、気付かされる。


父と母に見捨てられ、お兄様しかいなかった

私には兄しか近くにいなかった。

社交界でも私に話しかけるのは、

王女という肩書があるからだと思っていた。

この考えに、間違いはないと今でも思う。

だけど、全員が王女だからという理由で

話しかけていたのだろうか?


以前に、お家に来ませんかと

誘ってくれた女の子がいた。

見た目は、紫の髪で髪は長く。

大人しそうな見た目の少女だ。

社交界で出会い、話しかけられて

少しだけお話しをした。


少女は、ケーキが大好きで

私もケーキが好きだったので

少しだけ意気投合した。


それから、私のお家でケーキを一緒に

作りませんかと誘われたのだ。


だが、断ってしまった。

私が王女だから気を使っているのだろう。

もしくわ、別の目的があるのだろうと

思ってしまった。


断った時に、少女は少しだけ

悲しそうな顔をした。

それからその場を立ち去り、

少女に会うことはなかった。




「・・・・・・・私は、あなたを友達と

思っていいんですの?」

不安な気持ちでアリーに聞く。


「え??友達と思ってくれるなら友達だよ?」

と真っ直ぐに見つめられる。


「・・・・そう。

・・・・・でしたら私のお話を聞いてくださる?」


「うん!いくらでも聞くよ〜!」


それから、父と母のことや

不安な気持ちを吐露した。


好きなことや好きなケーキの話の

雑談もたくさんした。



「あ、もうこんな時間だ!」

時刻は、21時30分くらいになった。


「あ、そうですわね。そろそろ寢らないとですわ。」


「うん。なら私は自分の部屋に戻るね〜。」

ベッドを降り、扉に向かう。


「あ、あの!!」

アリーを呼び止める。


「うん?どうしたの?」


「・・その・・・明日、

一緒に学校に行ってくれません?」

と顔を俯きながら誘う。


「うん!いいよ〜!」

笑顔で返事が返っててきた。


「あ、でも朝弱いから起こして??」

とお願いされる。


「・・・フフ、わかりましたわ。

おまかせくださいですの。」

アリーのお願いにくすっと笑ってしまった。


「じゃあ、また朝に!お休みなさい。」


「はい、おやすみなさい。」

アリーの言葉に返事をして、

アリーが外に出ていった。



「・・・・・フフ。」


バタンとベッドに後ろから倒れる。


「私に、友達が・・・ん〜〜〜〜〜!!」

ベッドの上で、嬉しそうに転がり

明日の朝が早く来て欲しいと

待ち遠しくて仕方がなかった。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


リディの部屋から出て、自室に向かう。

「ふぅ、元気になってくれてよかったな〜。

・・・・フィルくん近くにいるんでしょ??」


アリーは自室に向かう途中で

近くの柱に話しかける。


「・・・すごいね。なんでわかったの?」

柱からフィルが出てきた。


「え〜。息の音するし。バレバレだよ~。

てか女子の部屋の近くに男子が来たら

だめだよ〜。」

と笑顔で答えながら、注意をする。


「いや〜、ごめん。アリーさんに、

様子を見てもらえるか頼んだとはいえ心配で。」

と頭を掻くフィル。


「もう〜、妹のことが大好きなんだな〜。」

とニヤニヤしながら見てくる。


「いや、その言い方は語弊が・・・。

・・・ただ心配なだけさ。」

ニヤニヤの視線に耐えられるず

他所を見ながら返事をする。


「もう〜・・・心配しないで。

友達の私がいるんだから!」

と自分の胸を叩き、自信満々に言う。


「・・・・友達か・・・・うん、お願いするね。」

アリーの言葉を聞いて、

すっと心のモヤモヤが消えていった。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


次の日


「昨日は、声を荒げてしまって

すみませんの!!!」

リディがペアになってくれた子に

頭を下げている。


「私が不甲斐ないだけなのに

あなたに当たってしまって

本当にすみませんの!

もう一度、ペアを組んでくださいの。

お願いしますの!」


昨日の怯えた様子が

胸の内側に引っかかっていたのか

昨日の自分の落ち度を認め

深々と謝る。


「そ、そんな!顔を上げてください!

私も気にしてませんから!」

と相手の女の子が慌ててフォローする。


「そう言ってくださって嬉しいですの!

あなたの優しさに感謝しかありませんの!」

と女の子の手を握り、目をキラキラさせている。


「なんか、変わったな。」

俺はフィルに話しかける。


「そうだね。変わったというより

少しだけ昔に戻ったて言えばいいのかな?」

いつも微笑んでいるフィルの笑顔は、

とても嬉しそうに見えた。







 「リディさん!合格!!!」

その日の実技の授業で、リディは無事に

略式付与術の応用を合格することができた。


「やりましたわ!!」

ペアの女の子とハイタッチして

キャッキャッと喜んでいる。


いつものツンツンとした

雰囲気は全くなく

普通の女の子が、笑顔で笑っていた。



読んでくださってありがとうございます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ