寮と困ったお隣さん
ルメリ先生の、解散の指示の後。
寮長のビルマさんに寮内のルールを
説明してもらった。
寮内
学校がある日は、
制服と自室に支給されている
体操服以外で歩いてはならない。
休日は、出かける時のみ私服で可。
食堂
朝食は7時から8時までに食べること。
夕食は18時から20時までに食べること。
風呂場
お風呂は、17時から21時までに済ませること。
自室に、袋を2枚支給してあるので
袋に名前を書いて、その中に汚れた衣類を入れて
風呂場の洗濯前と書かれた大きなかごに入れたら
明日の夕方には、ロビーに置いてある
洗濯済みのかごに名前が書かれた袋が
入っているらしい。
自室
夜遅くまで部屋で騒がない。
男子は女子の部屋に行くことを禁ずる。
女子も同じで男子の部屋に行くことを禁ずる。
週末は、全員部屋の掃除を自分で行うこと。
門限は21時までだそうだ。
学年が上がるごとに
寮を移動するらしい。
寮の外壁に書いてある1から6は、学年だそうだ。
ルールを説明された後は、自分の自室に行くように
指示されて解散となった。
寮の中に入ると、かなり豪華だった。
床は大理石で、天井やら柱には
綺麗な装飾が入っている。
ロビーのソファも白色で
絨毯も華やかな柄をしている。
外観は、ただの白い建物なのに
中は、高級ホテルみたいになっていた。
「まぁまぁだな。」「普通だわ。」
とクラスメイトの評価は普通らしい。
さすがは、ドルバール
ほとんど貴族の生徒だらけだから言えることだ。
ロビーの掲示板に、
部屋ごとに名前の書かれた紙が貼ってあった。
この寮の地図としても扱えそうだ。
1階には、女子生徒の部屋と風呂場と食堂と
ロビーがある。
建物の中央に階段があり、
2階から4階まで、全て生徒の部屋になっている。
階ごとにトイレもあるようだ。
どうやら俺の部屋は、4階の右側の一番端らしい。
お隣さんは、カシル=ナスタチカと書いてある。
(ああ、アリーに話しかけてた子だ。
友達が多いみたいだし、隣で騒がないと
いいけど)と少し不安に思ったが、
とりあえずは、自室に行くことにした。
4階まで登ると
カシルの背中が見えた。廊下には
カシルが一人でいた。
「よーっす。1年間隣だな。よろしく!」
1年間お隣だし、一応挨拶をしておく。
「・・・・あ、君かい。・・うん、よろしく。」
とカシルの顔がやつれきっていた。
「え??どうした?学校ではあんなに
元気良かったじゃないか。具合が悪いのか?」
あまりの変化に、病気を疑ってしまう。
「・・・あの、荷物を置いたら
君の部屋に行ってもいいかい?」
「お、おう。」
とりあえず自室に行く。
中に入ると、アンティークな雰囲気の
家具に白いカーテンとベッドと
棚付きの机に
クローゼットがあった。タンスまである。
机の上には、体操服と洗濯用の
袋がおいてあった。
体操服と洗濯用の袋に名前を書いて
荷物を入れたかばんから
自分の私服や下着などを、タンスに入れて
教科書を机に付属された棚に置いた。
あとは、カシルが来るのを待つのみだ。
椅子に座って待つ。
コンコンとドアから音がした。
「どうぞ~。」と返事をする。
「・・・やぁ失礼するね。」
とやつれたカシルが、入ってきた。
2回目見ても、すごい変化だ。
「それで、どうした?」
カシルに質問する。
「僕、アリーさんに嫌われてないよね!!?」
急に涙目になって大声で質問してくる。
「初日から、手に口づけなんて!
いきなりやってしまった!!
アリーさん僕のこと嫌いになるよね!
ううう。いやだー!!!」
と叫びながら頭を抱えだすカシル。
「ちょっ!ちょいちょい。落ち着けって。
てか、そんなになるなら何でしたんだよ。」
あまりの姿に驚いてしまう。
「・・・父上に言われたんだ。
自分の魅力と自信をつけろって
お前は、頼りなさすぎるって!
学校にいる間に立派な男に
成長しなければ家の縁を切ると。
だけど、僕自身は自信がなくて繊細なんだ!
どうしたらいいかわからなくて
ヤケクソのテンションでアリーさんとか
他の子に話しかけてしまった!!!
あぁ・・・どうしよう。」
と自白し、膝をついて
床に丸まるように座るカシル。
(あれ、ヤケクソだったんだ。
振れ幅でかすぎるだろ。)
それからは、自信のあるように見せるために
髪ををオールバックにしたことや
自信のある男の口調の登場人物が出てくる
本を読んだので、真似をしていることなどを
丸まっているカシルに聞かされた。
貴族は貴族で大変なんだと知った。
まぁ、カシルだけかもしれないけど。
30分くらい
カシルを落ち着かせて、
食堂に向かうことにした。
「・・・ごめんよ。僕なんかのために。
こんな時間になるなんて。
君も夕食を食べたかっただろうに」
カシルが謝ってきた。
もう、6時半だ。
時間的には早いが
寮のルールで考えると
食べれる時間から30分が
経ってしまっている。
「いいよ、別に気にしてないから。
これから、素の自分を出せるように
なろうぜ。」と励ましておく、
なんか、カシルが可哀相に思えてきた。
「・・・うん、頑張るよ。」と
頷くカシル。
食堂につくと。食堂には30人くらい
の人がいた。もう、食べ終わってる人もいる。
「やっほー!マルクス!!」
「やぁ。やっときたね。」
「こんばんわですわ。」
アリーとフィルとリディが席に座っていた。
「どうした?ご飯が机にないけど。」
と3人に質問する。
「マルクスが一緒に来たら食べようかなって、
待ってた!」とアリーが答える。
「大勢で食べた方がおいしいからね。」
とフィルが微笑む。
「私は、お兄様とご飯を食べれれば
それでいいのですけれど、アリーさんが
待ってと言うものですから。」
とリディが腕を組む。
「そうか、それはごめん。少し
荷物の整理に時間がかかってさ。
あ、こいつも一緒にご飯を食べていいか。」
と後ろを向くと。
「やぁ、麗しい花のようなお二人。
そして、フィル王子
どうか私も一緒に食事の席に同席
してもよろしいでしょうか?」
とカシルは、女性をダンスに誘う時のように
片膝をついていた。
「う、うん。いいよ〜。」
顔が笑顔だけど少し引き攣るアリー。
「あぁ、一緒に食べよう。」
と頷くフィル。
「構いませんわ。」
と頷くリディ。
「・・・・ちょっとすまん。みんな
少しだけ待っててくれ。」
俺は膝をついているカシルの
制服の襟を掴む。
「・・・ちょっとこっちにこい。」
「ああ、なんだい?トイレにでも一緒に
行きたいのかい?」
とふざけたことを言ってきたが
無視をして、食堂の外に連れ出して
人目のつかないところに行く。
「おい。さっき頑張るって言ったよな?」
カシルに問い詰める。
「ごめん!ごめん!!」
とカシルが謝る。
「何であの口調にもどってるんだ?」
「自信のある様子を、見せてしまったから
後に引けなくて・・・・」
とモジモジする。
「なら、何で俺には素を見せたんだよ。」
「僕が4階の廊下で一人だったから
気を抜いていたところを君が話しかけてくれたから
君には、素を見せることができたんだ。」
と説明される。
確かにあの時は、一人だった。
気を抜いた絶妙なタイミングで
俺が話しかけたから、カシルの素を
知ることになってしまった。
「・・・このままだと、俺にしか素を見せれなくなるぞ。」
頭を掻きながら忠告する。
「本当にごめん!ていうかそんなにすぐには
素を出すのは難しいよ!!!僕だって
こんなことしたくないのに、体が
勝手に動いてしまうんだ!」
と嘆くカシル。
なんともまぁ、難儀なやつだ。
体が勝手に反応するなんて
重症にも程がある。
「・・・はぁ〜っ。これから
少しずつ治そうぜ。」
とりあえずカシルの肩をポンポンと
叩いて、食堂に戻ることにした。
読んでくださってありがとうございます!




