試験 後編
水球飛ばしの試験が終わった。
筆記試験と水球飛ばしの試験で
数えきれないくれないくらい居た子供たちは、
70名くらいになってしまった。
「やぁ、みんなお疲れ様。次は、面接だよ!
ついてききて!」
と、今度は学校内に連れて行かれた。
少し歩くと広い場所についた。
「ここで、待っててね。」
とデール先生に指示されたので待つことにした。
「次で最終試験だね〜。」
「だな〜」とアリーと2人で
試験が来るのを待つ。
すると金髪の男の子と女の子がこっちに来た。
「やぁ、試験お疲れ様。君の付与術面白かったよ。
僕の名前はフィリオルド=ジョイア。
フィルと呼んで欲しい。よろしくね。」
と握手を求めてきた。
「ああ、よろしく。俺は、マルクス=ルーデル。
マルクスと呼んでくれ。」
と握手を交わした。
「あなた、お兄様よりも
すごくかったですが、合格おめでとう。
私は、リディアリナ=ジョイア。
リディとお呼びください。」
なんか高圧的な挨拶をされた。
「あ、ああ、よろしく。」
なんか、俺も変な感じで
返事してしまった。
「リディ、そういう言い方をしてはいけないよ。
普通に褒めなさい。」
「だって、お兄様の方がすごいですもの!」
とフィルに注意されて、反論するリディ。
「いいよ、気にしてないから。
フィルの付与術は、かなりすごかったんだし。」
喧嘩されても困るので、フォローを入れる。
「本当に僕の妹が失礼してすまない。
ほら、謝りなさい。」
「・・・・ごめんなさい。」
と、2人が頭を下げる。リディは不満そうだ。
「おい、あれ?どうゆうことだ。」
「なんで、フィリオルド様とリディアリナ様が・・」
と周りがざわつく。
フィリオルド様??リディアリナ様???
周りには、身なりのいい子どもたちが多い。
その子たちが、この2人を様呼びしている。
「・・・ちなみに、君たちってどこから
来たの??」
「え、あそこの城から来たけど。」
フィルが指を差して、答えた。
あ〜これは、まずい。顔から血の気が引いた。
アリーも、顔が真っ青だ。
なんで気づかなかったのか。
フィリオルド=ジョイア
リディアリナ=ジョイア
家名が国の名前と一緒だ。
つまりは、この国の王子と王女だ。
その2人に、頭を下げられていた俺。
プラスして敬語を使わなかった。
俺とアリー。
だからデール先生は、
この二人の時だけ丁寧な言葉遣いだったのだ。
「こちらこそ、大変失礼いたしました。
私達のような平民が、お二方に
敬語も使用せず、ましてや頭を下げ
させてしまうなんて、あってはならないこと。
いくら、知らなかったとはいえ。
いえ、知らなかったことすら罪なのでしょう。
どうか、何なりと罰をお与えください。」
俺とアリーは、即座に土下座を行った。
もう、これは無理だ。
千体以上のゴブリンよりも
死を感じている。
「ちょっ!!ちょっと待ってくれ!
確かに僕達は王族だが、
この学園には地位なんて関係ない!
というか敬語を使わなかったくらいで
処刑したりなどしないよ!!」
と慌てるフィル。
「・・・おっしゃっていることは、
本当でございますか?」
土下座で下を見ていた顔を上げる。
「本当だよ!だから、土下座はやめてくれ!
そして、そんな変な敬語もやめてくれ!」
フィルのさっきの穏やかで上品な
雰囲気が崩れていた。
「君たちと友達になりたくて、挨拶しに来たんだ。
敬語も使わなくていいよ。」
と両手を差し伸べてくる。
「・・・ああ、なら改めてよろしく。」
「よろしくー!」
改めて挨拶して、俺達二人は
フィルの手を掴んで起き上がる。
「やぁ!待たせたね!なら、順番に人を呼ぶから」
デール先生が戻ってきて、名前を呼んでいく。
一人が扉に入っだ。
2分くらいしたら、次の子が呼ばれた。
それから扉に入っていく
子どもたちは、扉から出てこない。
「フィリオルド=ジョイア様!」
フィルが呼ばれた。
今度は、様をつけて呼んでいる。
「なら、また学園で会おう。」
と言い残して扉に入っていった。
少し時間が、立つ。
「次は、アリー=エンゲルさん!」
「はい!」と元気よく返事する。
「なら、マルクス!行ってくる!」
「おう、いってらっしゃい。」と
返事して、扉に入って行った。
「随分と仲がいいですのね。」と
話しかけてきたリディ。
「まぁ、幼なじみだしな。」
「ふーん。そうですの。」
とそっけなく返事をする。
「リディこそ、お兄さん大好きだよな。」
と少し弄ってみる。もう、何も怖くない。
王子から敬語を使わなくていいなら
弄ったって別にいいだろうと思った。
「・・・そうですわよ。お兄様は
私の家族ですもの。」と狼狽えるどころか、
真面目に答える。その言葉からは、悲しそうな、
寂しそうな雰囲気を感じた。
「リディアリナ=ジョイア様!!」
リディが呼ばれた。
「それでは、行ってきますわ。また会いましょう。」
と扉に入って行った。
それから、どんどん子供が入っていき、
「マルクス=ルーデルくん!」
「はい!」
ついに俺の番になった。
扉を開けると、一人の大人がいた。
入っていった子供たちはいない。
「まずは、自己紹介をしてくれるかね。」
50代くらいの人が質問してきた。
どことなくガイアさんに似ている。
「マルクス=ルーデルです!!よろしくお願いいたします。」
「ほう、君がマルクスくんかい。
私の姪から聞いているよ。」
「え、まさか学園長ですか?」
「そう、バラドラス=ドルバールだ。
学園長をしている。ミシェルは。
私の姉の子供でね、 随分と可愛がったよ。君には、命が危ないところを助けてもらったと
聞いているよ。本当にありがとう。
心からお礼をするよ。」と
立ち上がって頭を下げる。
「いえ!いつも師匠にはお世話に
なりっぱなしなので気にしないでください。
だから、頭を下げるのをやめてもらえると
助かります。」
さっき、目上に頭を下げられて
トラウマになりかけたのだ。
1日に2回も気まずい思いをしたくない。
「そう言ってもらえると助かるよ。
それでは、挨拶も済んだしお礼も
言えたので面接を行う。
本当は、合格させて上げたいが
試験も受けず合格だけは、できないのだ。
すまない。」
とまた謝られる。
「それでは、面接の質問は一つだけだ。
マルクスくん。
君は、どうしてドルバール付与術学園
に入学したいのかね。」
と質問された。
最後の試験に一問だけ??
そして、何を試している?
何を判断している??
何を答えたら正解なんだ?
考える。何が正解かを。
この質問に正解なんて無いのでは?
ならば、心に思ってることを言ってしまおう。
「・・・目標を見つけるためです。
この国で一番の付与術の学校に来れば、
すごい人やすごい先生に会えるかも
しれない。目指したい何かが
見つかるかもしれないと思ったからです。
だから、ドルバール付与術学園に
入学したいです!」
心の内を話した。これが
正解かわからない。
だが、正直に答えるしかなかった。
我ながら、なんて変な回答だろう。
言って、恥ずかしくなった。
「そうか、それではそちらの
扉にどうぞ」と左側の扉に
行くように、促された。
扉に向かう。
(頼む!アリーやフィルやリディがいてくれ。
あの三人なら合格してるはず!!)
ドアノブを握る。
ガチャッ!!
「・・・・・あれ?開かない?
このドア壊れてます?」
「マルクスくん。合格だ。」
ん??合格した??言っていることが
よくわからない。
「その扉には、認証付与してあるのだ。
正直に答えたものは、
ドアが開かないように認証せよとな。
今頃、嘘をついた子どもたちは
その扉から帰ってるよ。」
また認証付与か!師匠の家系は、
認証付与が好きなのか!?
「正直に言えば、筆記と水球飛ばしを
合格した子どもたちは、全員を
合格にしてもいいのだよ。
ただ、本当にドルバールで学びたいか。
それだけのための面接じゃ。」
と学園長が説明する。
「マルクスくん、もし目標が見つからない場合は
どうするかね?」
学園長が質問してきた。
「・・・ここよりも、すごいところに行きます。」
と答えた。
「・・・ぶっ!わっはっはっはっ!ドルバールは
踏台かね!!」
と大声で笑う学園長。
「まぁ、それもいい。すぐには、目標なんて
見つからん。12歳の君たちで
目標なんて持ってるのは、そんなに多くない。
とりあえずは、君が今すごいと思っている場所
がここなら、ここで存分に学びたまえ。
その意思を尊重するよ。」
と学園長が微笑む。
「・・・はい、ありがとうございます。
これからお世話になります。」
と深々と頭を下げた。
「こっちが合格者のいる扉じゃ。」
と反対方向についている扉に、案内された。
扉を開けると
アリー、フィル、リディがいた。
「マルクスー!!!」
と喜ぶアリー。
「やっぱり来たね」と
微笑むフィル。
「待ちくたびれましたわ。ねー、お兄様」
と文句を言うリディ。
こうして、俺達は
王立ドルバール付与術学園に
入学することが決まった。
読んでくださってありがとうございます!!




