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サンの実

ご飯を食べて、ココと遊んだら

ココは疲れたのか眠ってしまった。

アリーと夜に会う約束をしているから

行ってくるねと、お母さんに伝えた。

「わかったわ。あ、ちょっと待って。」

とお母さんは台所に向かい、紙袋に

何かを詰めだした。

「これをアリーちゃんに渡してちょうだい。」

と紙袋を渡された。

中身は、いつもランニングの時に食べる

オレンジの木の実だ。

「え??これ、家で初めて見るけど

野菜屋に売ってるの??」

この家に、この木の実があることに驚いた。

「ううん。ベンさんにお願いして

取ってきてもらってるの。

サンの実って言う名前なの。

何年か前から、月1回くらい食べてるわ。」


木こりのベンさんにもらってるのか。

懐かしい名前を聞いた。

確かに森を歩く木こりの仕事なら

ついでに取ってくることも可能だろう。


「そうなんだ。わかった、なら持っていくね。」

と返事をして、アリーの家に向かうことにした。


重力付与で空を飛ぶ。

アリーの家の近くに着くと。

アリーが、家の前の階段に座って待っていた。

「よっすー、アリー。」

「ヤッホー、マルクス。」と

挨拶を交わす。


「マルクス、持ってる紙袋の中身は何?」

中身が気になるようだ。


「いつも、食べてるオレンジの木の実だよ。

サンの実って言うらしい。エンゲルさんたちに

渡してくれって。」

アリーに渡す。


「あ、これ!今日、夜ご飯で出てきたよ!

びっくりしちゃった。」

アリーの家にも、サンの実があるらしい。

「お互いの家に同じ木のみがあるの珍しいね。」

「ね〜不思議。ありがたくもらうね。」 

と紙袋を受け取り、玄関の前に置く。


それから、ドルバールの試験を

受けることに許可をもらったことを

報告しあった。




次の日、修行の後にアリーと

師匠のいる病院に向かった。

師匠に、ドルバールの試験を受けれることを報告しに行った。

「そうか、二人共許可をもらえたか!なら、

学園長に連絡しておく。」

親戚だし、連絡が早そうだ。

「あ、師匠。明日からの訓練は

いつも通りで大丈夫ですか?

もっと激しい訓練をしたほうがいいですか?」

もう、残り2週間もない。訓練の内容の確認をする。


「いや、ランニングをして付与術の勉強を

した後はゆっくり過ごしなさい。」

思わぬ言葉にびっくりする。


「え??もう試験も近いのに

それだけでいいんですか??」

不安になってアリーが師匠に聞く。


「ああ、君たちなら大丈夫だ。

あとは、体力を落とさないようにして

勉強した後は、家族とゆっくり過ごしなさい。」


「・・・・わかりました。

でも、毎日師匠のところには来ますね。

それでは、失礼します。」 

少し不安になるが師匠の大丈夫ていう

言葉を信じよう。

病室から出ていくことにする。

「あ!ちょっと待ってくれ!」

と師匠に呼び止められる。

「これ、持っていって。」

と渡されたのはサンの実だった。

「え!サンの実だ!」

アリーが驚く。

「何だ名前を知っていたのか。

二人共好きだっただろ?持っていって。」

とサンの実を受け取って

病室を後にした。


「マルクス。」

アリーに声をかけられる。

「なに??」

と聞き返す。

「あと二週間、マルクスと実戦訓練したい。」

アリーも少し不安なんだろう。

「いいよ。やろう!」


それから2週間は、家で訓練や

アリーと手合わせをしつつ

家族との時間を過ごした。





試験の当日


王都からここのレグノ村は遠いので、

朝日が少し顔を出している時間帯に

起きた。

昨日のうちに準備をした荷物を持ち、外に出た。

お父さんとお母さんも外に出てきた。

お父さんは、気持ちよさそうに眠っているココを

抱えている。


外にはアリーがいた。

「おっはよう!マルクスー!!今日は

頑張ろう!」と拳を俺の前に出した。

「ああ、一緒に頑張ろう!」

俺は、アリーの拳に俺の拳をコツンと

合わせた。


「マルクス、これを持っていって。」

とお母さんが手に持っていたのは、サンの実だった。3つくらい持っている。

「これね、花言葉があるの。

素敵な言葉だから、持っていってね。

ぜひ、学園に行く途中にでも食べて。」

と渡された。

「わかった、ちなみに花言葉って??」

こっちの世界にも花言葉ってあるのか。

知らなかった。


「この実の花言葉は、明るい未来なの。」 


その言葉を聞いた瞬間、心が暖かくなった。

お母さんとお父さんは、修行で家に

いない間も、俺のことを思っていてくれていたのだ。


俺の明るい未来を願って。


もしかして師匠もこの言葉を

知っていて、あのランニングコースに

したのだろうか??


「・・・・俺、絶対に合格するよ。

合格をもらって家に帰ってくるから

待ってて。」


「はい。いってらっしゃい。」と

微笑むお母さん。

「気をつけるんだぞ!

ほら、ココ。お兄ちゃんに頑張れ〜って。」

「・・・お兄ちゃん・・頑張れ〜・・」

と心配の言葉をくれるお父さんと

眠そうに応援してくれる妹。


「うん!行ってくる!!」

俺とアリーは重力付与で

空を飛んで出発した。

下には、いつまでも

手を振ってくれるお父さんと

お母さんがいた。あと眠っている妹もだ。



「あ!師匠のところにも行こう。」

「わかった!」とアリーの提案に返事をする。


師匠のいる病院に行くと

病院の前には、

椅子に座っている師匠がいた。 

医者の先生とその奥さんもいる。

昨日会ったときに、朝早くに

出発することを伝えていたからだろう。

俺達は病院の前に降りて


「師匠、行ってきます。」

「絶対に合格します。」

と二人で、出発することと

合格するというやる気を伝える。


「ああ、存分に君たちの力を

見せつけてこい!」


と俺たちの頭を撫でてくる。


「私も、義足で歩く練習を頑張るからな。」


「えっ!もう、義足を履けるんですか!?

やったー!!!」

とアリーが喜ぶ。俺も凄く嬉しい。

試験前にいい話を聞けた。


「あ、そうだ!師匠にも。」

とさっき貰ったサンの実を渡す。

「・・・実は私もお母さんから

サンの実をもらったから師匠にあげる!」

とアリーもカバンからサンの実を取りし

て師匠に渡す。 

「アリーも、もらっていたのか。」

「てへへ。」と照れくさそうに笑うアリー。


「二人共、ありがとう。美味しく

いただくよ。」と嬉しそうに笑う師匠。


「なら、いってきます!」


「ああ、いってらっしゃい」

と出発の挨拶を交わして

重力付与で空を飛び。

王立ドルバール付与術学園に向かった。 


「・・・サンの実か。確か、花言葉は

明るい未来でしたっけ?

だからサンの実を取ってきて

欲しいと、木こりの方に伝えてくれって

お願いしたんですか?ミシェルさん。」

と師匠に質問する先生。


「・・・・あの2人には、内緒にしてもらえますか?」と耳が赤くなる師匠。


「・・・わかりました。

でも2人共、多分意味を知っていますよ。」


「・・・なんか、顔が熱くなってきた。」

と顔が真っ赤になった師匠を

俺たちは、見ることができなかった。

読んでくださってありがとうございます!!

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