また、明日。
19話目です!
「アリー、師匠、行きますよ。」
さっき脱出するための作戦を、
2人に伝えた。
無言で頷く、二人。
「粘着付与!」
俺が氷に粘着付与をかける。
すると、氷全体から聞こえていた
叩く音が、鳴り止んだ。
しっかりとゴブリンたちが、
くっついたようだ。
「衝撃付与!」
アリーは剣に鞘ごと
衝撃付与を付与する。
「二人とも!氷を壊すよ!!せーのっ!!」
バキッンと!!!と氷を剣の鞘で叩く。
音を立てて
割れ始めるドーム形の氷。
氷を叩いた後は、師匠のすぐ近くに
俺とアリーは移動する。
もう、全ての氷が割れそうだ。
「アリー!もう一度、衝撃付与で氷を叩いて!」
もう一度、叩かせる。
「衝撃付与!
そーーれっ!!!!!」
ドッ! バキバキバキバキッ!!
ドーム形の氷が完全に瓦解した。
「師匠!今です!!」
合図を出す。
「ああ!!風付与!!!!!!」
ドームの内側で、出力最大の
風付与を行う。その結果。
ゴブリンがくっついたまま
氷は、勢いよく飛び散った。
ゴブリン付きの氷の拡散弾だ。
粘着付与済みの氷とゴブリンが
ゴブリンの集団たち目掛けて飛んでいく。
「ぎゃぁ!!!!」
と気持ち悪い悲鳴が、聞こえる。
だいぶ当たったのだろう。
ゴブリンの死体が、かなり倒れてる。
「氷付与!!!」
ゴブリンが襲ってくる前に、
子供が遊ぶボールくらいの
氷の塊を作る。およそ、500個。
「アリー!!師匠!!!」
2人に叫ぶ。
「衝撃付与!!!!」
「「風付与!!!!!!」」
アリーは、衝撃付与を氷全部に。
師匠は、最大出力の風付与を行う。
氷が、風に乗る。
だが、今回は飛ばすためではない。
氷を回転させるためだ。
衝撃付与をされた500個の氷が
風の中で回転する。
「ぎゃぁっ!!」
「がっ!!」
「ぎぇぇぁ!!!」と
大量のゴブリンが悲鳴を上げる。
だが、まだゴブリンはいる。
「氷付与!!!!」
追加で氷の塊を
数百個作る。
「衝撃付与!!!」
アリーがそれに合わせて、
氷に付与する。
「「風付与!!!」」
俺とアリーで師匠と同じ旋風を起こす。
「2人とも、私も手伝うぞ!」
師匠は、風付与をかけようとしている。
だが、左手で制止の合図をする。
「大丈夫ですよ、師匠。」
「俺達に」
「私達に」
「「任せてください!!」」
師匠を安心させる言葉を
俺とアリーが、同時に言った。
「・・・・・・・成長・・・したんだな。」
師匠はそう言って、黙って俺たちの
後ろ姿を見ていた。
顔は見えないが、微笑んでいた気がした。
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ゴブリンの殲滅が終了した。
「っっっっ。よっしゃぁ〜〜!!!!!」
アリーが、嬉しそうに飛び跳ねている。
「マルクス〜!!いえ〜い!!」
と両手でハイタッチを要求してきた。
それに、応える。
パンッ!と予想外に大きな音が鳴ったので
ハイタッチをすぐにやめた。
また、魔獣が襲ってくるかもしれないからだ。
「そうだ!早く師匠を運ぼう!」
アリーに、伝える。
早く医者の所に運ばなければ。
「「「重力付与!」」」
3人で空を飛ぶ。
空は、すっかり夜だ。
きれいな夜空で、
星が輝いている。
だが、ゆっくりしてる暇はない。
村に向かって、一直線に飛ぶ。
村にたどり着いて、
医者の家の扉を叩く。
「お願いします!怪我人がいるんです!
ドアを開けて!!」
アリーが叫ぶ。
ガチャッと、ドアが開く。
「どうしたんだね。こんな夜遅くに。」
先生と、その奥さんが出てきた。
「ゴブリンに襲われて、矢が足に刺さったんです!」
「なるほど、。家に入りなさい。」
師匠を、病室のベッドにまで運ぶ。
「2人は外に出てなさい。今から手術するから。」
奥さんにドアの方向に、連れて行かれる。
「「わかりました。」」
俺達は外に出ることにする。
「二人とも!」
師匠から声をかけられて振り向く。
「・・・・・ありがとう。」
師匠は穏やかに微笑んだ。
俺とアリーは、照れくさそうに笑った。
その後は、
俺とアリーは
医者の奥さんに
シャワーを浴びて来るようにと言われて、
体の汚れをきれいに洗い流した。
その後はソファーで寝ることになった。
だが、寝付けなかった。
師匠が心配だったからだ。
「マルクス、起きてる?」
アリーも寝付けないようだ。
「起きてるよ、どうしたの?」
「師匠、大丈夫かな??」
同じ心配を、しているようだ。
「大丈夫だよ!最強の師匠だし」
と根拠はないが、大丈夫と言っておく。
俺も心配だが、きっと大丈夫だと
思っておいたほうが、きっといい。
「そうだよね!師匠はすごいもん!」
アリーの顔は見えないが
笑顔なのがわかる。
「なら、マルクスお休み。また、明日。」
アリーは安心したのか、眠りについた。
「お休み、アリー。また、明日。」
と返事をして、俺も眠ることにした。
読んでくださってありがとうございました!