表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
付与術師だらけの世界で、頂点になります。  作者: ポンキチ
1章 少年編
17/42

実戦

17話目です!

楽しんでもらえると嬉しいです。

「ここまで4年間訓練をしてきたね。

ここで提案があるんだ!」

師匠が夜の付与術の勉強が終わったあと、

話しかけてきた。


「なんですか??」と

アリーが聞き返す。

「今度、魔獣討伐に行かないか?」

師匠が、恐ろしい提案をしてきた。


「え?魔獣討伐ですか?」

俺は、その言葉に反応してしまう。

一度、魔獣に飲み込まれたことがある経験が

あるから、とても恐ろしかった。

あの時の絶望感は、例えようがない。


「そう!今の君たちなら、魔獣が

4、5体現れても、対処できるくらいの

力があると思うんだ。」

目をキラキラさせながら言う師匠。

こっちの気持ちは、お構いなしらしい。


確かに、4年半くらい訓練を

頑張ってきた。

最初は辛かったが、訓練が

終わった後の爽快感は、気持ちがいい。

だが、魔獣討伐は恐ろしい。

こっちが、魔獣に襲われたことを

師匠は知っている。

だから、いつもの「訓練するよ!」という

命令じゃなく。提案なのだろう。


「私は、構いませんけど・・・」

アリーは承諾するが、チラッ、チラッと

こっちを見る。

俺はというと、返事をするのに

躊躇していた。


「・・・俺たちは、そんなに強くなりましたか?」 

師匠に質問する。


「うん!君たちの力は、並の騎士より

強いと思う!アリーさんは、魔力量が

とてつもなく多いし、剣術や体術だって

素晴らしい!ドルバール付与術学園に

余裕で合格するはずだよ!

マルクスくんは、魔力や剣術や体術は並だが、

付与術の使い方や発想が、本当にすごい。

発想や使い方に関しては、私以上だと思う。」

と称賛の嵐だ。

俺も、アリーも体が痒くなる。

今まで、こんなに褒めてもらった事が

ないからだ。


「君たちなら、大丈夫だ。私が、保証する。」

師匠は、真剣な目で語りかける。


俺とアリーはお互い見合わせる。

緊張とわくわくが入り混じった視線を

アリーが向ける。


俺はというと、変な気持ちになっていた。

また飲み込まれたら、助かる保証なんてない。

だが、飲み込まれるという保証もない。

俺も、今の力をぶつけてみたい。

あの時、絶望した魔獣を前にして

どれだけやれるかやってみたくなった。


俺とアリーは、声を揃えて

「「はい!魔獣討伐をやらせてくだい。」」

と返事をした。


「なら!明日の9時頃に森に向かう!

二人とも!準備しておいて!」


(明日か。魔獣を・・・倒そう!。)

俺は、覚悟を決める。

「マルクス!明日、頑張ろうね!」

アリーは拳を俺の前に出した。

「おう!」

俺も、アリーに拳を向けて、グータッチをした。


〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰

次の日の朝、アリーと俺は同時に

目が冷めた。

一緒に起き上がり、お互いを見る。

「おはよう!今日は頑張ろうね。」

アリーが眩しい笑顔で挨拶する。

「おはよう。頑張ろう。」

アリーの言葉に返事をした。


服を着替えて外に出ると、

師匠は外にいた。

アリーは今は、寝癖を治すために

髪を梳かしている。


女の子らしくなったもんだ。

3年前までは、寝癖のまま

訓練をしていたのに。


「師匠。おはようございます。」

「おはよう。マルクスくん。」

挨拶を終えた後、沈黙が流れる。

お互い、緊張をしていた。それもそうだ。

今回は、訓練じゃ済まされない。

命をかけて、戦わなければならないからだ。


「おはようございます!師匠!」

「おはよう。アリーさん。」

相変わらず笑顔で元気なアリー。



緊張していないのだろうか?


「2人揃ったね!なら出発しよう。

とその前に、二人にプレゼントだ。

初実戦祝いだ!受け取ってくれ!」

と渡してきた物は、剣だった。

革の鞘に入っている。

鞘から抜くと、両方が刃になっている剣だった。


「え!いいんですか!!」

アリーがはしゃいでいる。


「それがないと、魔物を倒せないだろ??

そこまで良いものでも無いが、

よかったか?」と不安になっている師匠。


「師匠からもらえたことが嬉しいんです!」

アリーが、ギュッと剣を抱きしめる。


「・・・そうか!ならよかった!

それでは、出発しよう!」

師匠は森に向かって、歩き出す。

師匠の耳が赤い気がした。


俺とアリーは、師匠についていった。

〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰

1時間くらい歩いて、俺たちがいた家から

かなり離れた場所に来た。

「アリー。緊張してないの?」

アリーがあまりにも、いつも通りで

質問してしまった。


「ううん。緊張しているよ。

でも、ここで魔獣を倒せたなら

それだけ強くなったてことじゃん。

昔、魔獣から逃げたでしょ?

あの頃よりも成長しているんだよ?

緊張しているけど、同時にワクワクしているの。」


アリーの目は、やる気に満ち溢れていた。


「そ、そうなんだ。」


アリーは、やっぱりすごいやつだ。

俺なら、そうは思えない。

あの恐怖は、死の恐怖と同等の怖さだ。

確かに、アリーの言う通り

魔獣に勝てたならすごいことだ。

だが、もし負けたら?

死ぬ可能性だけでなく

今まで頑張ってきたことが無意味になる。

森を歩くたびに、緊張が強くなる。


すると師匠が急に、身を屈めた。

「二人とも、伏せて。」

小声で、師匠が俺たちに指示をする。

俺達は声に反応して、すぐに伏せた。

「少しだけ頭を上げて。」

言われた通り、頭を上げると

蛭のような口に、鋭い爪を持った

赤い目をした魔獣がいた。

「あの時、俺を飲み込んだやつと

同じ種類だ。」 

俺は、ゾッとした。

あんなやつに、飲み込まれたと思うと

体が震える。


「あの魔獣を倒そうか。

まずは、アリーさんがやってみよう。」

「はい!」

小声だが、やる気を感じる返事だ。


アリーは、魔獣の様子を見る。

魔獣はこちらに気付いていない。

少し様子を見た後、駆け出した。

「粘着付与!」

アリーは、魔獣がいる地面に付与術をかける。

魔獣はその場から動けなくなり、 

焦った様子を見せる。

その隙をすかさず狙う。

アリーの駆けるスピードは

風のようにかなり速い。

アリーは、剣を抜く。

「たぁぁぁぁっ!!!」

掛け声と共に跳躍し、魔獣の頭に

剣を突き刺し、魔獣の頭を右足で蹴る。

その反動で、剣を抜く。

宙返りして空中を舞うアリー。


「ガァァァっ!!」

魔獣は、雄叫びを上げて倒れた。

アリーは着地して、剣についた血を払い、

鞘に治めた。

こちらに向って指でVサインをした。 

凄く嬉しそうだ。


「よくやった!すごいよ!アリーさん。」 

師匠は、パチパチと拍手をした。

魔獣を粘着付与で驚かせたことに加えて 

動きを制限して、急所の頭に剣を差し込んだ。

「すごいよ、アリー!倒し方が華麗だった!」

宙を舞うアリーは、

凄くきれいな蝶のように見えた。


「へへへ、やったね!」

すごいうれしそうだ。

 

「次は、マルクスだね!頑張れ。」

「おう!」


アリーの声援に対して、短くはっきりと

返事をした。


10数分歩くと、また同じ魔獣が歩くいていた。

「なら、マルクスくん。行ってみよう。」

「はい!」

俺は、魔獣の様子を見る。

左のこめかみに汗が流れる。

(怖い。怖い。怖い!・・・・・


いや、俺はこの4年半頑張った。

もう、あの頃とは違うんだ!!)


魔獣が止まった。


(今だ!) 

俺は走った。

「風付与!!」

魔獣の前にある。

小石や土、枯れ葉に風付与で起こした風

を魔獣のいる方向にかける。

小石や土、枯れ葉は魔獣に飛んでいき

魔獣の目に向かうようにする。


「ぎゃぁぁ!!」 

魔獣の目に土か石か何か入ったのだろう。

目を手で抑えて、暴れる魔獣。

アリーより早くはないが

魔獣の目の前に辿りつく。

「そーーれっ!!!」

剣を抜き、魔獣の顎下に突き刺す。


「がぁぁっ!!」

魔獣が血を吹き出す。

剣を抜いて、距離を取る。


魔獣は、うめき声を上げて少し苦しんだ後、

前方に倒れた。


「やったね!マルクス!!」 

アリーが

ガッツポーズをしていた。

「すごい!よくやった!」

師匠も褒めてくれている。


すごい怖かった。

また、飲み込まれるかもしれないって思った。

だけど俺は訓練をした。

そして力をつけたことを今、証明した。

(俺は、魔獣を倒せる!)という自信になった。


それから俺とアリーは、交互に

魔獣を倒していった。

出発してから、7時間くらい経っただろうか?

合計10体くらい倒した。 

最初に倒した蛭のような魔獣や

イノシシ型の魔獣、ヘビ型の魔獣など

3種類の魔獣に出会った。

ヘビ型の魔獣は特に、厄介だった。

何度も噛みつかれそうになったが 

なんとか倒せた。


上を見上げると、森の隙間から見える空は

水色に少しだけオレンジ色が混ざったような

色をしていた。

 「ちょっと、太陽の高さを見てくるよ。 

重力付与!」

師匠は重力付与で、木の上に浮き上がる。 

しばらくしたら、降りてきた。


「よしっ、今日はやめよう!

太陽も沈みかけてる!」


師匠は満足した顔で、帰りの提案をする。


「「はいっ!」」


俺たちの家に帰ることにした。

成長を今日で、たくさん感じた。

かなり疲れたが、体は嬉しさで軽かった。





「ガァァァァ!!!!!!!」

帰ろうとした瞬間、獣の声が聞こえた。

後ろから聞こえた。


俺とアリーと師匠は、一瞬で戦闘体制に入る。

剣を握る。


後ろを見ると、

1匹の狼型の魔獣だ。

今日、初めて見る魔獣だ。

全長は3mくらいだろうか。

目は赤く、毛の色は黒色が目立つ。

魔獣の腹と、足の毛の色だけ白い。

魔獣は、こちらを見ている。


「なんだ。1体か。」

拍子抜けした。アリーも同じことを

思ったのか、緊張を解いている。

だが師匠は、一人だけ魔獣から視線を外さなかった。


「二人とも!今すぐに、逃げんるんだ!!」


師匠は、大声で逃げるように促す。


「え??でも1体だけですよ?何なら俺が・・・」 

倒しますよ?そう言いかけたときに、


「早く!逃げろぉぉぉぁ!!!!!」

師匠が叫んだ。


その瞬間

「ァオーーーーーーーン!!!!」

と狼型の魔獣が遠吠えを上げる。


森の中に魔獣の遠吠えが、

木霊して響き渡る。


ドドドドドドドドドドドドドドドドドドっ!!!


地面が揺れる音がする。

地震か??その考えは一瞬にして

勘違いだと思い知らされた。


狼型の魔獣の群れが草むらから現れる。

四方八方、360度全体からだ。


木の上もガサッガサッと音がする。

上を見ると狼型の魔獣の赤い目が

光っている。


俺は・・いや、アリーも

恐怖でまぶたを閉じることができなかった。

小刻みに2人で震える。


死という文字で頭がいっぱいになった。

読んでくださってありがとうございます!



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ