完成
12話目です。
驚愕の光景に空いた口が塞がらない。
「2人とも、これが重力付与だよ!
これが使えれば、かなり物を運ぶのが
楽だよ。」と簡単そうに運びながら
俺たちの目の前に木を置いた。
「あと、半分も持ってくるね。」と
また、師匠は森の中に入り
残り半分の木を、浮かせて持ってきた。
2人は固まったまま目を丸くし固まっていた。
「よし!なら加工しますか!」と
作業を続ける師匠は
剣を取り出した。
「創造付与!!」と
木に付与術をかける。
そして師匠が剣を振る。
木がプリンのようにスパッと切れた。
俺たちが創造付与で柔らかくして
斧で切りつけても、木の太さの3分の1しか
いかなかったのに、師匠はいとも簡単に
切ってしまった。
それから師匠は、創造付与を木にかけて
切りまくっていった。
プリンのように切られ、輪切りになる木。
瞬く間に10本の木が切られた。
その後は輪切りなった木の皮を、
剥ぎまくり丸い木だけになった。
木材になった木たちはあらゆるサイズに
切られた。
四角の棒状に切られたり、丸い木材を少し小さい丸にしたりと色んな木材が
簡単に出来上がっていく。
全ての木材を切るのに30分くらいで終わった。
「重力付与!」と
師匠は切った大量の木材を浮かせて
岩の中に運んでいく。
俺とアリーは気になって、岩の中を覗く。
「火付与」で師匠が中で
持っていたランプに火を点けた。
岩の床から天井の高さが3mくらいの
空洞になっている。
奥には階段みたいなものがある。
「まさかこの家、2階建て??」
アリーが言ったことは当たってるかもしれない。
この師匠は、2階建ての家を建てるみたいだ。
師匠は、浮かせていた大量の木材を床に
向かって敷き詰めていく。
「重力(付与)」で浮いていた木材は
あっという間に床になったが、
木材が大きかったのだろう。
「創造付与!」と師匠が
木材に付与術をかけて
穴にピッタリハマるように形を変えた。
次に階段に向かった師匠は
重力付与で、木材たちを浮かせて
階段に同じように木材を敷き詰めた。
階段が出来上がった。
それからは同じことの繰り返しだ。
2階に登り、重力付与で
大量の木材を浮かせる。
木材を敷き詰める。
ハマらなかった木材は
創造付与で形を変えて、
はまるようにする。
そして家の内装ができあがった。
時間は20分くらいだろうか?
「「おお~~!!!」」と驚く俺とアリー。
だがまだ作業は終わらないらしい。
「接着付与!」と今度は
木材に新しい付与術をかけた。
さっきまで木材の上を歩くと
少しだけカタカタとした音が消えた。
どうやら岩と木材をくっつけたらしい。
次に階段と2階にも
接着付与をかけて、
内装は完全に完了したようだ。
師匠さらに
木材を組み合わせて
粘着付与をかけた。
すると家具が出来上がっていった。
テーブルにイス、ベッドフレーム、棚、
バケツなどなどたくさんの家具が
10分もしないうちに出来上がり
岩の中に配置した。
「もう、ほぼほぼ家の形が出来てきたね。」
と両手を腰に手を置いて胸を張る師匠。
「あとは、窓とドアだね。」
師匠は外に出て、
大きめの木材に重力付与をかけて
さっきの大人が通れるくらいの四角の穴の前に
立った。 そしてじーっと四角の穴を見つめた。
「うん!こうしよう!」と
一人で頷く師匠は、木材に創造付与をかける。すると、みるみるドアの形になった。
ドアの左端の上面と下面には少し窪みがある。
次に師匠は四角の穴の入口から見て
左側の上と下に創造付与をかけながら
突起を作る。そこにドアを当てはめると
開閉式のドアが完成した。
その後は窓も同じ要領で作った。
両側が内側から外に開く窓が
完成した。
最後にはドアに許可付与!という
新しい付与術をかけていた。
「二人共!こっちに来て!」と
師匠に言われたのでドアに向かった。
左手でドアノブを握りながら
右手で俺の手を師匠が握った。
「この子がドアを開けれるように許可せよ」
と師匠が何か念じていた。
「これで私と君はこのドアを開けれるようになったわ。」
どうやら、付与術をかけた人が許可した人以外は
このドアを開けれなくなるらしい。
アリーも許可してもらい。
このドアを完成させて家づくりが完全に終了した。
読んでくださってありがとうございます!
今日中にあと1話作ります!