082 引っ越しすることにした
決めたぞ。
俺は引っ越しをする。
せっかく苦労して作った我が家だが、安全に暮らせないなら仕方ない。
新天地を目指して出発しよう。
「みんな聞いてくれ。俺は引っ越しをすることに決めた」
「そうか。まあ、そうだろうな」
「うむ、拙者もそうした方がいいと思うぞ」
「え? 引っ越しするの? どうして?」
ポチとシュルは賛成してくれた。
ハルは引っ越しすることに疑問なようだ。
「いいかハル。ここはもう俺達にとって安全な住処じゃないんだ」
「人間が怖いなら私が追い払うから別にいいじゃない」
「のびのびと暮らせないなんて俺は嫌なの」
「えーせっかく綺麗に飾ったのに……」
「不満みたいだけど俺の決定には従ってもらう。嫌ならここでお別れだ」
「お別れ!? せっかく巡り会えたのに別れるなんて嫌よ!」
「じゃあ引っ越しには賛成なんだな?」
「賛成! 賛成でーす!」
よし、満場一致になったな。
それじゃあ、さっそく……どこに行こうか?
そういえば俺ってこの世界の地理に疎いんだよな。
ここはみんなの意見を聞くか。
「ポチは人間があまり来ない場所って知ってるか?」
「人間が近寄らないのは北のカロカ大陸だろうな」
「ふーん、どんな場所なんだ?」
「とても寒いらしい。だから人間も近寄らない」
いや、ポチよ。
それだと俺達も不便だろ。
極寒の地で暮らしていくのは辛いと思うの。
「シュルはどこが最適だと思う?」
「拙者の知る限りでは南のサロサ大陸なら人は近付かないだろう」
「どうして人が近付かないんだ?」
「その大陸はほとんどが砂漠になっているのだ」
うーん、今度は暑い場所か……。
食料にも困りそうだし、この案もあまり良さげじゃないな。
「ハルはどこか良い場所を知ってるか?」
「そうね……アロア大陸の南西部にある熱帯森林なんてどうかしら?」
お、今までで一番まともじゃないか?
ポチやシュルの案よりは現実的に思えるな。
もうちょっと詳しく聞いてみるか。
「その場所はどうして人が来ないんだ?」
「住みにくいからよ」
「住みにくい? どういうこと?」
「野生の魔物がたくさんいるから危険なのよ。それに蒸し暑くて不快らしいわ」
「魔物の強さってどのくらいなの?」
「聞いた限りだとポチくらいの強さね」
ポチ並の魔物がごろごろいるのか……。
少し危険かもしれないけどみんなで固まって行動すれば大丈夫だろう。
蒸し暑いのは我慢すればいい話だな。
「さて、これで全員の意見は出た。みんなはどこがいいと思う?」
「決まっている」
「拙者達が向かうべきは」
「熱帯森林よね」
お前ら息ぴったりだな。
まあ、それは横に置いておくとして。
熱帯森林は不快で危険かもしれんが、他2つの案よりましだもんな。
消去法でハルの案が残るよね。
よし、目的地は決まった。
あとはそこに向かうだけだな。
そんなわけで俺達は引っ越しの準備を始めた。
――ごそごそ。
1時間くらい経ったかな。
俺の引っ越しの準備はすぐに終わった。
というのも住処から持ち出す物はほとんどなかったからだ。
ちなみに準備に時間がかかったのはハルでした。
「ハル、この腕輪を付けてくれ」
「何よこれ?」
出発する前、ハルにインビジブルブレスレットをあげた。
これから一緒に行動するんだからハルも持っておいた方がいいだろう。
「これはインビジブルブレスレットっていう透明になれる腕輪だ」
「ふーん、そんな腕輪があるのね。アイはどうやって手に入れたの?」
まあ、普通は疑問に思うよね。
正直に説明すべきか嘘をつくべきか。
うーん……ここは素直に話しちゃうか。
一応、仲間になったんだもんな。
「この腕輪は俺が作った」
「作った? こんなにすごい腕輪を?」
「ほら、俺ってスキルのレベルが高いしさ。だから作れるんだよたぶん」
「……そうね。アイのスキルレベルなら可能なのかも」
ちょっと強引だったかもしれないが、ハルは納得してくれた。
よし、これで憂いは無くなった。
それじゃ旅に出るとしますか。
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