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081 人間に名前を付けた

 人間の女の名前を改名することになった。


 ポチの時みたいに安直に決めることはできない。

 彼女は人間だもんな。

 俺達魔物とは名前の重要度が違う。


 さて、どうしようかな。

 ここはやっぱり彼女の身体的特徴から名前を決めるか。


 うーん……よし、決めたぞ。

 桜みたいな綺麗なピンク色の髪をしてるからサクラ……じゃないぞ。

 サクラだったら俺のクロサクラと被っちゃうもんな。

 だからちょっと捻ってみよう。

 桜と言えば春を連想させる花だから……ハルでどうでしょう?

 うん、いいんじゃないかな。

 よしこれでいこう。


「お前の名前はハルに決まりました。異論は認めません」


「ハルね。いいじゃない」


 どうやら気に入ってくれたみたい。

 俺も頭の脳細胞をフル回転させて考えた甲斐もあるってもんだ。


「ステータスの名前も上書きされてるわ」


「それはよかったな」


「ありがとう……えっと、アイでいいのよね?」


「ああ、それで合ってるぞ……ん?」


 こいつどうして俺の名前を知ってるんだ?

 そういえば俺が【名付ける者】を持ってることも知ってたし。

 もしかして【観察】で俺のステータス見られてる?

 いや、でもさっき見た時は【観察】は持ってなかったはず……。


 ……もう一度彼女のステータスを見てみるか。




 ヒューマン LV29

 名前   ハル

 状態   健康

 HP   129/ 129

 MP  9999/9999


 ステータス

 攻撃力     85

 防御力    118(+18)

 魔法攻撃力  357(+31)

 魔法防御力  339(+27)

 素早さ    142(+10)


 スキル

 【観察LV5】【研究LV20】【追跡LV30(MAX)】

 【偽装LV30(MAX)】【火魔法LV9】【氷魔法LV8】

 【雷魔法LV8】【風魔法LV9】【光魔法LV7】

 【闇魔法LV6】


 特殊スキル

 【心眼LV2】【研究の極意LV1】【追跡の極意LV1】

 【魔法の極意LV1】




 なんじゃこりゃ!?

 さっきとステータスが全然違うじゃん。

 こいつ【偽装】で俺の【観察】を騙してたんだな。

 【偽造】の効果が消えたのは……俺が名前を付けたから?

 まあ、どうでもいいか。


 っていうかMPの9999はなんだよ。

 それに特殊スキルの【心眼】っていうのも気になる。

 たぶん俺達の透明化を看破したのって【心眼】のせいだろうし。

 これは転生者特典ってやつか?

 ずるいぞ俺はそんなのもらってない。


「じゃあ改名も終わったし……ポチ、シュル、お話を続けましょう」


 そう言うとハルは会話を始めた。


 傍から会話を聞いているとなんだか盛り上がってる。

 ハルがコミュ力高いと自分で言ってたが本当のことだったんだな。

 ポチとシュルが楽しく会話しているぞ。


「おーいアホーナ! 無事かー!」


 外から男の声が聞こえた。

 なんだ誰かが来たのか。


「あ、まずい。ちょっとみんな少しだけ黙ってて」


 ハルがそう言うので黙る俺達。

 黙ったそのすぐ後に人間の男が寝室に入ってきた。


「あ、アホーナ! お前まだこんな所にいたのか!」


「うるさいわね。そんなの私の勝手でしょ!」


「早くここから逃げよう! 外にでかい巨人が居座ってんだよ!」


「巨人……?」


 ハルはチラッと俺の方を見た。


 あーそうか、俺が乗ってないからクロサクラは丸見えだよね。

 これは誤魔化しができませんわ。


 とりあえず俺はコクコクと頷いておいた。

 それを見たハルの目が「分かった」と言った。


「……あの巨人は少し前からずっといるわよ」


「なんだって!? お前よく今まで無事だったな!」


「巨人はこっちから手を出さない限り襲ってこないわ」


「うわ、マジか。戦わなくてよかったぜ」


「戦う気だったの? あなた馬鹿じゃないの?」


「アホの子に言われたくねえな」


「アホって言うな!」


 なんだか互いに遠慮がないな。

 仲が良いのか悪いのかよく分からん。


「あ、そうだアホーナに伝えることがあるぞ」


「伝えること? 何よ?」


「最近この辺でコボルトが大量発生してるらしい。だから気を付けろよ」


「コボルトくらいなら平気よ」


「お前な……レベル2のくせに強がってんじゃねえよ」


 そうか、ハルは普段から【偽装】を使って本来のステータスを隠してるのか。

 まあ、あのステータスで外を出歩いてるって思われてるなら心配されるよね。


「ふん、私は昔から運だけは強いの。気遣いは無用なんだから」


「はあ……まあ、その強運でギルドランクBなんだもんな」


「そういうこと。でもわざわざ教えに来てくれてありがとう」


「べ、別にこのくらいどうってことないぞ」


 こいつハルの笑顔でどぎまぎしてる……。

 ハルって美人だし男ならそうなるのも無理ないか。


「……なあ、アホーナ。そろそろ町に帰らないか?」


「私はまだ帰らないわ。ここで運命の人を待ってみる」


「そ……そうか。分かった、気を付けろよな。俺はもう行くから」


「うん、またね」


「ああ、またな」


 言葉を交わし終えると男は帰っていった。


「ふむ、随分と親しい雰囲気だったが、あの人間はハル殿の知り合いか?」


「あいつは私の幼馴染なの。ギルドの冒険者をやってるわ」


 ギルドの冒険者。

 俺達にとっては天敵のようなもんか。


「なあ、アイ」


「ん? なんだよポチ」


「あの人間をこのまま帰していいのか?」


「おい何言ってんだよハルが幼馴染だって言ってただろ。襲っちゃだめでしょ」


「あの人間はきっとクロサクラのことを他の人間に言うぞ」


「……あ、そうか」


「そうなると都合が悪いんじゃないか? ここに住めなくなるぞ」


 確かにポチの言う通りだ。

 クロサクラの噂が流れたらここに来る人間が増えるかも……。

 そうなったらのんびり暮らすことができない。

 最悪な場合、俺達は討伐される可能性がある。


 このままじゃまずいな……どうしよう。

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