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078 俺の住処に異変が……

 ようやく戻ってきた愛しの住処。

 あー移動で疲れちゃったし、今日はもう休むぞー。


 ――ガチャ。


 俺は入口の扉を開けた。

 そうしたら床に敷かれたレッドカーペットが目に飛び込んできた。

 レッドカーペットの左右には等間隔で花瓶に入った花が飾ってある。


 ……いやいや、なんでこんなことになってるの?

 これって明らかに誰かが俺の住処に侵入してるよね?


「アイ、お前の巣から知っている匂いがする」


「え? 知ってる匂い? なにそれ?」


「前に俺が見つけた紙と同じ匂いがしている」


 紙……ああ、あの日本語が書いてある紙か。

 あの紙と同じ匂いがしてるってどういうことなんだ?


「匂いは奥の部屋からしているが……どうする?」


「どうするって……確かめるしかないだろ」


 俺の住処に無断で入り込んだ馬鹿野郎がどんな奴なのか知っておきたい。


 というわけで俺達はレッドカーペットに沿って奥に進む。

 作業部屋を通り抜けて俺の寝室に入る。

 するとそこには1人の人間の女が寝ていた。


 こいつが侵入者なのか?

 ちょっとステータスを見てみよう。




 ヒューマン LV2

 名前   ???

 状態   睡眠

 HP  18/18

 MP  25/25


 ステータス

 攻撃力     5

 防御力     8(+2)

 魔法攻撃力  12(+10)

 魔法防御力  16(+11)

 素早さ     7(+6)


 スキル

 【火魔法LV1】【氷魔法LV1】




 こいつ弱いぞ。

 よくこんなステータスでここまで来られたな。

 途中でウルフとかに襲われたりしなかったんだろうか?


 うーん……まあ、こいつの素性は後回しだ。

 この女が起きたら色々聞いてみよう。


 とりあえず女の持ち物を漁るか。

 所持品検査だ。

 怪しい物を持っていないか徹底的に調べてやるぞ。


 ――ごそごそ。


 おや?

 バッグの中に入った袋から懐かしい匂いがする。

 袋を開けてみると薄い破片が出てきた。

 これは……ポテトチップスか?

 ちょっと実食。


 ――パリパリパリ。


 この味……間違いなくポテチだな。

 懐かしい味だな。


 まさか異世界に来てポテチを食べられるとは思ってなかったな。

 この世界にもポテチみたいな食べ物があるのか。


「アイ、何を食べているんだ?」


「拙者も気になるな。それは一体何なのだ?」


 俺がパリパリとポテチを食べてるとポチとシュルが近くに寄ってきた。

 どっちも不思議そうにしている。

 たぶんポチもシュルもこういう食べ物は見たことがないのだろう。


「この食べ物は俺の知ってる食べ物にそっくりなんだ」


「ほう、アイの知ってる食べ物か。それはうまいのか?」


「癖になる味だぞ。俺にとっては懐かしい気分になる味だ」


「そうか。なら、俺にも食わせろ」


「いいんじゃないか? まあ、これは俺の物じゃないけど」


 食べ物の盗み食いなんて人間がやったら確実に罪である。

 でも俺達は極悪非道な魔物なのである。

 人間の法律なんて知ったことじゃねえな。


 そもそも人の住処に不法侵入してる奴が悪い。

 このポテチは迷惑料代わりにいただいておこう。


 ――パリパリパリ。


 ポテチを食べる音が部屋に響く。

 その音のせいかは不明だが人間が目を覚ました。


「パリパリパリってあなた達……何勝手に食べてんのよ!」


 やべえ、ばれた!

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