071 リザードマンの戦いを見物する
宿の外に出ると兵士らしきリザードマン達が走っていくのが見えた。
兵士の向かう方角は逃げるリザードマンとは逆方向だ。
たぶんあいつらが向かう先にスラッジソールがいるんだろう。
俺とポチはとりあえずクロサクラを回収した。
で、これからスラッジソールとリザードマンの戦いの推移を見守りに行く。
リザードマンが優勢ならそのまま戦いを見物だ。
だが、もしリザードマンが劣勢なら……戦いに参加する必要があるかも。
まあ、俺に何ができるのかは分からんけどね。
そんなわけで俺達は集落の入口までやってきたのだ。
集落の外には大勢のリザードマンがいる。
決戦に備えて待機中って感じかな?
あ、シュル発見。
1人だけ色が緑色だから見つけやすいな。
「□□□□□□□□□」
リザードマンの1人が何かを叫んだ。
どうでもいいけどリザードマンの声って水の中でもちゃんと伝わるんだな。
俺には言葉の意味が分からないから聞こえても意味ないけど。
「リザードマンが移動を始めたな。俺達も後を追うか?」
「そうだな。そうしよう」
リザードマン達の後ろにこっそりついて行く。
集落を出ると空気で覆われた部分を抜けて水中に突入した。
俺は慌てずに【水操作】で空気入りの大きな泡を作った。
これで俺とポチは水の中でも呼吸ができる。
しばらく移動するとリザードマンが四方に散り始めた。
これはリザードマン流の陣形ってやつかな。
俺には戦いに関する知識がほとんどないからどういう効果なのかは分からん。
しかし、リザードマン達が陣形を組むということは……そろそろ接敵か。
「□□□□□□□□」
リザードマンの叫び声が聞こえた。
するとリザードマン達の進軍が止まる。
いよいよスラッジソールとご対面か。
結構遠くにいるし、薄っぺらいしで見難いが……なんか小さいな。
この距離でも【観察】で見れるか?
一応試してみよう。
スラッジソール LV45
名前 無し
状態 健康
HP 620/620
MP 142/142
ステータス
攻撃力 280
防御力 791
魔法攻撃力 188
魔法防御力 280
素早さ 681
スキル
【隠密LV4】【偽装LV4】【身体再生LV4】
【病魔LV8】
普通にステータス見れたな。
どうやらスラッジソールは防御力に加えて回避力も手に入れたヒラメのようだ。
「□□□□□□□□□」
リザードマンの1人が叫ぶとリザードマン達が魔法による攻撃を始めた。
次々と放たれるリザードマンの魔法をスラッジソールは難なく躱す。
まあ、これだけ距離が離れていると当てるのは難しいだろうな。
なんでリザードマン達は近付いて攻撃をしないんだ?
首を傾げているとスラッジソールが泥を撃ち出した。
それはリザードマンの一団に直撃し、何人かのリザードマンは動かなくなった。
一撃でリザードマンが行動不能になるなんてどうなってるの?
あれはただの泥じゃないのか?
動かなくなったリザードマンのステータスを見てみる。
リザードマン LV21
名前 シューダ
状態 病気(重度)
HP 39/112
MP 69/ 98
ステータス
攻撃力 137
防御力 141
魔法攻撃力 277
魔法防御力 161
素早さ 131
スキル
【水操作LV3】【槍術LV2】【水魔法LV5】
どうやらリザードマンは病気の異常状態になってしまったようだ。
そういえばスラッジソールは【病魔】とかいうスキルを持ってたな。
これがあるからリザードマン達は近付こうとしなかったのか。
スラッジソールはもう一度泥を撃ち出した。
だが今度はリザードマンが水の防壁を展開して難を逃れる。
リザードマンは攻撃だけでなく守りにも長けているみたいだな。
「□□□□□□□□□□□□」
リザードマン達は魔法による十字砲火をスラッジソールに浴びせる。
スラッジソールもこの攻撃は避けきれないみたいでダメージを受けているな。
戦況はリザードマンが押せ押せムードだ。
負傷者は出ているがリザードマンが優勢なんじゃないか?
これなら俺達が出る幕はなさそうだ。
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