０６８ 散ってしまった桜
リザードマン達にクロサクラを回収してきてもらった。
今は集落の一画にある空き地にクロサクラは置かれている。
クロサクラは予想通りボロボロだった。
装甲はベコベコだし、手足は引き千切れているし、これはスクラップですわ。
唯一無事だったのは黒いマントだけだな。
ちょっと気になったので【観察】で見てみた。
【超魔法耐性マント】
かつて存在したジール魔法王国が生み出した機械巨人用のマント。
魔法攻撃に対して圧倒的な防御力を有する。
あらら……このマント、見栄で装備してるんじゃなかったのか。
もしこのマントであの竜巻を防御してたらクロサクラは無事だったのかも。
まあ、過ぎたことは仕方ない。
今はクロサクラの修理に全力を挙げよう。
とりあえずパーツ毎に分解しよう。
……と思ったが、さっそく問題発生。
クロサクラの大きなパーツは俺の腕力じゃ動かせないのだ。
押しても引いてもビクともしないぞこれ。
さてどうしようか。
流石に修理までリザードマンの力を借りるのは無理だろう。
どうにか自力でやる必要がある。
「なあポチ。自分の腕力を強くするアイテムって知らない？」
「ふむ……確かパワーブレスレットという物があったはずだぞ」
流石ポチだ。
俺の知らないことは何でも知ってる。
そんな便利アイテムがあるのならさっそく作ってみよう。
まずは集めてもらったアロアジョウ草から道具を作る。
作ったのは金剛草スコップと金剛草トンカチだ。
金剛草トンカチは無くしてしまったのでもう一度作った。
で、次は金剛草スコップで空き地の地面を掘る。
するとジャンジャン鉱石が出てくる。
この鉱石を金剛草トンカチで叩いて金属にしたら腕輪の形に成形する。
あとはできた腕輪に細工を施せば完成だ。
【パワーブレスレット】
エリスティルのどこかに存在する希少な腕輪。
この腕輪を装備した者は剛力を授かる。
よし、じゃあこのパワーブレスレットを装備してと。
試しにクロサクラの腕を持ち上げてみる。
おお、すごい！
あんなに重たかったクロサクラの腕が小枝みたいに軽いぞ！
これなら１人でも作業ができるな。
怪我だけはしないように注意しよう。
「……ポチ殿。アイ殿は何をしたのだ？」
「見ていなかったのか？ 穴を掘って腕輪を作って力を得たんだ」
「それは……そうだが。あれはどんなスキルの力なんだ？」
「さてな。俺もアイのスキルのことはよく分からん」
「……アイ殿は不思議なのだな」
ポチとシュルが何やら話しているが気にしない方向でいこう。
俺は別に変なことはしていないんだからな。
よし、それじゃクロサクラを解体するぞー。
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