067 クロサクラの回収をお願いした
料理を食べ終えて、後片付けも済んだ。
さて、これから何をしよう……あ、そういえば大事なこと忘れてた!
クロサクラがぶっ壊れたままじゃん。
やべえよやべえよ。
何日もほったらかしだし、もう錆び付いて朽ち果ててるかもしれん。
早く回収して修理しないと……。
でも今の俺は虜囚の身。
集落の外にあるクロサクラをどうやって回収しようか。
うーん……困ったぞ。
「アイ殿? 唸ったりしてどうしたのだ?」
……そうだ、シュルにクロサクラを回収できないか頼んでみるか。
こういうのはダメ元で頼んでみるもんだよね。
「実は俺のクロサクラ……巨人が集落の外に置き去りになってるんだよね」
「アイ殿が操っていた巨人? あれならすでに死んでいると思うが……」
「いやいや、あいつは作り物だから俺が修理すればまた動かせるんだよ」
「なんと……あの巨人は作り物なのか」
「そういうこと。だからあれを回収してきてほしいんだけど……無理かな?」
「ふむ……少し難しいかもしれんが、仲間に頼んでみよう」
おっと、結構いい感触じゃね?
言ってみるもんだなぁ……。
「拙者についてきてくれ。仲間のいる場所まで案内しよう」
シュルは席を立つと俺とポチを先導して歩く。
――てくてく。
しばらく歩くと大きな建物にたどり着いた。
建物の中に入ると屈強なリザードマンがたくさんいた……いや怖えよ。
一斉にこっちを見るな。
「□□□□□□□□□□□□□□□」
リザードマンの1人がこっちに来て話しかけてきた。
荒々しい口調からあんまり歓迎されてないような気がするぞ。
「□□□□□□□□□□□」
シュルが俺の前に立ってリザードマンに話しかける。
「□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□」
「□□□□□□□□□□□□□□」
「□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□」
「□□□□□□□□」
何を喋っているのかさっぱりだ。
シュルの口調も段々強いものになってるし……なんか険悪な感じがする。
「□□□□□□□□□□」
リザードマンは俺を一睨みすると仲間を連れて外に出ていった。
シュルはため息をつくと俺の方に振り返った。
「彼らが巨人を回収してくれる」
「大丈夫なのか? なんか俺のこと睨んでたけど……」
「……あいつはアイ殿とポチ殿を殺すべきだと主張していたからな」
あーなるほどね。
そりゃ嫌われてるわけだわ。
あのリザードマンからしたら危ない魔物が歩き回ってるようなもんだからな。
良い気分はしないだろう。
「巨人の回収には時間がかかる。アイ殿とポチ殿はこれからどうする?」
「うーん……それならクロサクラの修理に必要な物を今の内に集めておきたい」
「何が必要なんだ? できるだけ融通しよう」
「じゃあアロアジョウ草を持ってきて」
「ん? あんな草を何に使うんだ?」
「信じられないかもしれないけどあの草から道具を作る」
「道具を? ふむ……巨人の修理には変わった物を使うのだな」
「用意できそうかな?」
「そのくらいなら問題ない。用意させよう」
これでとりあえずクロサクラの修理ができそうだ。
問題はクロサクラがどれだけ壊れているかだな。
粉々になってたら修理不能かも。
どうか原形を保ってますようにお祈りしておこう。
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