０６３ 俺は籠の中の小鳥さん
ポチ曰く、俺達は目の前のリザードマンに助けられたらしい。
どうしてかポチは話してくれないので仕方なくリザードマンに話を聞く。
「あなたがいなかったら俺達は殺されていたらしいですけど本当ですか？」
俺の言葉を聞いたリザードマンは目を伏せる。
聞かれたら都合が悪いんだろうか。
「何か不都合でもあるんですか？」
「いや、そんなことはない。そうだな、ここで話しておこうか」
なんだか話したくなさそうな感じだな。
でもまあ、良い話じゃないのは確かだし、リザードマンも話し辛いんだろう。
話したくないのも何となく分かる。
「まずはお前達の状況を話そう。現在、お前達には監視が付いている」
「監視？ どうしてですか？」
「我々の集落から出ていかないか見張るためだ」
え、それってどういうことなの？
俺達ここから出られないってこと？
「すまない。この条件を飲まなければお前達を助けることができなかったのだ」
「その条件を飲まなかったら俺とポチは殺されていたってわけですか」
「そうだ。だが安心してくれ。お前達をずっと閉じ込めるつもりはない」
「というと？」
「お前達はスラッジソールの討伐が終わるまでこの集落にいてほしい」
スラッジソールの討伐？
……そういえばここに来た時に戦ったヒラメの名前がスワンプソールだったな。
もしかしたらスワンプソールの進化版がスラッジソールなのかも。
「そのスラッジソールを倒すまで俺達がここにいなきゃいけない理由は？」
「他のリザードマンがお前達を脅威だと考えているからだ」
「脅威って……俺達は何もしてないのに」
「巨人を操る女と、ウルフの変異種に対して楽観はできんよ」
「むう……つまり、目の届かないところには行ってほしくないと？」
「そういうことだ。まあ、監視の目の届くところでは好きにしてくれて構わん」
「その監視は……もしかしてあなたですか？」
「察しがいいな。その通りだ」
ガハハと笑うリザードマン。
ここにいる間はずっとこいつがついてくるのか。
なんか嫌だなぁ……威圧感半端ないし。
「まあ、短い付き合いになるだろうが、よろしく頼む。拙者の名前はシュルだ」
「よ、よろしく……俺はアイです」
「うむ、分かった。ではアイ殿、さっそくだが集落を案内しよう」
「え？ いいんですか？」
「ポチ殿から聞いたのだが、お前達は観光目的でやってきたのだろう？」
「……まあ、そうですね」
「ならば存分に見て回るといい。拙者の目の届く範囲なら問題はない」
「そ、そうですか……ありがとうございます」
「あー言い忘れていたが、拙者に敬語は不要だ。気楽に話すといい」
「わ、分かった」
「では行こうか」
そんな感じで俺とポチとシュルは一緒に行動することになった。
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