057 環境破壊はやっちゃだめだぞ
トラベルゲートを潜り抜けるとそこは湿地帯だった。
この近くにリザードマンの住処があるのか。
周囲はぬかるんだ土地になっており、所々に細長い植物が生えている。
そして近くには大きな湖が見えるな。
しかしちょっと歩けばすぐに泥に足を取られるのは厄介だな。
クロサクラの脚力なら泥に沈んでも脱出することはできる。
だが、大幅に機動力がダウンするのは危険だ。
ポチなんて辛そうに歩いてるしな。
それにもう1つ嫌なことが分かった。
この沼地に来てからインビジブルブレスレットの効果が切れてしまったのだ。
どうやらここの泥が良くないみたいだ。
これは泥を綺麗に洗い流さないとインビジブルブレスレットは使えんな。
しかしインビジブルブレスレットで隠蔽できない泥って何だよ……。
「……アイ、この泥をどうにかできないか? 歩き辛くて最悪だ」
ポチがとうとう弱音を吐いた。
まあ、ポチの気持ちは分かるのでここは俺が一肌脱ごう。
足場の泥は水分を多量に含んだ土ってことだ。
つまり水分さえ抜いてしまえばただの土になる。
この水分を抜くのにちょうどいい【水操作】というスキルを俺は持っている。
さっそく試してみるか。
――ビチャビチャ。
俺の周囲の泥から水が外へ噴き出していく。
噴き出した水は【念力】で持ち上げて湖へ投げ入れた。
泥だらけの土地なのでなかなか作業は終わらない。
でも【水操作】のレベルが上がるにつれて、水除去はどんどん楽になった。
『【水操作の極意】【念力の極意】【水魔法】を獲得しました』
作業の途中で新しいスキルを覚えた。
何故か分からないが魔法も覚えた。
まあ、良いことだから文句はないけどね。
そんなこんなで作業開始から1時間。
「……おい、やりすぎだ。湿地帯じゃなくなってるぞ」
ポチに言われてようやく気付く。
そう、やりすぎてしまった。
いつの間にか、辺り一面の水を全て湖に移動させてしまったのだ。
そのせいで周囲の土はカチカチになってしまった。
ここが荒野だと言われてもおかしくはないだろうな……ん?
なんだか地面が盛り上がってるような?
なんだか嫌な予感がするぞ……。
「アイ! 何か地面から出てくるぞ!」
ああ、気のせいじゃなかったわ。
地面から巨大な何かが飛び出した。
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