054 規格外の力を見た
ポチの鼻を頼りにしばらく走ると女を発見した。
女の近くには母親と若い男がいる。
たぶんあの若い男がタロスなんだろうな。
どうやら彼女は無事に合流できたらしい。
母親とタロスは驚いているみたいだ。
まあ、寝込んでいた人が急に元気な姿で現れたらびっくりするよね。
「……何はともあれ、リーシャが元気になって良かった」
「心配させちゃってごめんね。もう私は大丈夫だよ」
「何があったのかは後で聞くよ。今は早く家に帰ろう」
「そうだね。でも何事も起きないで本当によかった」
感動の再会ってやつ?
まあ、いい光景じゃないかな。
もしかしてポチはこれが見たかったのか?
「ポチ、これで満足か?」
「ああ、もういい。俺達は早く山を去ろう」
ポチの興味が無くなったところで、俺達はその場を離れようとする。
その時、背筋に悪寒が走った。
……これは今までにも経験があるぞ。
強敵が近くにやって来た時の警告だ。
頭上を見ると大きな翼を広げた魔物の姿があった。
それも10匹くらいの団体で飛んできやがった。
と、とりあえず1匹を【観察】で見てみよう……。
ワイバーン LV51
HP ???
MP ???
ステータス
不明
スキル
不明
なんとかレベルは見れた。
つまり過去に遭遇したドラゴンよりは弱いってことだな。
……まあ、ワイバーンが強いことに違いはないが。
俺とポチは透明化しているのでまだ気付かれていないみたいだ。
その証拠にワイバーンは人間達を狙っている。
「2人は下がってて。ここは私が引き受ける」
「リーシャ……それじゃあなたに負担が」
「私なら大丈夫。万全の状態ならワイバーンには負けないよ!」
そう言うと彼女……えーっと名前はリーシャだったな。
そのリーシャの周囲に魔力が渦巻き始めた。
「轟け雷よ! ライジングサンダー!」
リーシャがそう叫ぶと無数の雷がワイバーンを貫いた。
雷が当たったワイバーンは黒焦げになり、地面に落ちていく。
うわ……強すぎでしょ。
ちょっと雷に当たっただけでワイバーンやられちゃったよ。
リーシャのレベルは不明だけど、これはレベル差がでかそうだ。
「やっぱりリーシャだけに任せておけないわ! フレアアロー!」
「俺も戦うぞ! 疾風斬撃!」
母親とタロスが放った攻撃でワイバーンの1匹が倒された。
リーシャ程じゃないがこの2人もかなり強いな。
人間3人の連携は素晴らしく、ワイバーンを寄せ付けない。
ワイバーンが攻めあぐねている間に1匹、また1匹と倒されていく。
「ワイバーンが逃げていくぞ!」
「やったね! 私達の勝ちだよ!」
戦闘が始まって僅か数分で勝負がついた。
ワイバーンは半数が殺された。
対して人間側に被害無し。
強いて言うならMPの消費が被害かな。
「あの人間達強いな……」
「そんなの見りゃ分かるって」
こんな化物とは絶対に敵対しちゃいけない。
というか関わりたくないよ。
機嫌損ねたら一発アウトってどう考えても危ないんだよなぁ……。
……まあ、俺は恩人って立ち位置だろうし襲われたりはしないかな?
あいつらが魔物絶対許さないマンじゃないことを祈ろう。
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