050 ポチは人間のペットだったらしい
これからアラール山脈に向かうわけなんだが……どういう所なんだろうか?
ポチは何か知ってるかな?
ちょっと聞いてみよう。
「なあポチ。これから行く山について何か知ってるか?」
「まあ、少しだけなら知ってるぞ。昔、あの山を通ったことがあるからな」
そう言うとポチがアラール山脈について教えてくれた。
なんでも普段は低レベルの魔物しかいないらしい。
だが時折、ワイバーンが飛んで来て襲いかかってくるようだ。
こりゃ空に注意した方がいいかもしれん。
「ワイバーンって強いの?」
「今の俺でもあれには勝てないだろうな」
「そんな奴を相手にしてよく無事だったな。すごいじゃん」
「……あの時は協力者がいたからな」
協力者とな?
ポチって1匹狼気取ってなかったっけ?
協力してくれる奴がいたなんて初耳だぞ。
「ポチにも仲間がいたんだな」
「……一時的な協力だった。今はもう縁が切れている」
縁が切れてる?
別にそこまで言わなくてもいいのに。
「協力者ってウルフの仲間だったりする?」
「違う。俺が協力してやっていたのは魔物使いだ」
「魔物使い……ってことはもしかして人間か?」
「そうだ。俺は人間と行動を共にしていた時期がある」
うわ、マジか。
衝撃の事実を知ってしまったわ。
ポチって人間に飼われていたことあったんだな。
……っていうかこの世界にはそんな奴がいるのか。
俺も魔物使いに飼われてあんなことやこんなことさせられる未来があるの?
怖すぎるだろ。
「そっか……ポチにもそんな過去があったんだな」
「まあ、過去の話だ。もう気にしてはいない」
気にしてないって言う奴ほど気にしてるやつでしょ。
俺、知ってるんだからな。
気付かなかったとはいえ、聞いちゃまずいこと聞いてしまったな。
ここは話を逸らそう。
「貴重な情報ありがとうな。これでいくらか心構えできるわ」
「そうか。なら、話した甲斐もあるというものだ」
よし、これで話は逸れた。
じゃあアラール山脈目指して出発しよう。
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