048 人間を観察した
透明化したことで人間に見つかる可能性はグッと下がった。
なので道端で堂々と朝まで寝た。
で、今は朝食の野菜サンドイッチを食べながら道を通る人間を観察中だ。
この世界の人間がどのくらいの強さなのか知っておきたかったんだよね。
お、また人間がこっちにやってきたぞ。
今度は2人組のようだ。
ヒューマン LV14
名前 ノーマン
状態 健康
HP 73/73
MP 33/33
ステータス
攻撃力 70(+20)
防御力 58(+32)
魔法攻撃力 26
魔法防御力 46
素早さ 38(+13)
スキル
【剣技LV2】【毒耐性LV1】【麻痺耐性LV1】
ヒューマン LV12
名前 アリー
状態 健康
HP 43/43
MP 56/56
ステータス
攻撃力 20
防御力 38(+20)
魔法攻撃力 56(+25)
魔法防御力 56(+28)
素早さ 28(+6)
スキル
【毒耐性LV1】【麻痺耐性LV1】【火魔法LV2】
へえ、人間ってこういうステータスなのか。
素の俺よりずっと強いな。
まあ、か弱い女の子相手に武装した人間が負けるわけないか。
さて、人間の強さは分かった。
次は人間の会話に耳を傾けてみよう。
「あーやだやだ。またスライムの討伐かぁ」
「いいじゃない。楽な依頼って私好きよ」
「おれはもう少し歯応えのある敵と戦いたいんだよ」
「ふーん? 例えば何よ?」
「そりゃもちろんドラゴンとかさ。ドラゴンキラーなんてかっこいいだろ?」
「夢を見るなら寝ている時だけにしてよね」
「ちぇ、夢くらい見てもいいだろ」
「あんまり寝ぼけたこと言うようなら……張り倒すわよ」
「ひっ……!? すまん、すまん、ただの冗談だよ」
「ならよろしい。さっさと依頼を終わらせるわよ」
お、人間の言葉が完全に理解できるぞ。
スキルは手に入らなかったが、何か不思議な力が作用したんだろうな。
俺にとっては都合いいしラッキーだぜ。
それはさておき、こいつらスライムの討伐とか依頼とか言ってたな。
やっぱり異世界には冒険者ギルドみたいなのがあるのか?
もしそうなら注意しないとな。
俺の討伐依頼とか出たら洒落にならん。
「アイ、また人間が通るぞ」
「本当か? ならまた観察してみるか」
ふむ、どうやら今度は1人だけみたいだな。
ステータスはどうかな?
ヒューマン LV3
名前 ブギー
状態 健康
HP 21/21
MP 30/30
ステータス
攻撃力 6
防御力 12(+5)
魔法攻撃力 16(+12)
魔法防御力 26(+10)
素早さ 8(+6)
スキル
【胆力LV1】【闇魔法LV1】【調合LV1】
え、ちょ、弱くない?
こんなステータスで出歩いて大丈夫なの?
なんかこっちが心配になってくるんだけど?
「ヒェッヒェッヒェッ。この時間は魔物も少ないし、本当に狙い目ですねぇ」
なんだか気色悪い奴だな。
熱心に草を採ってるけど一体何の草だ?
ちょっと【観察】で見てみるか。
【アロアタクサ草】
アロア大陸に生えている草。
毒性があり、食用には向かない。
調合の素材になる。
こいつなんでアロアタクサ草を採ってるんだ?
うーん……あ、そうか。
【調合】で回復薬を作って売るつもりだな。
ずるいぞ、俺だってそういう稼ぎ方してみたい。
「これさえあれば緑団子が食べられます。ああ、愛しの緑団子よ」
緑団子目的だった件について。
いや、あれって食用になるけどそんなに美味しくないぞ。
なんで緑団子をありがたがるんだ?
「いやーこれで愛しのワイフとチャイルドに食事を与えることができます」
そう言った人間はそそくさとどこかへ去っていってしまった。
あの人間は奥さんと子供のために緑団子が必要だったのか。
なかなか良い奴じゃん。
見た目は不審者だけど。
「人間観察もいいが、そろそろ行かないか? 少し飽きてきたぞ」
ポチは人間観察に飽きた様子。
そうだな、そろそろ出発するか。
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