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033 閃きは突然訪れる

 うーん……何も閃かないぞ。


 俺のスキルって生産の分野じゃ無類の強さを発揮するんだけどなぁ……。

 戦闘じゃ全く役に立たないから困るわ。


 武器でゴリ押そうにも相手はミスリルで身を固めている。

 アダマンタイトで作られた短剣でも一撃じゃ倒せないだろう。


 俺がちまちま攻撃している間に敵は一斉に襲いかかってくる。

 そうなれば俺はあっという間に死ぬだろうな。


「これは……まずいかも」


「戦う前から弱気だな」


「そういうポチはどうなんだよ」


「……正直、分が悪い。俺の牙や爪はミスリルを貫けないだろう」


 ポチも弱気なこと言ってる……。

 このままじゃ俺とポチは魔物の餌になってしまう。

 そうなる前になんとかしたいが……いい考えが浮かばない。

 くそ、ミスリルさえどうにかできればな……ん?


 ミスリルをどうにかする……これってやればできるんじゃね?


「ポチ、ちょっと試したいことがある。援護は頼むぞ」


「何か名案が閃いたか?」


「まあ、試してみるだけさ」


 俺は近くの魔物を金剛草トンカチで素早く叩く。


 ――カンカン。


 するとミスリルの塊がずるりと魔物から剥がれ落ちた。

 【加工】でミスリルの塊を無理矢理引き剥がしたのだ。

 魔物はミスリルの殻を奪われた形になった。

 ミスリルの殻無しの魔物はとても弱そうに見える。

 ミスリルの殻を失った魔物のステータスを見てみよう。




 ミスリルクラブ LV7

 名前   無し

 状態   健康

 HP  38/38

 MP   5/ 5


 ステータス

 攻撃力    8

 防御力    29

 魔法攻撃力  4

 魔法防御力  17

 素早さ    3


 スキル

 【鉄壁LV5】【暗視LV5】【隠密LV5】




 ミスリルを失った魔物は大幅に弱体化していた。

 よし、これなら勝てるぞ!


「ポチ! 俺はこいつらのミスリルを剥がしていく!」


「そうか。ならば、俺は殻を失った奴を殺していくぞ」


 ひたすら魔物のミスリルを叩いて剥がす作業が始まった。

 魔物に囲まれないように注意しながらトンカチを振るう。



『【高速加工】を獲得しました』



 途中でスキルを入手したが今は気にしている余裕がない。

 今はミスリルを魔物から剥がすのが先決だ。

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