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019 魔物と話してみました

 生きてる。

 本当に俺、生きてるみたいだ。

 何故か分からないけど、目の前のブルーウルフが俺を助けてくれた。


「少女よ、無事でよかった」


 え、誰かに話しかけられたぞ?

 でも周りに人間なんていないよな?

 いるのはブルーウルフだけだし……。


「無事なら返事をしろ」


 また声が聞こえた。

 まさかブルーウルフが喋ってるのか?

 うーん、仮にそうだとして俺はどう返事すればいいんだ?

 俺って日本語しか分からないんだけど。


「お前が助けてくれたのか?」


 とりあえず日本語で喋ってみるが、ブルーウルフは首を傾げている。

 やっぱり日本語は通じないみたいだ。


「まさか【念話】が使えないのか?」


 念話だって?

 そんなの使えるわけないだろ。

 だってこの世界に来て初めて念話を使う奴に出会ったんだぞ?


「……どうやら念話ができないようだな。ならば方法を教えよう」


 ブルーウルフの説明によると話す相手を意識しながら意思を伝える。

 これだけで念話ができるらしい。


 まあ、やってみるか。

 ブルーウルフを意識して、一番聞きたいことを念じてみる。


「お前は何者だ?」


「……もう念話できるのか。流石だな、少女よ」


 今のやり方でよかったのか。

 案外簡単だな。



『【念話】を獲得しました』



 スキルも手に入ったし、これでスムーズに会話できるな。


「もう一度聞くぞ。お前は何者だ?」


「俺はブルーウルフ。あてもなくさすらう1匹狼だ」


 1匹狼だって?

 そういえば前に見た時もこいつは1匹で戦ってたっけ。

 群れない狼なんてすぐに死んじゃいそうだけどな。


「どうして俺を助けたんだ?」


 気になっていたことを尋ねてみた。

 このブルーウルフに俺を助ける理由はないはずだ。


「そうだな……俺にもよく分からん」


「分からんって……どういうことだよ?」


「気付いたらお前を助けていた。それだけだ」


 うーん、もしかしてこいつ結構変わり者なのかもしれん。

 1匹狼になってる理由もその辺が原因かもしれない。

 前世でも変わった奴は孤立しやすかったし。


「ところで少女よ。傷を癒さなくてもいいのか?」


 あ、そうだった。

 早く傷の手当てをしないと。


 作っておいた回復薬を傷にぶっかける。

 すると傷がどんどん塞がっていき、完治した。


「その回復薬は作ったのか?」


 ブルーウルフが質問してきた。


 うーん、ここは正直に答えるべきか?

 ……いや、命の恩人だけど見ず知らずのブルーウルフに教えることもないか。


 よし、決めた。

 ここは適当に誤魔化すか。


「いや、あっちに落ちてた物を拾っただけだ」


「……あっちは崖だぞ?」


 え、そうなの?

 適当に指差しただけなんだが。

 というか言い訳どうするんだよ……かなり苦しくなったぞ。


「そうだったかな? 俺、方向音痴でな。実は道に迷ってるんだ」


「仲間とはぐれたのか。なら俺が人間の町まで連れて行ってやろう」


「え、い、いやいいよ。自力で探すから」


「遠慮するな。早く背中に乗れ」


 ブルーウルフがぐいぐい押してくる。

 いや、だからそんなこと俺は望んでいないから。

 そもそも俺は吸血鬼だし。

 人間は仲間じゃないです。


「バインド」


 ブルーウルフがそう言うと俺の体が突然動かなくなった。

 そして、俺の体はふわりと浮くと勝手にブルーウルフの背中に乗った。


 なにこれ?

 魔法か?

 魔法なのか?


 ってうわ、やめろ!

 動けない俺をそのまま連れて行くなんて反則だぞ!

 誰かこのブルーウルフを止めてー!

 このまま人間の町に連れて行かれたら俺、魔物として殺されちゃう!


 くそ、この魔法どんなに頑張っても解けない。

 どうなってるんだ?


 ちょっとステータスを確認。




 レッサーバンパイア LV10(MAX)

 名前   無し

 状態   束縛

 HP  50/50

 MP  15/15


 ステータス

 攻撃力    10

 防御力    10(+14)

 魔法攻撃力  10

 魔法防御力  10

 素早さ    10


 スキル

 【観察LV4】【暗視LV8】【隠密LV7】

 【毒耐性LV7】【恐怖耐性LV3】【採掘LV10】

 【器用LV10】【調合LV25】【加工LV10】

 【細工LV10】【念話LV1】


 特殊スキル

 【調合の極意LV2】【加工の極意LV1】【細工の極意LV1】




 状態異常が束縛になってる。

 なら黄金の葉があればこの状態は解除されるのか。

 まあ、体が動かない以上、黄金の葉があっても使えないが。


 さて、どうしようか。

 もう俺の分からない所まで来てるぞ。


 これはもう懇願するしかないか。

 ブルーウルフは別に敵対しているわけじゃないし。

 少なくとも話は聞いてくれるだろう。


 俺はブルーウルフにありのままを話すことにした。

 俺が元人間の吸血鬼であることや、スキルのこと、今までの出来事。

 それを聞いたブルーウルフは動きを止めて俺を下ろしてくれた。


 ふう……とりあえず助かったな。

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