015 俺の住処に魔物がやってきた
ヤバい……ウルフがいないタイミングがない。
どうして今日に限ってウルフがこんなにいるんだよ……。
わけが分からないよ。
このままじゃ日が暮れてしまう。
夜の危険な時間をこんな場所で過ごすなんて冗談じゃない。
くそ、こうなったら仕方ないので住処まで一気に駆け抜けるか。
……よし、今だ!
全速力で住処まで走る。
途中で何匹かのウルフに気付かれたが気にしない。
見つかることは避けようがなかったしな。
だから追い付かれる前に住処に戻る。
くそ、今はこの鈍足な我が身が恨めしい。
住処まで距離はそんなにないはずなのに、やけに遠く感じる。
後ろを振り返るとウルフ達が追いかけてきてる。
ヤバいよ、これじゃすぐ追い付かれちゃう!
俺の足よ、今だけは全力で走るんだ!
明日、筋肉痛になってもいいから頑張れ!
あともう少しなんだ!
あともう少しで住処が……見えた!
急いで穴に飛び込めー!
……間一髪!
穴の入口に飛び込んだらそのまま細い通路を突き進む。
穴の入口ではウルフが吠えている。
あと一歩遅かったら危なかったな。
でも楽観はできない。
ウルフは入口の穴を掘って広げているみたいだ。
もう完全に俺は狙われているな。
本当に危ない状況だ。
このままじゃウルフが俺の住処に押し入ってくる。
そうなる前に手を打たなければ。
俺は部屋の隅に立てかけてある武器を手に取った。
【アイアンスピア+10】
攻撃力 +25(+10)
鉄で作られた槍。
丈夫で安価なため多くの人に使われている。
この槍は補正により能力値が上昇する。
戦いの素人である俺にできることは少ない。
せいぜい穴の入口にいるウルフをこの槍で突くことしかできない。
部屋に入られて乱戦になれば俺に勝ち目はないだろう。
一方的に殴れる今だけしか俺に勝機はない。
……やってやる!
自分で自分を鼓舞して俺は槍を突いた。
槍はウルフの鼻先を掠めたようで、ウルフが怯んだ。
俺は無我夢中で槍を突いた。
相手は正面にしかおらず、身動きもできない。
故に俺のでたらめな攻撃でもウルフにダメージを与えることができた。
何度が槍が当たるとウルフは引き下がった。
だが、別の個体がまた穴の中に侵入してきた。
このまま人海戦術で俺のところまで来るつもりなのか?
なんで貧弱な吸血鬼の女の子相手にそんなことするんだよ!
そんなに俺が食べたいのか!?
俺は草しか食べてないからおいしくないぞ!
くそ、上等だよ。
俺の命は安くないってことを教えてやる。
レッサーバンパイアの本気見せてやんよ!
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