一星さん
「モモちゃん凄〜い!もう先輩から告白されたの⁉︎」
「やめてよ〜、ちょっと呼び出されたからって」
入学式から数週間が経った。新しい環境にも慣れ、クラス内は人間関係が構築される真っ最中で大体のクラスメイトは気の合う友人を見つける為、または人脈作りの為に積極的に話しかけたり話に加わっていったりする人の姿が多い。
しかし、その会話はいくらエリート校と言っても所詮先日まで小学生。クラスで浮いてる存在になるのも嫌だからむこうの話しやテンションに合わせるが俺からしたら本当にくだらないつまらない話ばかりである。
休み時間、図書館で借りた参考書をそのまま読むのはあまりに目立つし変に揶揄われる原因になる為同じ図書館で配られているブックカバーを付けて普通に読書をしているかのように装う。
すると、先程から教室の前方で盛り上がって話をしていた女子グループの中心的な人物…先日先輩に呼び出されたいう子がこちらに来た。
「また本読んでるの?やっぱりマジメ君だなぁ」
『…小河さん、苗字でいじるのも程々にして欲しいな』
クラスが決まって1番に声をかけてきてくれた女子は彼女だったが、小河さんはずっと俺の苗字をマジメと呼ぶ。多分親しみを込めてあだ名のような感覚で言っているのだろうが、小学生の頃にも"マジメ"と呼ばれて揶揄われてバカにされてきたからどんなに善意だとわかっていてもあまりいい気分ではない。
はっきり嫌だと言ってしまえば小河さんにも悪いし、それを見た周囲に遠巻きにされる未来が見えるので軽めに返すが
「えー、マジメ君似合うと思うけどなぁ」
止めてという気持ちはいっさい伝わらず笑いながら流される
「一星さんもマジメ君の方がいいと思わない?」
すると会話は終わるどころか少し離れた席に座る少女にまで小河さんは話をふった。なんて返ってくるかなんてどうでも良かったがそういえば、まだ彼女とは話した事が無かったなと考えていると
「真締君は真締君だろう?何故本人も嫌がっているのに名前を変えて呼ぶ必要がある?」
首を傾げながらそれはもうごもっともな答えを平気に言った。
真締 玲
男 中学1年
本作の主人公
親の遺産も全て持っていかれたため生活費など親戚に頼る他ないが叔父一家の件もあって金のことには良くも悪くも敏感。そのため学園で首席の特権学費、寮費、寮での食費の免除をもぎ取り親戚からの援助も最低限だけ受け取るようにしている。
ビジネス優等生
目標は高校卒業と同時に独立すること