月明りに照らされて
二人で並んで歩くのはこれで何回目だろうか
そんなことを考えながら君の横顔を見る.
「月が綺麗ですね」
君は突然立ち止まり僕に話しかける.
目があった僕たちは暫く見詰め合い
どちらからともなく空を見上げる.
「あぁ、君とこの綺麗な月を共有できるなら、俺はもう死んでもいいかな……なんてね」
我ながら臭い台詞だなと思う.
「どういう意味ですか?」
それはこちらの台詞だ.
君はどんな意図で「月が綺麗ですね」なんて言ったのだ.
ただ月を見た感想なのかそれとも……
「そのままの意味、順当に返事を返しただけとも言う」
僕は内心焦りながら会話を続ける.
いや、そのままの意味ってどういう意味だ……
「答えになってないですね、どういう意味ですか?」
僕の前に回り込み僕をじっと見つめる君.
逃げられないと悟った僕は覚悟を決める.
「君の
月明りに照らされた君の頬が、
仄かに紅く染まっていたことを僕は知らない
ふと思い立って書いた