表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

ショートショート2月~

ゲーム

作者: たかさば

机の上に、カードが二枚、ある。




Yと書かれた、赤いカードが、一枚。


Nと書かれた、白いカードが、一枚。




…これは、何のカードだろうか。




「これは、使うもの?」




Yと書かれたカードが、鈍く光った。


…なんだ、これは。




「これは、ただのカード?」




Nと書かれたカードが、鈍く光った。


…なんなんだ、このカードは。




思わずあたりをきょろきょろと…見まわす。


あたりに、人の姿は、ない。




…何に使うカードなんだろうか。




「これは、ゲーム?」




Yと書かれたカードが、鈍く光った。




…なんだ、ゲームか。


ならば、楽しませて、もらおうか。




Yがイエスで、Nがノーだよね、多分。


…確認しておこうか。




「私はおなかが、空いている?」




Nと書かれたカードが、鈍く光った。


…そうだね、私はさっき食事をしたばかりだから、おなかがいっぱいなんだ。




Yがイエスで、Nがノー。


…さて、このカードは、どこまで教えて、くれるのか?




「カードで、未来はわかる?」




Yと書かれたカードが、鈍く光った。


…なるほど、うまく使えば、予知が可能なのか。




「私は、この世界を手に入れることができる?」




Nと書かれたカードが、鈍く光った。


…なんだ、カードの予言の力があっても無理なのか。




百発百中の予言ができるなら…なんとかなりそうなんだけどな。


…私には、そんな大それたこと、できないってことか。




「私は、成功することが、できる?」




Yと書かれたカードが、鈍く光った。


…なんだ、それなりに満足はできるのか。




だったら…世界は別にいらないか。


…規模が大きいと、めんどくさいし。




「このカードを使って、私は成功する?」




Nと書かれたカードが、鈍く光った。


…あれ、カードで無双するんじゃ、ないのか?




普通に生活して…イイ感じに成功するってことだろうか。


…ちょっと待って、もしかして。




「カードには、使用回数に、限りがある?」




Yと書かれたカードが、鈍く光った。


…しまった、質問の無駄撃ちをしてしまったみたいだ。




せっかくの予言カードを、つまらない自分クイズで消費してしまった。


…質問は、慎重に考えないと。




「使用回数は、増やせる?」




Nと書かれたカードが、鈍く光った。


…なんだ、増やせないのか。




ならば…回数分きっちりと楽しむしかない。




…そうか、これはゲームだと言っていた。




ちょっとした時間を潰すための…ゲームに、すぎなかったのか。




…真実を教えてくれる、暇つぶしのための、ゲーム。




二枚のカードが教える…真実を確認する、ゲーム。




…私が、確認した方が良い事を、聞いた方がいいか。




私にはわからない、確認すべき、案件。




・・・。


・・・。


・・・。




「私は、人間に、見えている?」




カードはどちらも、光らない。


…なんだ、もう使用回数がなかったのか。




終わってしまえば…実につまらないゲームだったな。


…時間つぶしには、なったけれど。




私は、足元に置いてあった愛用の鎌を抱え…闇に、身を、包んだ。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] ただの死神の暇つぶしですか。 なんだただの死神かー。なーんだ。 成功するってことは、まぁ、そう言うことですね……。
[良い点] 温度差がすごい。一気に冷める感じ。 [気になる点] 『鎌』もうこの一言で分かるんです。神と悪魔たん。 [一言] まったり。
[良い点] yesとnoを変えるところが斬新ですね。 すごく個性的で、なぜかしんみりしました。 面白かったですよ。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ