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勝てない相手

終わった。

これは世界の滅亡だ……



目の前にいるハテシナユメコを見ると、

俺はそう思わずにいられない。



「浮気者……」



全異世界の諸君、絶対に浮気なんてしたらダメだぞ。

じゃなきゃ命どころか、世界の危機だ。



「待てよ、

 俺は別になにも……!!」


「問答無用」



もはや言葉など不要と言わんばかりに、

ハテシナユメコは喋る余裕も与えぬ勢いで、

ツカサに攻撃を仕掛けていた。


ツカサは盾で防ぐのすら精一杯だ。


この攻撃力でさえ、

表現で模倣されたレベルだなんて……


本物のハテシナは、

俺の知らない間に一体どれだけ強くなっているんだ?!



「わぁ、すごく良い気味」


「おい、他人事じゃないぞ!このままだと負ける!」


「確かに、それは困るね。

 あとはタクオに任せたよ」


「俺?! だから俺は、物理は無理なんだって……」


「知ってる。だからちゃんと、表現で勝ちなよ」



俺の表現で、あのハテシナユメコを倒せっていうのか?

いやいや、モブなんだぞ俺は……?!



「君が一番、ユメちゃんを見てきたんだろう?

 だったら、あんな偽物に負ける訳ないでしょ」


「レイ……」



そうだ、それだけは自信を持って言える……


俺が一番、あいつを見続けてきた。



この世界で、

あいつの事を覚えていたのは俺だけだ。


俺しか知らないハテシナが、

俺の記憶には輝いている……



あいつが本を読んで、どんな表情を浮かべたか。

何を感じて喜ぶのか、何を思って悲しむのか……



ずっと見て来たじゃないか!!



他の奴らがお前を忘れたって、

俺だけは絶対にお前を忘れたりしないんだ。



俺なら必ず、表現出来る……!!!



「ハテシナユメコが、勝てない相手……」



俺は全神経を集中させて、その姿を思い描いていく。



それはとても大切に、心を込めて……



そこには俺の願いが込められていた。



俺はそいつにも、

報われて欲しいと思っていたからだ。



俺と同じ位にお前を見続けてきたやつを、

俺は知っている……!!!



「新撰組の……オキタくん!!!」



俺の呼び声に応えるかのように、

蛍の様な灯火が、どこからともなく集ってきた。



その光はゆっくりと形を成して、

やがて小さな人影を生む……



月光の様に怪しい輝きは霞がかって薄れてゆき、

その姿が世界に現れる事を許した。



俺の目の前にたなびくのは、

鮮やかな浅葱色に映える、誠の一文字だ……



「……斬る」



日本刀を構え、敵を見据える鋭い眼光。


その瞳は、チカチカと三色に瞬いていた。

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